【感想】『花散る里の病棟』帚木蓬生|時代は移ろうが、仁の心は変わらない

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花散る里の病棟|帚木蓬生

ケイチャン

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【2022年80冊目】

今回ご紹介する一冊は、

帚木蓬生 著

『花散る里の病棟』です。

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【感想】「時代は移ろうが、仁の心は変わらない」

町医者四代の物語

みなさんは曾祖父が何をしていたか知っていますか?
僕はおじいちゃんが大砲の弾を作ってたことは聞いたことあるけど
ひいじいちゃんが何していたかは、知らないですね
そんな我が家と違って、本作は先祖代々医者を家業とする一家の歴史です
大正から令和まで、激動の100年を町医者の視点から辿ります

「時代は移ろうが、仁の心は変わらない」

代々医者を輩出する野北家

初代はまだ医療が発達しておらず、衛生環境も劣悪な大正時代で
虫下しの名医として活躍します

2代めは軍靴の音が響く昭和時代を、軍医としてフィリピン戦役に従軍し
絶望の逃避行の末、辛くも生還します

3代めは高齢化社会の平成時代で、介護老人保健施設を運営します

そして4代めは現代の令和時代で、よもやのパンデミック経験する

この100年の変化というのは、凄まじいものだったんですね!
しかし医療も社会も進化したといえ、問題が解決する訳ではない
このコロナウイルスのパンデミックが示すように、病魔との闘いは続くのです

野北家の医者たちは、その時代それぞれの問題に悩み・立ち向かい
でも歩むことを止みません

医師というのは最前線で戦う戦士のような存在なんですね
人々を守る盾となる、そんな矜持を感じました
読み応えある医療小説です

作品紹介(出版社より)

大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれ――。現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く感動作完成!

作品データ

タイトル:『花散る里の病棟』
著者:帚木蓬生
出版社:新潮社
発売日:2022/4/27

作家紹介

帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)

1947年、福岡県生れ。精神科医。
東京大学仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。
1993年『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞受賞。
1995年『閉鎖病棟』で山本周五郎賞受賞。
1997年『逃亡』で柴田錬三郎賞受賞。
2010年『水神』で新田次郎文学賞受賞。
2011年『ソルハ』で小学館児童出版文化賞受
2012年『蠅の帝国』『蛍の航跡』の「軍医たちの黙示録」二部作で日本医療小説大賞受賞。
2013年『日御子』で歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。
2018年『守教』で吉川英治文学賞および中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。
『国銅』『風花病棟』『天に星 地に花』『受難』『悲素』『襲来』といった小説のほか、新書、選書、児童書などにも多くの著作がある。

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