【感想】『首取物語』西條奈加|お前の正義は俺の悪なのだ

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首取物語|西條奈加

ケイチャン

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【2022年148冊目】

今回ご紹介する一冊は、

西條奈加 著

『首取物語』です。

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【感想】「お前の正義は俺の悪なのだ」

時代奇譚小説

昔々戦乱が続く日本のどこかで
旅をする少年と『首』がいた
共に無くした記憶を取り戻すために
那良(なら)の都へ向かうのだ

裏表紙に描かれた
袋に担がれた『首』が印象的な本です
生意気な少年がおっさんの首を
担いで旅する・・ワクワクする構図ですね

尋常でない2人が旅するためか
訪れる村には怪異が待ち
会う人々は呪いとも言える因果がある
出会いを別れを繰り返すうちに
徐々に記憶を取り戻していく2人

それは大切な人を失い
生きる希望を失った
悲しい記憶であった
いったい2人に何があったのか?

「お前の正義は俺の悪なのだ」

少年トサは『首』のオビトの主君の命を奪い
オビトはトサの命を奪っていた
それは2人の譲ることのできない
正義がぶつかったための悲劇でした

正義とは何か?誰がそれを決めるのか?

そして本書のもう一つのテーマが
因果応報の罪に救済はあるのか?です

共に許されざる罪を犯したトサとオビト
しかしそれは2人の正義がもたらしたもの
罪の軽重を図ることは無意味です

共に自らの非を認め
互いを許し合った時
2人は最悪の判決を
いったん保留としたのでした

再び歩き出す2人
その結末はいろいろな解釈があると思いますが
僕は2人が永遠に彷徨う存在になったのだと思います

それは悲劇のようですが
この2人ならば怪異となった自分を
面白おかしく捉えて
楽しく彷徨えるのではないかと思います

和風ダークファンタジーのような本書
さざ波のような余韻が残る物語でした

作品紹介(出版社より)

少年は繰り返していた。空腹に耐えかねて、目の前にいる男の握り飯を奪う行為を何度も。それに気づいたとき、首だけの男と出会う。
その男は少年と同じく過去の記憶を無くしていた。侍だったと言うこと以外は。
彼らはなぜ、記憶を無くしているのか? 男はなぜ、首だけの姿になってしまっているのか?
第164回直木三十五賞を受賞した著者が、『千年鬼』(徳間文庫刊)に続いて贈る和風ファンタジー。

第一話 独楽の国
第二話 波鳥の国
第三話 碧青の国
第四話 雪意の国
第五話 消去の国
第六話 和茅国
第七話 波賀理の国

作品データ

タイトル:『首取物語』
著者:西條奈加
出版社:徳間書店
発売日:2022/9/10

作家紹介

西條奈加(さいじょう・なか)

1964年北海道生れ。 都内英語専門学校卒業。
2005年『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。
2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞受賞。
2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞受賞。
2021年『心淋し川』で直木賞を受賞。
主な著作に『善人長屋』『はむ・はたる』『千年鬼』『首取物語』などがある。
人情味溢れる時代小説から現代小説まで、幅広い作品で読者の支持を得ている。

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西條奈加の作品紹介

『烏金』(2007/7/1)
『金春屋ゴメス』(2008/9/30)
『御師弥五郎―お伊勢参り道中記』(2010/10/29)
『無花果の実のなるころに 』(2011/2/2)
『みやこさわぎ(お蔦さんの神楽坂日記)』(2019/7/11)
『はむ・はたる』 (2012/03/20)
『善人長屋』(2012/10/01)
『三途の川で落しもの』(2013/6/27)
『いつもが消えた日(お蔦さんの神楽坂日記)』(2013/11/28)
『涅槃の雪』 (2014/08/20)
『四色の藍』(2014/11/07)
『世直し小町りんりん』(2015/5/15)
『千年鬼』(2015/08/15)
『閻魔の世直し―善人長屋―』(2015/10/01)
『上野池之端 鱗や繁盛記』( 2016/10/01)
『みやこさわぎ(お蔦さんの神楽坂日記)』(2016/10/29)
『まるまるの毬』(2017/06/15)
『六花落々』(2017/10/12)
『銀杏手ならい』(2017/11/14)
『ごんたくれ』(2018/01/20)
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』(2018/04/25)
『大川契り―善人長屋―』(2018/07/01)
『九十九藤』(2018/09/20)
『睦月童』(2018/12/28)
『亥子ころころ』(2019/06/26)
『刑罰0号』(2020/2/7)
『わかれ縁』(2020/2/21)
『猫の傀儡』(2020/05/20)
『心淋し川』(2020/09/10)
『隠居すごろく』(2022/02/22)
『無暁の鈴』(2021/04/13)
『曲亭の家』(2021/4/15)
『雨上がり月霞む夜』(2021/11/25)
『隠居すごろく』(2022/02/22)
『千両かざり―女細工師お凜』(2020/09/29)
『無暁の鈴』(2021/04/13)
『永田町小町バトル』(2021/6/4)
『婿どの相逢席』(2021/06/29)
『せき越えぬ』(2021/09/29)
六つの村を越えて髭をなびかせる者』(2022/01/11)
『よろずを引くもの: お蔦さんの神楽坂日記』(2022/05/31)
首取物語』(2022/9/10)

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