【本の感想】『陽炎の旅人』天童荒太|純粋すぎる、無茶な願い

【2025年137冊目】
今回ご紹介する一冊は、
天童荒太 著
『陽炎の旅人』です。
【感想】「純粋すぎる、無茶な願い」
この戦争を止めたい!
純粋な想いで争いをやめさせようと
奔走する2人の姉弟を描く
戊辰戦争の物語です
上野が、燃えている・・

前作『青嵐の旅人』の続編です
あいにく僕は未読でして少し読むことに苦労しました
前作を読まれることをおすすめします
時代は戊辰戦争の真っただ中
江戸城を無血開城したことに
反対した主戦派の幕臣は
彰義隊を結成し上野に立てこもる
武士が戦わずに、終われるものか!
そんな中、2人の白装束の姉弟が現れる
姉の鷺野ヒスイは看護人
弟の鷺野救吉(きゅうきち)は医務員
なんと戦争を止めようと、はるばる
愛媛からやってきたのでした

でも戦争を止めることなんて
ホントにできるのかな?
癒しと祈りをテーマとする天童作品らしい
白衣の天使を主人公とした物語ですが
この2人がけっこう無茶苦茶で命知らず
その無謀と思える行動パターンに、僕は
呆れてしまいました

いや思い込みが、スゴイよww
人を救うためならば、と
敵の大将へ直訴に凸するし
戦場の真っただ中でも
グイグイと突き進みます

ハチャメチャなんです笑
しかし際立った行動は
人々の心を動かすもの
敵も味方もだんだん2人に
協力してくんだ
・・これが青春!
そして戦場とはドラマの宝庫
武士の意地、男と女のロマンス
血沸き肉躍る戦いの描写に
ぐんぐんと胸の温度が上がります
また幕末の有名人が登場し
明治の偉人も顔を出す、演出に
歴史好きな僕は、ほくほくと
楽しめました
純粋な想いを抱いて
困難にもあきらめず
血と泥の戦場を駆ける
若き姉弟の青春小説でした
物語はこのあと舞台を
奥州そして北海道に変えて
続いていくようです

まだまだ楽しめますね
作品紹介(出版社より)
大政奉還を経て明治の世へ。
近代の幕開けを雄渾かつ緻密に描く。
「青嵐の旅人」に続く、壮大な歴史エンターテインメント慶応4(1868)年夏。前年に大政奉還が行われた江戸の町で、ついに新たな戦が始まった。戦を誰より厭いながら同郷伊予松山(愛媛)の士原田左之助を連れ戻すべく上野の山に向かったヒスイ、彼女を追う弟の救吉、家老の娘嵐花を追って同じく駆けつけた藩士青海辰之進。かつて戦を通じて絆を深めた三人の若者は、はからずも再び戦の渦に巻き込まれる。一方、遠く離れた伊予松山では、死んだと思われていた”ある男”が町外れで目撃されて……。壮大なスケールで幕末の一幕を鮮やかに描いた『青嵐の旅人』に続く、シリーズ第二弾!
作品データ
タイトル:『陽炎の旅人』
著者:天童荒太
出版社:毎日新聞出版
発売日:2025/11/25
前作はこちら↓
タイトル:『青嵐の旅人 上巻 それぞれの動乱』
著者:天童荒太
出版社:毎日新聞出版
発売日:2024/10/1
タイトル:『青嵐の旅人 下巻 うつろう朝敵』
著者:天童荒太
出版社:毎日新聞出版
発売日:2024/10/1
作家紹介
天童荒太(てんどう・あらた)
1960年愛媛県生れ。
1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞を受賞。
映画の原作、脚本を手がけたのち、1993年、『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。
1996年『家族狩り』で山本周五郎賞を受賞。
2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞を受賞。
2009年『悼む人』で直木賞を受賞。
2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。
他に『あふれた愛』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』『迷子のままで』などがある。前作に当たる『包帯クラブ』は2006年に刊行、30万部のベストセラーになり、映画化もされた。
天童荒太 の作品
『白の家族』1992/3/1
『孤独の歌声』1994/1/1
『家族狩り』1995/11/1
『永遠の仔』1999/2/1
『悼む人』2008/11/30
『静人日記』2009/11/26
『あふれた愛』2000/11/2
『歓喜の仔』2015/8/5
『ペインレス』2018/4/20
『ムーンナイト・ダイバー』2016/1/23
『巡礼の家』2019/10/3
『迷子のままで』2020/5/20
『僕の女を探しているんだ』
『包帯クラブ ルック・アット・ミー! 』2022/3/14
『ジェンダー・クライム』2024/1/15
『青嵐の旅人』上巻・下巻 2024/10/1
『陽炎の旅人』2025/11/25


