【本の感想】『バタン島漂流記』西條奈加|あきらめないこと

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バタン島漂流記|西條奈加

ケイチャン

ケイチャン

【2024年111冊目】

今回ご紹介する一冊は、

西條奈加 著

バタン島漂流記』です。

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【感想】「あきらめないこと」

漂流歴史小説

生きて再び日本の地へ帰る!
江戸時代初期に難破漂流した
15人の船乗りたちがたどり着いた
バタン島での冒険の物語です

ケイチャン

ケイチャン

で、バタン島って、どこ?

漂流って言葉には悲壮さと一緒に
ロマンの響きがありますね
ここではないどこかに流されて
そこでなにが待っているのでしょうか・・

到着目前で大嵐にあう

江戸から名古屋へ向かう
商船の颯天丸(はやてまる)
当時の最先端をいく新造船です
目的地の尾張まであと少し

しかしここで冬の大嵐に遭う
颯天丸は強い波風に舵も帆も失い
太平洋を蛇行する黒潮に乗り
漂流を余儀なくされます

そして流れ着いたのが
現在のフィリピン領にあるバタン島
やった!生き延びた!!
と喜ぶのも束の間でした

あまりに異質な島民たちに驚き
トラブルを起こしてしまうのだ
ファーストコンタクトに失敗した
船乗りたちは囚われてしまう

未開の島の文字も持たぬ島民たち

船乗りたちは奴隷とされてしまう
過酷な労働に心折れそうになるが
それよりももっと衝撃なのは
島の棄老の習慣でした

この島から脱出するんだ

しかし身ぐるみ剥がれ奴隷
とされた船乗りたちは
この島をどうやって脱出して
日本に帰ればいいのだろうか?

「あきらめないこと」

沈没を防ぐべく大嵐と戦う
船乗りたちの姿に
息を呑みます

ケイチャン

ケイチャン

・・がんばれ!

続く、舵と帆を失い
漂流するシーンでは
絶望的な状況に悲壮感が漂う

ケイチャン

ケイチャン

・・あきらめるな!

そして流れ着いたバタン島

海流の加減なのでしょうか
この島には江戸時代に4度も
日本の船が漂着しているようです
(Wikipediaによる)

言葉は通じず
文化も違い
理解し難い島民たち

だがこの島を脱出するには
島民たちの協力が不可欠なことに
船乗りたちは気がついてゆく
なんとかして、どうにかして
彼らの理解を得ねばならない

持てる全てをもって
船乗りたちは
脱出用の船を建造する

やがで船乗りたちの熱意は
島民たちを動かす

ケイチャン

ケイチャン


このドラマチックな展開に
心が熱くなります

ケイチャン

ケイチャン


そして出航する新・颯天丸
故国への旅路も冒険的で
ワクワクします

死ぬもの
残るもの
帰るもの

ケイチャン

ケイチャン

船乗りたちそれぞれの生きざまを描く
人間ドラマも素晴らしいものでした

ケイチャン

ケイチャン

漂流者たちの冒険を描く本作
思いもよらない不運に負けず
協力して運命に立ち向かう
尊さを感じました

作品紹介(出版社より)

「板子一枚下は地獄」
――それが船乗り稼業。どんな過酷な遭難であろうと必ず生きて帰る。

船大工を志すものの挫折し、水夫(かこ)に鞍替えした和久郎は、屈託を抱えながらも廻船業に従事している。ある航海の折、船が難破してしまう。船乗りたちは大海原の真っ只中に漂う他ない。生還は絶望的な状況。だが、それは和久郎たちにとって、試練の始まりに過ぎなかった……。

作品データ

タイトル:『バタン島漂流記』
著者:西條奈加
出版社:光文社
発売日:2024/6/26

作家紹介

西條奈加(さいじょう・なか)

1964年北海道生れ。 都内英語専門学校卒業。
2005年『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。
2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞受賞。
2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞受賞。
2021年『心淋し川』で直木賞を受賞。
主な著作に『善人長屋』『はむ・はたる』『千年鬼』『首取物語』などがある。
人情味溢れる時代小説から現代小説まで、幅広い作品で読者の支持を得ている。

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西條奈加の作品紹介

『烏金』(2007/7/1)
『金春屋ゴメス』(2008/9/30)
『御師弥五郎―お伊勢参り道中記』(2010/10/29)
『無花果の実のなるころに 』(2011/2/2)
『みやこさわぎ(お蔦さんの神楽坂日記)』(2019/7/11)
『はむ・はたる』 (2012/03/20)
『善人長屋』(2012/10/01)
『三途の川で落しもの』(2013/6/27)
『いつもが消えた日(お蔦さんの神楽坂日記)』(2013/11/28)
『涅槃の雪』 (2014/08/20)
『四色の藍』(2014/11/07)
『世直し小町りんりん』(2015/5/15)
『千年鬼』(2015/08/15)
『閻魔の世直し―善人長屋―』(2015/10/01)
『上野池之端 鱗や繁盛記』( 2016/10/01)
『みやこさわぎ(お蔦さんの神楽坂日記)』(2016/10/29)
『まるまるの毬』(2017/06/15)
『六花落々』(2017/10/12)
『銀杏手ならい』(2017/11/14)
『ごんたくれ』(2018/01/20)
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』(2018/04/25)
『大川契り―善人長屋―』(2018/07/01)
『九十九藤』(2018/09/20)
『睦月童』(2018/12/28)
『亥子ころころ』(2019/06/26)
『刑罰0号』(2020/2/7)
『わかれ縁』(2020/2/21)
『猫の傀儡』(2020/05/20)
『心淋し川』(2020/09/10)
『隠居すごろく』(2022/02/22)
『無暁の鈴』(2021/04/13)
『曲亭の家』(2021/4/15)
『雨上がり月霞む夜』(2021/11/25)
『隠居すごろく』(2022/02/22)
『千両かざり―女細工師お凜』(2020/09/29)
『無暁の鈴』(2021/04/13)
『永田町小町バトル』(2021/6/4)
『婿どの相逢席』(2021/06/29)
『せき越えぬ』(2021/09/29)
六つの村を越えて髭をなびかせる者』(2022/01/11)
『よろずを引くもの: お蔦さんの神楽坂日記』(2022/05/31)
首取物語』(2022/9/10)
バタン島漂流記』2024/6/26

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