【感想】『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』三津田信三|現実と怪異の境界線は、たそがれのよう

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歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理|三津田信三

ケイチャン

ケイチャン

【2023年92冊目】

今回ご紹介する一冊は、

三津田信三 著

『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』です。

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【感想】「現実と怪異の境界線は、たそがれのよう」

怪奇探偵ホラーミステリー

探偵作家、刀城言耶(とうじょう げんや)が
大学に招かれ図書館地下に1室を開く
それが『怪異民族研究室』・・
そこで語られる怪異譚を
解き明かす物語です

探偵がなかなか出てこない

無明大学の学生
瞳星愛(とうしょう あい)と
院生の天弓馬人(てんきゅう まひと)が
刀城言耶から送られる手紙を読んで
謎を解いてゆくとゆー
変わった形式となっております

刀城言耶は登場しないのか?

そこで語られる怪異譚が
本当に好き笑
だっておどろおどろしくって
怖いんだもん笑笑

字がすでに、怖い

亡者(ぼうもん)
淡首様(あおくびさま)
狐鬼(こき)と蟇家(がまや)
座敷婆(ざしきばば)
口食女(くちばおんな)

ぶるるッ、こわいこわい、怖いって!

よくもま~こんなに
怖くて嬉しくなっちゃう
ドキドキする怪異名を
思いつくもんだな~と
毎回感心してしまいます笑

「現実と怪異の境界線は、たそがれのよう」

三津田作品の醍醐味である
ホラーとミステリーの
境界線すれすれをゆく
ストーリー展開は健在

怪異の祟りなのか
人為の犯罪なのか
ギリギリの細い糸を
切らさないように
手繰るところが見事です

反骨の女子大生、瞳星愛ちゃんと
怖がりな文学青年、天弓馬人くんの
凸凹コンビのやり取りも
なかなか楽しいのです

作者の新しい試みと
仕掛けに満ちた本作
凸凹コンビのふたりとともに
あなたも怪奇の謎を
解き明かしていきましょう♪

作品紹介(出版社より)

亡者は海より這い上がり、首無女が迫り来る――。

瀬戸内にある波鳥町。その町にある、かつて亡者道と呼ばれた海沿いの道では、日の暮れかけた逢魔が時に、ふらふらと歩く亡者が目撃されたという。かつて体験した「亡者」についての忌まわしい出来事について話すため、大学生の瞳星愛は、刀城言耶という作家が講師を務める「怪異民俗学研究室」、通称「怪民研」を訪ねた。言耶は不在で、留守を任されている天弓馬人という若い作家にその話をすることに。こんな研究室に在籍していながらとても怖がりな馬人は、怪異譚を怪異譚のまま放置できず、現実的ないくつもの解釈を提示する。あの日、愛が遭遇したものはいったい何だったのか――(「第一話 歩く亡者」)。ホラー×ミステリの名手による戦慄の新シリーズ始動!

作品データ

タイトル:『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』
著者:三津田信三
出版社:KADOKAWA
発売日:2023/6/6

作家紹介

三津田信三(みつだ・しんぞう)

奈良県出身。
2001年『ホラー作家の棲む家』(文庫で『忌館』と改題)で作家デビュー。
2010年、刀城言耶シリーズの『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞受賞。

三津田信三の作品紹介

『十三の呪 死相学探偵1』(2008/6/25)
『忌館 ホラー作家の棲む家』(2008/7/15)
『厭魅の如き憑くもの』(2009/3/13)
『四隅の魔 死相学探偵2』(2009/3/25)
『赫眼』(2009/9/8)
『六蠱の躯 死相学探偵3』(2010/3/21)
『首無の如き祟るもの』(2010/5/14)
『災園』(2010/9/9)
『作者不詳 ミステリ作家の読む本  上』(2010/12/15)
『山魔の如き嗤うもの』(2011/5/13)
『密室の如き籠るもの』(2012/5/15)
『スラッシャー 廃園の殺人』(2012/9/14)
『凶鳥の如き忌むもの』(2012/10/16)
『水魑の如き沈むもの』(2013/5/15)
『七人の鬼ごっこ』(2013/9/10)
『蛇棺葬』(2013/10/16)
『禍家』(2013/11/22)
『百蛇堂<怪談作家の語る話>』(2013/12/13)
『五骨の刃 死相学探偵4』(2014/3/25)
『生霊の如き重るもの』(2014/7/15)
『シェルター 終末の殺人』(2015/1/15)
『のぞきめ』(2015/3/25)
『幽女の如き怨むもの』(2015/6/12)
『ついてくるもの』(2015/9/15)
『十二の贄 死相学探偵5』(2015/11/21)
『八獄の界 死相学探偵6』(2016/11/25)
『どこの家にも怖いものはいる』(2017/6/22)
『凶宅』(2017/11/25)
『誰かの家』(2018/3/15)
『怪談のテープ起こし』(2019/1/18)
『黒面の狐』(2019/3/8)
『魔偶の如き齎すもの』(2019/7/11)
『九孔の罠 死相学探偵7』(2019/12/24)
『わざと忌み家を建てて棲む』(2020/6/24)
『そこに無い家に呼ばれる』(2020/7/20)
『逢魔宿り』(2020/9/30)
『忌物堂鬼談 』(2020/10/15)
『魔邸』(2020/11/21)
『死相学探偵最後の事件』(2021/1/22)
『碆霊の如き祀るもの』(2021/6/15)
忌名の如き贄るもの』(2021/7/29)
『犯罪乱歩幻想』(2021/9/18)
『白魔の塔 』(2021/10/6)
赫衣の闇』(2021/12/9)
『みみそぎ』 2022/11/25
歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』 2023/06/06
『七人怪談』 2023/06/21

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