【感想】『不思議カフェNEKOMIMI』村山早紀|半径5メートルを幸せにする魔法

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不思議カフェ NEKOMIMI|村山早紀

ケイチャン

ケイチャン

【2023年61冊目】

今回ご紹介する一冊は、

村山早紀 著

『不思議カフェNEKOMIMI』です。

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【感想】「半径5メートルを幸せにする魔法」

魔法ファンタジー

なんでも出来ちゃう
魔法のカフェへようこそ!
好きなおかずだけを詰め込んだ
彩り弁当のような物語です

還暦間近な女性
律子さんが主人公です
50代子供なし独身で
もうすぐ職も失う身の上です

ネガティブなワードが並ぶ
身上ですが、律子さんは
身近な生活を大切にし
感謝を忘れない
つつましい女性です
・・でも最近、頭痛が酷いんだ・・

ある雨の夜にひん死の黒猫と
出会います
それはかつて飼っていた猫の
生まれ変わりでした

嬉しい再会でしたが
思いがけない事態が起こる
酷い頭痛で倒れる律子さん
彼女はその夜、死ぬ運命だったのです

ランプの魔神は猫ちゃん?

ここで登場するのが
魔法のランプ
かつて律子さんの運命を知る
占い師から譲り受けたものです

運命は避けることができない
だが
運命を変えることはできる
そして律子さんは
人間を辞めて
なんでも出来ちゃう
魔法使いへと転生するのでした

かくして魔法使い律子さんは
黒猫のメロディ、その他
ランプの魔神、死んだ猫ちゃんたち、
庭の植物たちとゆー一家総出で
空飛ぶ不思議な車に乗り込み
永遠の旅に出るのでした

「半径5メートルを幸せにする魔法」

なんでも出来ちゃう
魔法ってスゴイ!
冷蔵庫には欲しい食材が
望むだけでいっぱいになるし
必要な調理器具だって
望むだけで出てくるんだ

・・ん?

魔法使い律子さんは
魔法使いになっても
つつましいのです
望むのは身の回りの
幸せ

そんな不思議な存在になった
律子さんが旅で出会うのが
やはり不思議な存在たち

歩く、雛人形
化け狸と学校の妖怪たち
神様になったお姫様
そして人間たち

困っている彼らに
協力しつつ
律子さんと
空飛ぶ不思議な車の仲間たちの
旅は続くのです

結局、律子さんがやっているのは
暖かいおもてなしだけ
なんですね
でもこれって僕らにも
出来ますよね!

つまり僕らも魔法使いなんです笑

そんな強引なまとめ方も
許されてしまうような
小さな幸せだけを詰め込んだ
暖かく甘い、お話でした

ひょっとしたら、あなたも
周りの人を幸せにする魔法が
使えるんじゃないですか?

作品紹介(出版社より)

あなたの、ささやかな生には意味がある。
毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。

<彼女は善い魔法使いとなり、出会ったひとびとを救い、幸福にするための力を手に入れるのですが、それは世界の片隅で起きるひそかな物語、ほんとうに小さな魔法です。地球を救ったり、闇の力と戦ったり、そういう壮大な物語ではありません。時の狭間の中で忘れられてゆくような、忘れられてきたような、小さな祈りや命をひとつひとつ大切にすくい上げてゆく、そんな物語です>――著者あとがきより

人ならぬ身となり、黒猫メロディとともに空飛ぶ車に乗った律子は、旅先でいろんなひとや妖怪と出会ったり、時にはカフェを開いてお客様に料理やお茶をふるまったり…。2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな、小さな魔法の物語。

作品データ

タイトル:『不思議カフェNEKOMIMI』
著者:村山早紀
出版社:小学館
発売日:2023/1/25

作家紹介

村山早紀(むらやま・さき)

1963年長崎県生まれ、在住。
『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第四回椋鳩十児童文学賞を受賞。

村山早紀の作品紹介

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