【本の感想】『ゆびさきに魔法』三浦しをん|好きを職業にする、喜び

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三浦しをん『ゆびさきに魔法』を読んだ感想とクッキー

ケイチャン

ケイチャン

【2025年5冊目】

今回ご紹介する一冊は、

三浦しをん 著

『ゆびさきに魔法』です。

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【感想】「好きを職業にする、喜び」

ネイル小説

指を見る度に幸せな気持ちになる
そんな魔法がネイルアート
日々、研鑽に努めるネイリストたちを描く
ネイル大好き!な、お仕事小説です

魔法使いになるには、修行が必要だよ

ネイルサロン『月と星』を営む
月島美佐(つきしま みさ)さん
大好きなネイルを職業にしているが
毎日1階のサロンと2階の自宅を
上下する日々を少し倦んでいるようです

ちょっと変化が欲しいかも・・

そんな彼女に弟子入りするのが
お酒大好きでコミュ力が強よ強よな
大沢星絵(おおさわ ほしえ)ちゃん
元気満タン、若さ爆発の女の子ですが
少し技量に自信がないところがあります

私が育ててあげたい!

でも師匠を育てるのが
弟子ということもある
互いに技量を高め合う2人の姿に
胸が熱くなるんだ・・

「好きを職業にする、喜び」

押しかけ弟子の登場に
少しとまどう美佐さん
けど隣の居酒屋『あと一杯』で
しこたま飲んで仲良くなる様子が
コミカルでとても楽しい

ケイチャン

ケイチャン

僕も煮付けで一杯やりたい!

コミュニケーション能力に優れる
星絵ちゃんのおかげで
他人だったご近所の皆さんが
顔見知りの地元の仲間となります

ぐんぐん広がる交流が嬉しい!

さて師匠となった美佐さんだが
彼女には後悔に似たトラウマの
ような気持ちがありました
それがかつての共同経営者のことです

彼女の技量には及ばない・・

そんな劣等感に耐え切れず
自ら袂を別れた友人と再び
交流を取り戻すことを決意します
心の葛藤が描かれ物語に入り込む

ケイチャン

ケイチャン

ここで2人の共通の友人が語る
『幸せの青い鳥』理論にぐっときました

幸せは身近にある
けどそれを知るには
広い世界を知る必要がある

悩み、悩んだ末に
星絵ちゃんを元共同経営者の元へ
修行に出すシーンに
真の師匠の姿を見ました

けど1人になると寂しい

このまま帰って来ないのでは
と心配し
でもそれが星絵ちゃんの為ならば
仕方ない・・と悶々と思う美佐さん

心配しなくとも大丈夫だよ

修行が明けた新年の日に
ひとまわり大きくなって
帰ってきた星絵と共に
隣の居酒屋に向かう美佐さん

ケイチャン

ケイチャン

2人の軽やかな足音が聞こえるようでした

仕事の苦しみと悩み
けどそれ以上の情熱と喜びが
ネイリストという職業にはある
コミカルに描かれたお仕事小説でした

ケイチャン

ケイチャン

僕もゆみびさきに
魔法をかけてもらいたいな!

作品紹介(出版社より)

育児中も、おじさんも、俳優も、ネイルのある毎日はいつだって幸せ

クスリと笑えて胸温まる――。しをん節炸裂! ザ・王道“お仕事”小説


月島美佐はネイルサロン『月と星』を営むネイリストだ。爪を美しく輝かせることで、日々の暮らしに潤いと希望を宿らせる――ネイルの魔法を信じてコツコツ働く毎日である。そんな月島のもとには今日も様々なお客様がやって来る。
 巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居を跨ごうとしない居酒屋の大将。子育てに忙しく、自分をメンテナンスする暇もなくストレスを抱えるママ。ネイルが大好きなのに、パブリック・イメージからネイル愛を大っぴらにはできない国民的大河男優……。
 酒に飲まれがちながらも熱意に満ちた新米ネイリスト・大沢星絵を得て、今日も『月と星』はお客様の爪に魔法をかけていく。

登場人物
月島美佐 『月と星』を営むネイリスト。丁寧で正確な施術が得意。悩みは人手不足。仕事に忙しく、恋の仕方は忘れてしまった。
大沢星絵 求職中の新米ネイリスト。独創的なセンスの持ち主だが、基礎技術に少しだけ難アリ。すぐに人と打ち解ける高い能力を持つ一方、酒に飲まれると記憶を綺麗に失う。
松永 居酒屋「あと一杯」の大将。巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居をまたごうとしない。煮付けを大沢に溺愛されている。
上野琴子 子育てに忙殺される。ネイルをしたいが、「母親失格」と思われるのではと気に病んでいる。
村瀬成之 国民的人気を誇るイケメン俳優。ネイルを心から愛するも、パブリック・イメージからそれを明かせずにいる。

作品データ

タイトル:『ゆびさきに魔法』
著者:三浦しをん
出版社:文藝春秋
発売日:2024/11/25

作家紹介

三浦しをん(みうら・しをん)

1976年東京生まれ。
2000年『格闘する者に○(まる)』でデビュー。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。
2012年『舟を編む』で本屋大賞受賞。
2015年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞受賞。
2018年『ののはな通信』で島清恋愛文学賞受賞。
2019年に河合隼雄物語賞受賞。
2019年『愛なき世界』で日本植物学会賞特別賞を受賞。
そのほかの小説に『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』など、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』など、多数の著書がある。

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三浦しをんの作品紹介

『格闘する者に○ 』2000/04/01
『妄想炸裂』 2001/07/01
『白蛇島』 2001/11/01
『秘密の花園』 2002/03/01
『しをんのしおり』 2002/05/21
『人生激場』 2003/10/23
『夢のような幸福』 2003/12/01
『私が語りはじめた彼は』 2004/05/25
『乙女なげやり』 2004/06/01
『むかしのはなし』 2005/02/25
『まほろ駅前多田便利軒 2006/03/28
『三四郎はそれから門を出た』 2006/07/01
『風が強く吹いている』 2006/09/21
『シュミじゃないんだ』 2006/11/01
『あやつられ文楽鑑賞』 2007/05/01
『きみはポラリス』 2007/05/01
『光』 2008/11/26
『神去なあなあ日常』 2009/05/15
『星間商事株式会社社史編纂室』 2009/07/11
『まほろ駅前番外地』 2009/10/15
『天国旅行』 2010/03/01
『シティ・マラソンズ』 2010/10/29
『木暮荘物語』2010/10/29
『ふむふむ―おしえて、お仕事!』 2011/06/01
『舟を編む』 2011/09/17
『お友だちからお願いします』 2012/08/11
『本屋さんで待ち合わせ』 2012/10/06
『神去なあなあ夜話』 2012/11/28
『政と源』 2013/08/26
『まほろ駅前狂騒曲』 2013/10/30
『あの家に暮らす四人の女』 2015/07/09
『ののはな通信』 2018/05/26
『愛なき世界』 2018/09/07
『のっけから失礼します』 2019/08/05
『マナーはいらない 小説の書きかた講座』 2020/11/05
『月魚 (大活字本シリーズ) 』2022/05/20
墨のゆらめき』 2023/05/31
ゆびさきに魔法』2024/11/25

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