【本の感想】『タイタンの妖女』カート・ヴォネガット・ジュニア|存在意義って、ないとダメですか?

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タイタンの妖女|カート・ヴォネガット・ジュニア

ケイチャン

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【2024年97冊目】

今回ご紹介する一冊は、

カート・ヴォネガット・ジュニア 著

『タイタンの妖女』です。

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【感想】「存在意義って、ないとダメですか?」

ドタバタSF

金持ちは酷いめにあってもいいのか?
大いなる意志に振り回される人々が
太陽系を股にかけ繰り広げる
ハチャメチャなSFです

こんな真実、笑い話にしなきゃ
やってられない・・

1959年出版の本作品は
1972年に日本語訳が出版され
翌年に星雲賞を受賞している
古典的名作エスエフです

ケイチャン

ケイチャン

特徴的な表紙にずっと惹かれていて
いつかチャレンジしたいと思っていましたが
・・こんな内容だとは、思いもよりませんでした

ケイチャン

ケイチャン

いったい僕は何を読まされているんだろう?

主人公のマラカイ・コンスタントくんは
超絶大金持ちの青年です

そんな彼がある現象により神的な存在になった
大富豪のラムフォードから予言を受けます
曰く・・キミはボクの妻と子供を作り、火星・水星
いったん地球に戻ってから土星の惑星タイタンで
暮らすであろう・・と

ケイチャン

ケイチャン

ハアッ!アンタいったい何を言ってるの?

当然のごとく反発するマラカイくんと
ラムフォードの妻のビアトリスさん
しかしラムフォードは神的な存在
彼の言うことは全て真実なのです

全ては大いなる意志のままに・・

マラカイ、ビアトリス、そしてラムフォードも
大いなる存在の道具でしかないのだ

「存在意義って、ないとダメですか?」

物語はいくつかの場面に分かれて進みます
これが慣れるまでなかなか難しく
作者は何が言いたいのだろう?
どうしてこう舞台が飛ぶのか?
一体この物語は何なのだろう?
と、クエスチョンマークを頭頂から
飛ばしまくりつつ読むこととなりました

①マラカイとビアトリスの破産

トンデモ予言を受けた2人は慌てふためき
混乱し何とか事態を避けようと行動するが
裏目に出て、あえなく破産します
お金持ちが破滅してざまあみろって
思ってしまった笑

②火星軍、地球に侵攻する

破産した2人を助けるのが火星軍です
(イキナリ火星人が出て来て何?!ってなります笑)
火星に連れ去られた2人は脳みそを加工され
記憶の全てを奪われて軍人と教師にされます
破産した上に記憶も奪われた元お金持ちに
さすがに可哀相だなって思う

③マラカイ、水星で地底人となる

さて地球に侵攻する火星軍ですが
なんでかマラカイは水星に行っちゃいます
(え!なんで水星??ってなります笑)
ここで同僚の火星軍人と2人で洞窟生活をするのだが
どうにも地球に帰りたいマラカイは
まーまーここが気に入った同僚ボアズと別れ
ついに地球に向かうのだ

④地球追放!いよいよタイタンへ

やっと地球に帰還したマラカイだが
地球の新宗教で彼は堕落と悪徳の象徴となっていた
石を投げつけられるように地球を追われるマラカイ
そして彼はビアトリスと子供と3人
運命の地、タイタンへゆく

いくつものバラバラのストーリーが
タイタンで1つの物語に収束する
そして明かされるトンデモない真実に

ケイチャン

ケイチャン

・・そりゃあないだろう~!
と、僕は嘆きました

全体的に無慈悲なストーリーを
ユーモアでギリギリまで攻める本作

滑稽でなければ語れない真実ある

その中にギラリと鈍く光る
哲学的な考察があり
深く考えさせられ


心を揺さぶるものがあります

ケイチャン

ケイチャン

さすが50年経っても読み継がれる名作ですね

ケイチャン

ケイチャン

あっけなく締めくくられる
ラストシーンはしかし一辺の救いがあり
どんな人生でも最後は許されるかも知れない
・・なんて思っちゃいました

作品紹介(出版社より)

時空を超えたあらゆる時と場所に波動現象として存在する、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、神のような力を使って、さまざまな計画を実行し、人類を導いていた。その計画で操られる最大の受難者が、全米一の大富豪マラカイ・コンスタントだった。富も記憶も奪われ、地球から火星、水星へと太陽系を流浪させられるコンスタントの行く末と、人類の究極の運命とは? 巨匠がシニカルかつユーモラスに描いた感動作。

作品データ

タイトル:『タイタンの妖女』
著者:カート・ヴォネガット・ジュニ
出版社:早川書房
発売日:2009/2/25

作家紹介

カート・ヴォネガット・ジュニア

1922年11月11日の終戦記念日、インディアナ州インディアナポリスに生まれる。
コーネル大学生化学科へ進み、学内紙“コーネル・デイリー・サン”の編集に携わる。
1942年、軍隊に召集。バルジの戦いにてドイツ軍の捕虜となり、ドレスデン爆撃を体験する。
この体験がのちの人生に大きな影響を与えることとなる。
終戦後、ゼネラル・エレクトリック社で広報として働きつつ、1950年、「バーンハウス効果に関する報告書」により作家デビュー。
生涯を通じて長篇を14冊、短篇集を3冊遺した。
2007年4月11日、マンハッタンの自宅にて逝去。享年84

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カート・ヴォネガット・ジュニアの作品紹介

『スローターハウス5』
タイタンの妖女
『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』
『プレイヤー・ピアノ』
『チャンピオンたちの朝食』

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