
ケイチャン
【2025年40冊目】
今回ご紹介する一冊は、
新川帆立 著
『目には目を』です。
もくじ
【感想】「自分の子を殺した者を許せるのか?」
少年院から出た元少年は
被害者遺族に殺された
仲間の密告によって・・
反省の意味を問う、真摯な物語です
重大な罪を犯した少年たち
少年法に守られた彼らは
罪を問われません
むろん
罰も受けない
代わりに受けるのが
更生へのプログラムです
少年院での生活で
更生した彼らはまた
社会に出てきます

ケイチャン
・・そんなんで、いいの??
物語の序盤は
社会復帰した元少年たちへの
インタビューで進みます
そして、彼らは残念なことに
反省しているように見られません

ケイチャン
・・少年法なんて、意味ないじゃん!
中盤で描かれるのが
少年院での生活です
集団生活をするうちに
友情が芽生える少年たち
それなのに仲間を売った
密告者は・・誰なの?
そして元少年たちにインタビューする
主人公は一体誰なのだろうか??
重大事件を起こした
6人の少年たち
境界知能の者や
性格に問題ある者など
その生きづらさに
少しずつ理解が及びます
遊び半分で人を
殺してしまった大阪君
その罪の重さに気が付いて
慄然とする姿に心が打たれます
そう自問自答し得た解答が
本作のキモとなります

ケイチャン
罪に後悔し
自らを罰する姿には
哀れとしか言えませんでした
物語の前半と後半では
非行少年にたいする
感じ方が正反対に
ガラリと変わりました
罪と罰について深く
考えさせられる骨太な作品

ケイチャン
安易な解答は
許されないと感じました

ケイチャン
罪を背負いつつも
前を向いて歩きだすような
エンディングも心に響き
とてもオススメできる作品です
作品紹介(出版社より)
なぜ少年Aは殺されたのか?
【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】
重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至る――。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?
作品データ
タイトル:『目には目を』
著者:新川帆立
出版社:KADOKAWA
発売日:2025/1/31
作家紹介
新川 帆立(しんかわ・ほたて)
1991年 アメリカ・テキサス州 生まれ。日本のミステリー作家、弁護士。 元プロ雀士。
2021年1月より弁護士を休職し、作家業に専念している。 ボストンを経てシカゴ在住。
2020年10月『元彼の遺言状』で宝島社主催第19回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。
2021年『元彼の遺言状』でデビュー
新川帆立の作品紹介
『元彼の遺言状』(2021/1/8)
『倒産続きの彼女』(2021/10/6)
『競争の番人』(2022/5/11)
『剣持麗子のワンナイト推理』(2022/04/08)
『先祖探偵』(2022/7/15)
『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』 2023/01/26
『東大に名探偵はいない』 2023/01/27
『縁切り上等!離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル』2023/6/29
『女の国会』2024/4/17
『目には目を』