【感想】『赤い月の香り』千早茜|記憶は香りとともにある

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赤い月の香り|千早茜

ケイチャン

ケイチャン

【2023年88冊目】

今回ご紹介する一冊は、

千早茜著

『赤い月の香り』です。

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【感想】「記憶は香りとともにある」

嗅覚を刺激する現代小説

作れない香りはない
天才調香師の朔(さく)
彼の住む森の洋館を描く
匂いたつような物語です

怒りが制御できない

満(みつる)くんは
直情型の主人公です
思ったことを素直に口に出し
ストーリーを真っすぐに進めます

しかし欠点がある
怒りが制御出来ず激高してしまう
何度も失敗しておりトラウマです
そして高ぶる感情の中で
幻視するのが
赤い月です

いっぽう天才調香師の朔さんは
ひたすらにクールな人間
人が発する匂いから
その日の体調や感情
さらに性癖などを読み解く
すでにして超人です
香りは口ほどものを言うんですね

さらに朔の友人である
ダーティーな雰囲気が漂う新城と
豪快な庭師の老人の源さんが
洋館のメンバーです

ここに理想の香りを求める
様々なお客さんと
様々なトラブルが
もちこまれてゆく

「記憶は香りとともにある」

郊外の森に佇む古い洋館

香りの原料となる
木々や植物に囲まれた洋館は
なにか現代らしからぬ
桃源郷のようです

そこで繰り広げられる
朔さんと新城のような
魅力的なキャラクターたちが
軽妙なやり取りに
ハマります
かっこいい男って、素敵!

そして天才調香師の朔さん

もはや超能力と言うべき
嗅ぐチカラで
難しい香りを作ることはもとより
依頼主の背後にあるトラブルをも
まるで名探偵のように嗅ぎ取って
解決してゆくミステリー小説の
楽しみも併せて持っています

ラストでは満くんが自分の
赤い月のトラウマと向き合い
乗り越えてゆく
人間成長の物語でした

森の中に佇み
魅力的な男性が待つ洋館に
あなたもきっと
自分だけの香りを注文しに
行きたくなるはずです

作品紹介(出版社より)

天才調香師は、人の欲望を「香り」に変える——。
直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編!

「君からはいつも強い怒りの匂いがした」
カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。
朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。
香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。

境地にして渾身の大河長篇!

作品データ

タイトル:『赤い月の香り』
著者:千早茜
出版社:集英社
発売日:2023/4/26

作家紹介

千早 茜(ちはや・あかね)

1979年北海道生まれ。
2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。
2009年に同作で泉鏡花文学賞受賞。
2013年『あとかた』で島清恋愛文学賞受賞。
2021年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。
他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

千早 茜の作品紹介

『魚神 』(2009年1月)
『おとぎのかけら 』(2010年8月)
『からまる』(2011年2月)
『あやかし草子』(2011年8月)
『森の家』(2012年7月)
『桜の首飾り』(2013年2月)
『あとかた』(2013年6月)
『眠りの庭』(2013年11月)
『男ともだち』(2014年5月)
『西洋菓子店プティ・フール』(2016年2月)
『夜に啼く鳥は』(2016年8月)
『ガーデン』(2017年5月)
『人形たちの白昼夢』(2017年9月)
『クローゼット』(2018年2月)
『正しい女たち』(2018年6月)
『犬も食わない』(2018年10月)
『わるい食べもの』(2018年12月)
『鳥籠の小娘』(2019年1月)
『神様の暇つぶし』(2019年7月)
『さんかく』(2019年10月)
『透明な夜の香り』(2020年4月)
『しつこく わるい食べもの』(2021年2月)
ひきなみ』(2021年4月)
『胃が合うふたり(2021年10月)
『こりずに わるい食べもの』(2021年10月)
しろがねの葉』(2022年9月)
赤い月の香り』(2023年4月)

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