【感想】『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』天童荒太|声を上げて助けを求めるんだ!

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包帯クラブ ルック・アット・ミー! ――The Bandage Club Look At Me ! |天童荒太

ケイチャン

ケイチャン

【2022年66冊目】

今回ご紹介する一冊は、

天童荒太 著

『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』です。

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【感想】「声を上げて助けを求めるんだ!」

青春小説

前作『包帯クラブ』からの16年ぶりの続編です

悲しい事件があった場所に包帯を巻く
地下鉄に、バス停に、桜の木に
純白の包帯が風に揺れる情景が脳裡に浮かび
美しいイメージですね

そんな活動をするバンデイジ・クラブ

さて前作は高校生のグループを描いた、青春グラフィティでしたが
今作は高校を卒業し、それぞれの職業についてはいるが
今も世界を癒すために、同じ道を歩み続けるメンバー達の
その後を描いたファン待望の続編となっています

「声を上げて助けを求めるんだ!」

物語は国際医療団の看護師となったワラと
紛争地帯で活躍するフォトジャーナリストになったディノの
すれ違い破綻しかけたカップルの現在と

高校時代に地元のフェスティバルに出場するため
特別支援学校の生徒たちと奮闘したメンバーの過去を
交互に行き来しつつ、恋に夢に理想にあきらめることなく
真摯に向き合う、王道の青春小説です

もう心がフルフルと揺れてしまうのだ!
おっちゃんの僕がこう感じるのだから
思春期や青年期の若い方が読んだら
たまらないことでしょう笑

自己責任という言い方は、いつから流行りだしたのでしょうか?
こんな言い方されてしまっては、助けを求めることが
悪いことのように思えてしまいます
声を上げることをためらってしまう

そんな今の風潮に対して、いいや違う
自分のチカラではどうにもならないことがある
そんな時はまず逃げろ、そして助けを求めるんだ
あなたを助けたい人が必ずいるから・・
と、エールを送る温かい物語です

誰かのチカラになりたい・・と
あなたもきっとそう思うはず

作品紹介(出版社より)

わたしはここにいる。想いよ、どうか世界に届け。

関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作では前作の終わりから話が始まる。人が傷ついた場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。しかし、ひっそりと会うなかでバンドを始める。バンドの発表の場を求めながら、別の形での包帯クラブの実現を試みる彼ら。本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。
この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当することは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。自分たちのやり方 で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第二幕が開く。

作品データ

タイトル:『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』
著者:天童荒太
出版社:筑摩書房
発売日:2022/3/14

作家紹介

天童荒太(てんどう・あらた)

1960年愛媛県生れ。
1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞を受賞。
映画の原作、脚本を手がけたのち、1993年、『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。
1996年『家族狩り』で山本周五郎賞を受賞。
2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞を受賞。
2009年『悼む人』で直木賞を受賞。
2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。
他に『あふれた愛』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』『迷子のままで』などがある。前作に当たる『包帯クラブ』は2006年に刊行、30万部のベストセラーになり、映画化もされた。

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