【感想】『どんがら トヨタエンジニアの反骨』清武英利|あらゆる責任を負うもの、それがチーフエンジニアだ

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どんがら トヨタエンジニアの反骨|清武英利

ケイチャン

ケイチャン

【2023年156冊目】

今回ご紹介する一冊は、

清武英利 著

『どんがら トヨタエンジニアの反骨』です。

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【感想】「あらゆる責任を負うもの、それがチーフエンジニアだ」

ノンフィクション

スポーツカーなんて売れるはずがない!
そんな逆風のなかトヨタ『86』の復活に
サラリーマン人生を賭けた男たちを描く
群像スポーツカーノンフィクションです

スポーツカーは、お好きですか?

男の子が憧れるスポーツカー
あなたは乗ったことがありますか?
・・不便ですよね笑

狭いし低いし
燃費は悪いし
利便性がない
困った車です

しかしめっちゃ面白いんだ!

僕はS13シルビアと
R34スカイラインと
2台のスポーツカーに乗りましたが
ホントに楽しい車でした
車って嗜好品ですよね

でもそんな贅沢が許されない時代があったんだ

世はスポーツカー冬の時代
トヨタ自動車もスポーツカーの
生産を中止してずいぶん経っていた
・・もうスポーツカーは作らないのか?

そんな中、トヨタがスバルの株式を取得
せっかくスバルなんて面白い自動車会社の
株式を持ってるんだから
活用しなきゃ、もったいなくない?

そこで浮上したのが
トヨタ&スバル共同開発の
新型スポーツカーの生産案
両社のいいトコどりしたら
簡単に作れちゃうんじゃない?

しかしそれは机上の空論
文化も思想も全く違う
2社のエンジニアは
プライドもあり激しく
衝突します

かと言ってトヨタ社内も
1枚岩ではなかったのでした
だいたいスポーツカーなんて
今、売れるはずないでしょう!

さあ、この共同開発は
どうなる?

「あらゆる責任を負うもの、それがチーフエンジニアだ」

自動車開発においては社長同然
それがトヨタ社内における
チーフエンジニアの権限です
新車開発は社業の華
憧れのポジションです

新型スポーツカーのプロジェクトを
任されたチーフエンジニアの多田には
秘めた野望があった
それが伝説のスポーツカー
『ハチロク』の復活でした

漫画『イニシャルD』の主人公
藤原拓海が駆るAE86トレノ&レビン
言わずと知れた名機ですね
この復活を狙ったのです

スバルの水平対向エンジンを
積んだFRスポーツカー
もうわくわくするような
車ですよね

物語はチーフエンジニアとして
奔走する多田とその部下が
いくつもの壁に突き当たりながらも
情熱を持って解決してゆく姿が
描かれます

会社内のことにとどまらず
多田の辛抱強い賢妻、浩美や
家族のことも描かれており
登場人物たちの奥行を
深めています

ちょうど現在
86を駆る主人公を描くアニメ
『MFゴースト』が放送されていますが
この車も名機と称され、伝説となることが
約束されていると思います

たかが自動車と言うなかれ
そこにはエンジニアたちの
情熱と魂が詰まっているんだ!

ものづくりの素晴らしさに
改めて気付くようなノンフィクションでした

作品紹介(出版社より)

会社のために働くな。

「絶対に売れない、儲からない」と言われた、時代に逆らう最後のスポーツカーを、命がけで造り上げた男がいる。
日本最大の自動車会社・トヨタでもがき、苦しみ、サラリーマンでありながらも夢を追い続けるエンジニアたちの、心ふるわすノンフィクション。

スポーツカー「86」「スープラ」の復活を手掛けた元トヨタチーフエンジニア・多田哲哉を主人公に、技術者やその家族の苦闘と人生の喜びを描いた「週刊現代」の人気連載「ゼットの人びと」を大幅に加筆修正。

これまで秘密のベールに包まれてきた、トヨタエンジニアの牙城「技術本館」内部で繰り広げられる人間模様、スポーツカー開発の詳細なプロセス、そしてトヨタを世界企業に押し上げた歴代チーフエンジニアたちの「仕事術」にも、綿密な取材で肉薄する。スポーツカーファンのみならず、人生と仕事に悩むすべての人へ贈る物語。

作品データ

タイトル:『どんがら トヨタエンジニアの反骨』
著者:清武英利
出版社:講談社
発売日:2023/2/17

作家紹介

清武英利(きよたけ・ひでとし)

1950年、宮崎県生まれ。
立命館大学経済学部卒業後、読売新聞社に入社。
中部本社(現・中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長などを経て、2004年8月より読売巨人軍取締役球団代表兼編成本部長。
2011年6月からは専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を務めた。同年11月、解任。

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清武英利の作品紹介

『巨人軍は非情か』 2008/12/01
『巨人軍改革戦記』 2011/12/22
『巨魁』 2012/03/16
『しんがり 山一證券 最後の12人』 2013/11/14
『「同期の桜」は唄わせない』 2013/12/12
『切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか』 2015/04/10
『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』 2016/07/13
『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』 2017/07/26
『トッカイ バブルの怪人を追いつめた男たち』 2019/04/24
『サラリーマン球団社長』 2020/08/26
『後列のひと 無名人の戦後史』 2021/07/28
どんがら トヨタエンジニアの反骨』 2023/02/17

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