ケイチャン
【2024年58冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夏川草介 著
『君を守ろうとする猫の話』です。
もくじ
【感想】「読書好きなら知っている本当に大切なもの」
本を守るあのトラネコが帰ったきた!
本好きの少女と共に対決するのは
この世でもっと強いモノ・・
青春冒険ファンタジーの第2弾です
心の声よ、強く響け!
前作『本を守ろうとする猫の話』の続編
今回、書棚から差す青い光の迷宮に挑むのは
喘息持ちの中学生女子のナナミちゃんです
・・奪われた本は、私が取り戻すんだ
古い名作なんて、もういらない?
図書館から本が盗まれている!
三銃士のダルタニアン物語や
ルパン三世ではない、アルセーヌ・ルパンシリーズ
子供の頃に共に冒険した
本たちが無くなっているのだ
本を盗み焼き、無き物にしているのは
希望なき無表情をした、灰色の男
自分が良ければ、それで良い
そんな今に本など必要ないのだ
人間の欲望が生み出した
最強の敵を前にして
トラネコとともに立つナナミは
何を語るのか?
ミヒャエル・エンデの『モモ』に
登場する時間どろぼうのような
灰色の男は
お金でした
お金を稼いで豊かになって
自分さえよければそれで良い
そんな現代の刹那的な価値観が
具現化したものです
でも僕たちは本に教えてもらっている
『星の王子さま』は言っている
本当に大切なものは目に見えない、と
心の豊かさこそ本当に価値あるものですよね
まだ中学生のナナミちゃんの
明日を信じられる子供だからこその
心からの言葉に
汚れちまった大人の僕は
心動かされました
アレクサンドル・デュマや
ジュール・ヴェルヌの冒険小説に
心を躍らせた少年時代を
思い出させる本作
本は友人だって
みなさんもそう思っているはず
懐かしいあの友人に
また会いに行ってはどうでしょうか
作品紹介(出版社より)
お前なら、きっと本を取り戻せるはずだ。
幸崎ナナミは十三歳の中学二年生である。喘息の持病があるため、あちこち遊びに出かけるわけにもいかず学校が終わるとひとりで図書館に足を運ぶ生活を送っている。その図書館で、最近本がなくなっているらしい。館内の探索を始めたナナミは、青白く輝いている書棚の前で、翡翠色の目をした猫と出会う。なぜ本を燃やすんですか?
「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落としたときに、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」
ようこそ、新たな迷宮へ。
作品データ
タイトル:『君を守ろうとする猫の話』
著者:夏川草介
出版社:小学館
発売日:2024/2/28
作家紹介
夏川草介(なつかわ・そうすけ)
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。長野県にて地域医療に従事。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書で2010年本屋大賞第2位、映画化もされた。
他の著著に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『本を守ろうとする猫の話』がある。
夏川草介の作品紹介
『神様のカルテ』2009/8/27
『神様のカルテ2』2010/9/28
『神様のカルテ3』2012/8/8
『本を守ろうとする猫の話』2017/1/31
『新章 神様のカルテ』2019/1/31
『勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~』2019/11/28
『始まりの木』2020/9/25
『臨床の砦』2021/4/23
『レッドゾーン』2022/8/30
『スピノザの診察室』2023/10/27
『君を守ろうとする猫の話』2024/2/28