【感想】『砂嵐に星屑』一穂ミチ|ゆずることのできないプライドって、ある?

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砂嵐に星屑|一穂ミチ

ケイチャン

ケイチャン

【2022年65冊目】

今回ご紹介する一冊は、

一穂ミチ 著

『砂嵐に星屑』です。

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【感想】「ゆずることのできないプライドって、ある?」

斜陽の業界・・
かつて巨大に輝いていたはずの会社が
時代に押されて、縮小していくというのは
社員ならば不安でしょうがないでしょうね

そんな大阪のテレビ局が舞台の連作群像劇です

「ゆずることのできないプライドって、ある?」

20代から50代まで、年代も性格もバラバラの4人をとおして
この不確かな時代を生きる僕らの生きづらさ
漠たる不安感を描く、4編の物語たちです

かつての不倫相手がユーレイになっちゃった!
40代の独身女子アナウンサー
私って根無し草?
寄る辺ない不安と、消えない過去の烙印で
ついつい後ろ向きになってしまう

お人好しな50代のおじさんデスク
目下の悩みは些細な行き違いで2年間も会話のないひとり娘と
櫛の歯が欠けたように早期退職してゆく同僚たち
先細りの未来図に、ため息をつく日々

愛する同居人はゲイ、決して振り向いてはもらえない
一見しっかりものの20代女性タイムキーパー
あなたの拠り所になりたいのに・・
必要とされない悲しさ

彼女に振られたばかりの、気弱な非正規雇用30代男性AD
本当はわかっているんだ、
彼女に振られるのも、仕事が上手くゆかないのも
俺が自分のことしか、考えていないせいだって!

かつて昭和の頃は、みな普通に手に入れれると思っていた
仕事、結婚、子育て
不安なく順調にいってるよ!なんて
そう言える人がどれだけいるのでしょうか?

過酷さを増す、この令和時代で
いやいや、今や上手くいかないのが普通だよ
そんなに頑張らなくったって、片意地はらなくったって
いいんだよ

生きているだけで、プライドを持って大丈夫なんだ!
最後にそんな思いにさせてくれる
厳しくも優しい物語たちです

作品紹介(出版社より)

直木賞候補『スモールワールズ』で注目を集めた一穂ミチ。
期待の書き下ろしは、あらゆる世代に刺さるすぎる群像劇!
日々頑張るあなたが、きっとこの本の中にいます。

舞台はテレビ局。旬を過ぎたうえに社内不倫の“前科”で腫れ物扱いの四十代独身女性アナウンサー(「資料室の幽霊」)、娘とは冷戦状態、同期の早期退職に悩む五十代の報道デスク(「泥舟のモラトリアム」)、好きになった人がゲイで望みゼロなのに同居している二十代タイムキーパー(「嵐のランデブー」)、向上心ゼロ、非正規の現状にぬるく絶望している三十代AD(「眠れぬ夜のあなた」)……。それぞれの世代に、それぞれの悩みや壁がある。
つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。続いていく人生は、自分のものなのだから。世代も性別もバラバラな4人を驚愕の解像度で描く、連作短編集。

作品データ

タイトル:『砂嵐に星屑』
著者:一穂ミチ
出版社:幻冬舎
発売日:2022/2/9

作家紹介

一穂 ミチ(いちほ・みち)

2007年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。
劇場版アニメ化もされ話題の『イエスかノーか半分か』など著作多数。
『スモールワールズ』(講談社)が、第165回直木賞候補、第12回山田風太郎賞候補となり注目を集める。同作収録の短編「ピクニック」は第74回日本推理作家協会賞短編部門候補となる。

一穂ミチの作品紹介

『雪よ林檎の香のごとく 林檎甘いか酸っぱいか』(2008/7/10)
スモールワールズ』(2021/4/22)
パラソルでパラシュート』(2021/11/26)
砂嵐に星屑』(2022/2/9)

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