【感想】『風配図 WIND ROSE』皆川博子|自力で生きるチカラが欲しい

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風配図 WIND ROSE|皆川博子

ケイチャン

ケイチャン

【2023年74冊目】
今回ご紹介する一冊は、
皆川博子 著
『風配図 WIND ROSE』 です。

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【感想】「自力で生きるチカラが欲しいる」

歴史小説 

12世紀のバルト海を舞台に
男性の従属物である運命に抗い
自由な交易商人を目指した
少女たちを描く物語です

冒頭から怒涛の展開!

陰鬱な結婚式から
嵐の難破船救出
そして
決闘裁判と突き進む

フェンリルの化身、ヘルガ

15歳の新妻、ヘルガ
初夜の屈辱を注ぐために
決闘裁判の代理人として
戦います

大方予想を覆して勝利するヘルガ
そしてドイツの新興商都
リューベックへ向かう
ここから彼女の自由を求める
旅が始まるのだ

「自力で生きるチカラが欲しい」

女性の生きる姿を描く本作
様々なタイプの魅力的な
女性が現れます

反骨精神のヘルガ
ヘルガに憧れる努力家のアグネ
そして商人の夫を亡くしながらも
したたかに立ち回るヒンデグント

女は男に従うもの

こんな世相に
従うことを是としない
懸命に抗う姿が美しい
がんばれ、女の子!

物語はノブゴロドを中心に
ゴットランド島のヴィスビュー
ドイツのリューベックの
3都市を巡るように進みます

でも目指す自由って
なーに?

男性の
君主も貴族も富豪も
さらなる富や名声を求めて
縛られてしまっているようです
人の自由って、何なんだろう?

権力争いで騒乱となるノヴゴロド

傷を負いながらも
生き延びたヘルガが
何を思ったのかは
語られませんが
僕は女同様に
男も縛られた不自由な
存在だと思ったのでは
ないかと思います

人である限りは
自由などない

そんな運命を受け入れて
生きる決心をしたのでは
ないでしょうか?

ヘルガとアグネ
2人の少女の成長と
生きざまに
強い風を受けて
帆を膨らませるような
気持ちになりました

未知なる世界に
旅立つ勇気って
素晴らしいですね

作品紹介(出版社より)

12世紀。少女ヘルガは強いられた結婚から逃れ、交易商を志すが――バルト海交易で栄える三都市を舞台に、不条理と動乱の中、自らの道を求め生きる少女達を描く、皆川博子の新たな代表作!

皆川博子 新たな代表作、誕生。
自らの道を求め交易商人を志した二人の少女の物語。


少年の日に夢見た「本物の文学」という幻に、今日、出逢ってしまいました。
パンドラの匣に残された最後の希望のような言葉の冒険。 ――穂村弘

記録に決して残らない「が、あったはず!」の歴史的瞬間。
虐げられし者たちが織り成す、魂の生存を賭けた「智」の連鎖。
時を超えて掘り出されるその昏き光彩、まさに圧巻! ――マライ・メントライン



1160年5月、バルト海交易の要衝ゴットランド島。
流れ着いた難破船の積荷をめぐり、生存者であるドイツ商人と島民の間で決闘裁判が行われることとなった。重傷を負った商人の代闘に立ったのは、15歳の少女ヘルガ。
義妹アグネが見守る中、裁判の幕が開き、運命が動き出す――

ドイツ商人が北へ進出し、ロシア・ノヴゴロドでは政争が頻発するなど動乱の時代を生きた人々を詩歌や戯曲形式も交えて紡ぐ、小説の新たな可能性を拓く傑作長篇!

作品データ

タイトル:『風配図 WIND ROSE』
著者:皆川博子
出版社:河出書房新社
発売日:2023/5/9

作家紹介

皆川博子(みながわ・ひろこ)

1930年、旧朝鮮京城生まれ。
1973年、「アルカディアの夏」で第20回小説現代新人賞を受賞。
1985年、「壁――旅芝居殺人事件」で第38回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。
1986年、『恋紅』で第95回直木賞を受賞。
1990年、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を受賞。
1998年、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を受賞。
2012年、『開かせていただき光栄です』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。
2012年、第16回日本ミステリー文学大賞を受賞。

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