【感想】『赫衣の闇』三津田信三|人か?怪異か?密室殺人!

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赫衣の闇 |三津田信三

ケイチャン

ケイチャン

【2022年11冊目】

今回ご紹介する一冊は、

三津田信三 著

『赫衣の闇』です。

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【感想】「人か?怪異か?密室殺人!」

怪奇探偵小説

第2次世界大戦後の荒廃した東京
そこに発生した『やみ市』
無秩序に建てられたそれは
迷路のよう・・

事件が起こったのは
軒先に掲げられた赤ちょうちんが
宵闇を照らす風景から
通称『赤迷宮』と言われる闇市

現れたのは
女性を付け回す怪しい男
人呼んで赫衣

事件なのか怪異なのか
他称名探偵の
物理波矢多(もとろいはやた)
が謎に挑む!

ホラーよりのミステリー小説です
もうね、名前が怖い
闇市(やみいち)
赤迷宮(あかめいきゅう)
赫衣(あかごろも)
音に出して口にしてみてください
ああ、もうおぞましい!
三津田信三のネームセンスに
やられてしまう笑

「人か?怪異か?密室殺人!」

波矢多が挑む密室殺人
容疑者の背景が
時代を映しています

空襲で家族を失った
戦災孤児の少年

日本軍に家族を殺された
中国人の老人

朝鮮人に育てられた
若者

戦争で心に傷を負った
警察官

その他にも
国策で売春婦となった
パンパンガールなど
戦争で運命を狂わされた人々が
懸命に生きる姿が描かれます

赫衣(あかごろも)の由来も
非常に怖い

そしてたどり着いた
波矢多の悲しい推理とは?

あなたも宵闇にぼうっと
ちょうちんに赤く照らされた
闇市に・・
さまよいこむ

作品紹介(出版社より)

ホラーミステリーの名手による、素人探偵「物理波矢多(もとろいはやた)」シリーズ第3作。戦中、満州の建国大学で五族協和の理想を求めた波矢多は、敗戦に接して深い虚無に囚われ、以後は国の復興を土台で支える職を求めようとする。抗夫として働く九州の炭鉱で起きた連続殺人事件を解決した(『黒面の狐』)波矢多は、上京して、建国大学で寝食を共にした級友・熊井新市の元に身を寄せる。新市の父・潮五郎は闇市を仕切る的屋の親分だった。波矢多は、潮五郎の弟分である私市吉之助から奇妙な依頼を受ける。私市が取り仕切る宝生寺の闇市、通称”赤迷路”にいつからか現れるようになり、若い女性のあとを付け回す全身赤っぽい男、”赫衣”の正体を暴いてほしいというのだ。赫衣に出くわした女性たちに話を聞いて回る波矢多だったが、そんな折、私市の経営するパチンコ店で衝撃的な殺人事件が起き、私市に容疑がかかる。事件の真犯人は誰なのか、そして赫衣の真相とは。戦後直後の猥雑な風俗のなかで繰り広げられる、無二の味わいのホラーミステリー。

作品データ

タイトル:『赫衣の闇』(素人探偵「物理波矢多(もとろいはやた)」シリーズ)
著者:三津田信三
出版社:文藝春秋
発売日:2021/12/9

素人探偵「物理波矢多(もとろいはやた)」シリーズ第1・2弾はこちら↓

【第1弾】『黒面の狐』

【第2弾】『白魔の塔』

電子書籍はこちら↓

作家紹介

三津田信三(みつだ・しんぞう)

奈良県出身。
2001年『ホラー作家の棲む家』(文庫で『忌館』と改題)で作家デビュー。
2010年、刀城言耶シリーズの『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞受賞。

三津田信三の作品紹介

『十三の呪 死相学探偵1』(2008/6/25)
『忌館 ホラー作家の棲む家』(2008/7/15)
『厭魅の如き憑くもの』(2009/3/13)
『四隅の魔 死相学探偵2』(2009/3/25)
『赫眼』(2009/9/8)
『六蠱の躯 死相学探偵3』(2010/3/21)
『首無の如き祟るもの』(2010/5/14)
『災園』(2010/9/9)
『作者不詳 ミステリ作家の読む本  上』(2010/12/15)
『山魔の如き嗤うもの』(2011/5/13)
『密室の如き籠るもの』(2012/5/15)
『スラッシャー 廃園の殺人』(2012/9/14)
『凶鳥の如き忌むもの』(2012/10/16)
『水魑の如き沈むもの』(2013/5/15)
『七人の鬼ごっこ』(2013/9/10)
『蛇棺葬』(2013/10/16)
『禍家』(2013/11/22)
『百蛇堂<怪談作家の語る話>』(2013/12/13)
『五骨の刃 死相学探偵4』(2014/3/25)
『生霊の如き重るもの』(2014/7/15)
『シェルター 終末の殺人』(2015/1/15)
『のぞきめ』(2015/3/25)
『幽女の如き怨むもの』(2015/6/12)
『ついてくるもの』(2015/9/15)
『十二の贄 死相学探偵5』(2015/11/21)
『八獄の界 死相学探偵6』(2016/11/25)
『どこの家にも怖いものはいる』(2017/6/22)
『凶宅』(2017/11/25)
『誰かの家』(2018/3/15)
『怪談のテープ起こし』(2019/1/18)
『黒面の狐』(2019/3/8)
『魔偶の如き齎すもの』(2019/7/11)
『九孔の罠 死相学探偵7』(2019/12/24)
『わざと忌み家を建てて棲む』(2020/6/24)
『そこに無い家に呼ばれる』(2020/7/20)
『逢魔宿り』(2020/9/30)
『忌物堂鬼談 』(2020/10/15)
『魔邸』(2020/11/21)
『死相学探偵最後の事件』(2021/1/22)
『碆霊の如き祀るもの』(2021/6/15)
忌名の如き贄るもの』(2021/7/29)
『犯罪乱歩幻想』(2021/9/18)
『白魔の塔 』(2021/10/6)
赫衣の闇』(2021/12/9)

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