【本の感想】『黒井城燃ゆ』瞬那浩人|生き延びることが、正義である

【2025年120冊目】
今回ご紹介する一冊は、
瞬那浩人 著
『黒井城燃ゆ』
【感想】「生き延びることが、正義である」
明智光秀を本能寺へと掻き立てた男が
丹波にいた!?
黒井城主・赤井(荻野)悪右衛門直正の
知られざる生涯を描いた歴史ミステリーです
戦国時代の『正義』って、なんだ?

本作を読むまで『丹波の赤鬼』こと
荻野直正(おぎの なおまさ)を
僕は知りませんでした
作者によると郷土の英雄的存在
とのことです
この悪童が主人公ですか??
9歳で家臣を手討にする直正くん
その後も叔父を殺し
間接的に妻も殺しちゃう
悪者そのものなんです
しかし戦国時代を生き抜くには
これくらい無茶苦茶でないと
やっていけないのか?
実力ある国人が並び立つ
難政の地、丹波で直正は
戦国武将として成長してゆくのだ
さて表の主人公が直正ならば
本書の裏の主人公は明智光秀です
物語の中盤から登場して
織田家武将として立身出世して
ゆくようすが描かれます
そして丹波合戦へ!
2人の武将にたっぷりと
感情移入したところで
直正vs光秀の戦が始まる!
さて、どちらを応援すべきか?

悩みますねえ
第1戦目は直正に軍配が上がるが
続く第2戦は予想外の結果に終わる
直正の秘策と秘密とは?
そして光秀に何を託したのか?
歴史の
『こんなふうじゃなかったのでは?』
をミステリー風に描いた、本作

戦国時代の丹波の様子も興味深く
ワクワクドキドキと読み進められました

僕の住む岡崎市の郷土の英雄と言えば
徳川家康と東海オンエアですね笑

あなたの街の郷土の英雄はどなたですか?
作品紹介(出版社より)
丹波の赤鬼と恐れられた赤井直正の生涯をスリリングに描く時代劇ミステリー
何故赤鬼は信長に反旗を翻したのか?
丹波で孤立する赤鬼には秘策が
絶体絶命の危機に晒される知将
立ちはだかる影武者は誰だ?
リベンジに燃える知将
病に臥せっていた猛将が立ち上がる
丹波平定の最終決戦は再び黒井城
戦国に生きた男と女
スリルとサスペンス
知られざる黒井城の戦い
ついに真相が明かされる
推理作家が時代劇を書くとこうなった
─ 協力・一般社団法人丹波市観光協会 ─
目次
第一章 疫病神
第二章 叔父殺し
第三章 光秀登場
第四章 臣下の礼
第五章 知将対猛将
第六章 赤鬼の幽霊
終章 丹波、愛宕神社
【著者より】
丹波市に移住して五年目、この地域では明智光秀の人気が圧倒的だ。旧丹波国とは現在の京都府亀岡市、福知山市、綾部市、丹南市、京丹波町、京都市の一部、兵庫県丹波篠山市、丹波市、大阪府高槻市の一部という広域で、戦国時代には血で血を洗う壮絶な国盗り合戦が繰り返されていた。
ところで丹波市では、明智光秀と同じくらい人気がある戦国武将がいる。黒井城の戦い(第一次)で、明智軍を大敗させた「丹波の赤鬼」こと荻野悪右衛門直正である。多くの文献では、荻野姓で記載され、また直正自身も書状に「荻悪」と記し、荻野姓を名乗っているようだが、直正は実家である赤井一族を支えたことから、丹波市民の間では敬愛を込めて赤井直正と呼ばれている。
領地で善政を行ったと伝えられる明智光秀に対し、乱暴な振る舞いで領民に恐れられた逸話も多い武将、今風に言えばダークヒーロー。赤井直正について調べれば調べる程、二人の対比は面白かった。イメージを膨らませる中で「黒井城の戦い」が「本能寺の変」の伏線というトリックを思いつき、主演を赤井直正に、助演を明智光秀にしたドラマの構想を練っていった。
執筆にあたり、赤井直正を単純な悪役にはせず、苦悩し自戒の念を持ちながらも、自らの正義を信じて、三好長慶や織田信長ら天下人に抗っていく不器用で真摯な男に描くことを特に留意した。本作は歴史時代小説というよりもミステリー。また、勇ましいだけの戦記物ではなく、反戦の祈りを込めた。史実と異なる部分はご容赦頂きたい。
作品データ
タイトル:『黒井城燃ゆ』
著者:瞬那浩人
出版社:SHS企画
発売日:2025/10/1
作家紹介
瞬那浩人(しゅんな・ひろと)
1960年、兵庫県生まれ。関西大学大学院修士課程を修了後、セイコーエプソン株式会社に入社。
従来のキャッシュレジスターからPOSレジへ転換させたエポックメイキング製品を企画、開発。
自身が発明者となる特許群を日米欧で多数出願し、登録。
商品企画、開発設計から知財管理まで広範囲に従事した後、会社を退職。
初めて小説を書いたのは会社員時代の2013年、小説現代・長編新人賞に応募。その小説が一次選考を通過し、小説家を目指す。
2022年、セイコーエプソンを退社、「下弦の月に消えた女」で小説家デビュー。
瞬那浩人の作品紹介
『下弦の月に消えた女』2022/3/7
『家出少女は危険すぎる: フーダニットミステリー小説』2023/12/19
『残された命の証し』2024/5/15
『ザ・ブレット・イン・マイ・ライフ』2025/1/10
『黒井城燃ゆ』2025/10/1

