【感想】『リカバリー・カバヒコ』青山美智子|痛みと向き合う難しさ

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リカバリー・カバヒコ|青山美智子

ケイチャン

ケイチャン

【2023年155冊目】

今回ご紹介する一冊は、

青山美智子 著

『リカバリー・カバヒコ』です。

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【感想】「痛みと向き合う難しさ」

現代小説

痛むところに触れると
治してくれるという
オレンジ色のカバ、カバヒコ
悩める人々を優しく乗せる
再生の物語です

痛いのは、ココロ

この前、妻をおんぶする機会が
あったんですが、おぶさった途端
妻はこわい怖いとジタバタ大暴れ
いやそんなに動いたらかえって
危ないよと思いましたが
余程不安だったんでしょうね
・・信頼のないことです涙

でも、どうせ乗るならば
信頼の出来る背中に乗りたいもの
例えばコンクリート製の、のっしりとした
カバのアニマルライドとかに・・

触れると治る、現代の身代わり地蔵

僕の近所のお寺にある
びんづる尊者さまの像は
長年撫でられたためか
顔はツルツル、膝や肘は凹んでます

痛みや病を治したい
人々の願いが伝わりますね

さびれた公園にポツンと佇む
カバのアニマルライド
オレンジ色の塗装は剥げかけ
頭頂には『バカ』と落書きされている

しかし知る人は知る
リカバリー・カバヒコと呼ばれる
彼のチカラを!
そして悩める人々は
ひっそりと彼に腰掛け
自身の痛むところを
撫でるんだ

「痛みと向き合う難しさ」

痛みと悩みを抱える
5人の主人公の群像劇
それぞれに苦しんでいますが
むろんカバヒコは何も語らない

それぞれが対話するのは
自分自身
どっしりと構えたカバヒコに乗り
痛む自分の心と対峙します

それは苦痛を伴うこと

そんな痛みに
のっしりと寄り添い
カバヒコはただ在るのです

僕のそばにはカバヒコは居ないけれど
きっとカバヒコ的な人が居るんでしょうね
何も語らず居るだけでいい
そんな頼れる人が・・

悩みと痛みに満ちた世界を
優しく包む青山ワールド
いたわりに満ちた物語でした

あなたのそばで
のっしりと在る頼れる人は
誰ですか?

作品紹介(出版社より)

新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで、”リカバリー・カバヒコ”。
アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。急な成績不振に悩む高校生、ママ友たちに馴染めない元アパレル店員、駅伝が嫌でケガをしたと嘘をついた小学生、ストレスからの不調で休職中の女性、母との関係がこじれたままの雑誌編集長……

作品データ

タイトル:『リカバリー・カバヒコ』
著者:青山美智子
出版社:光文社
発売日:2023/9/21

作家紹介

青山美智子(あおやま・みちこ)

1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。
大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。
2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。
第28回パレットノベル大賞佳作受賞。
デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。
同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』が未来屋小説大賞入賞。
『お探し物は図書室まで』が、2021年本屋大賞で2位を獲得。
ほかの著書に『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』など。

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青山美智子の作品紹介

『ビューティフルレイン』(2012年9月)
『マザーズ– 僕には3人の母がいる』(2016年7月)
『カインとアベル』(2016年11月)
『小説 あなたのことはそれほど』(2017年6月)
木曜日にはココアを』(2017年9月)
『猫のお告げは樹の下で』(2018年9月)
『鎌倉うずまき案内所』(2019年7月)
『ただいま神様当番』(2020年7月)
『お探し物は図書室まで』(2020年11月)
『月曜日の抹茶カフェ』(2021年9月)
赤と青とエスキース』(2021年11月)
『マイ・プレゼント』(2022年07月)
いつもの木曜日』 (2022年8月)
『月の立つ林で』 (2022年11月)
『ユア・プレゼント』 2022/12/08
リカバリー・カバヒコ』2023/09/21

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