【感想】『涅槃・上・』垣根涼介|人は運命の川に流れる水である

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垣根涼介『涅槃』上巻

ケイチャン

ケイチャン

今回ご紹介する一冊は、

垣根涼介 著
『涅槃』上巻 です。

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【感想】「人は運命の川に流れる水である」

歴史小説

備前の戦国武将、宇喜多直家の物語です

時は戦国!
力こそが全て
弱きは去れの
下剋上の時代

裏切られて、一族は滅亡
落城からあてなく彷徨うところから
物語はスタートします

商人に庇護され
尼寺で育つ
武士として
異例の環境で成長する
八郎ことのちの宇喜多直家

領地は所有するのではない
領地を経営するのだ!

一所懸命の字のごとく
土地にしがみつく他の武士とは
異なるマインドを持ちます

そして始まる修行時代
凄腕の浪人から槍の修行をするのは
まー武士として当然なのですが
ここで垣根涼介の真骨頂とでも言うべきか
年上の女性からトンデモナイ修行を受けるのです

・・ああ、僕も年上のお姉さまに
恋のレッスンを受けてみたかったなぁ笑笑

「人は運命の川に流れる水である」

一族の棟梁として運命づけられたお家再興と
ヒトとして望む愛する人との安寧の日々
相反する相克に苦しみながらも
非情な時代に立ち向かう
1人の男の姿に
あなたも自分の姿を見ることでしょう

作品紹介(出版社より)

死後440年、蹴りに蹴り続けられた男、宇喜多直家。その実像を浮き彫りにする。『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』――歴史小説界に革命を起こし続ける著者が描く、戦国史上最悪と呼ばれた梟雄の素顔。

自分は何故、零落した武門に生まれたのか。どうして自分は、
このような孤独な星のもとに生まれたのか……答えは出ない。
豪商・阿部善定は、没落した宇喜多家の家族をまるごと引き取る決意をする。まだ幼い八郎の中に、稀有な非凡さを見い出したがゆえである。この子であれば、やがて宇喜多家を再興できるのではと期待を寄せた。一方、八郎は孤独な少年時代の中で、商いの重要性に早くから気付き、町や商人の暮らしに強く惹かれる。青年期に差し掛かる頃、年上の女性・紗代と深く関わり合うことで、自身の血に流れる宿命を再確認する――八郎は、やがて直家となる。
予め定められた星の許に生まれ、本人が好む好まざるにかかわらず、
常に極彩色に血塗られた修羅道を突き進むことになるだろう。

歴史は、常に勝者の都合によって捏造され、喧伝される。敗者は、彼岸にて沈黙するのみである。
少年は、運命から自由になりたかった。だが、幼少の頃から武門の再興を定められていた。
織田と毛利を天秤(はかり)にかけ、夢と現(うつつ)の狭間をあがき続ける。

宇喜多家の存続のためには、どんなことでもする。我が死でさえも、
交渉の切り札に使う。世間でいう武士道など、直家にとってはどうでもいい。
そんなものは、犬にでも呉れてやる。
直家は宇喜多家を再興し、石山城(岡山城)を国内商業の拠点と定める。同時に、近隣の浦上や三村と激しくつばぜり合いをくり返し、彼らの背後にいる巨大勢力の毛利・織田の狭間で、神経を削りながら戦い続ける。
直家の生来の臆病さを良く知る妻のお福。生涯の恩人となった阿部善定。旧縁である黒田満隆と官兵衛の親子。直家が武士に取り立てた商人・小西行長……様々な人との関わりから、直家は世の理(ことわり)に気付いていく。
――人の縁で、世は永劫に回り続けていく。

作品データ

タイトル:『涅槃・上』
著:垣根涼介
出版社:朝日新聞出版
発売日:2021/9/17

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