ケイチャン
今回ご紹介する一冊は、
彩藤アザミ 著
『不村家奇譚』です。
もくじ
【感想】「異形のモノには、チカラがある!」
憑物筋って言葉があります
有名なのは狗神(いぬがみ)
管狐(くだぎつね)など
家や人に憑く使役神で
富をもたらし敵を呪うチカラがあるが
しかし代償を要求する
さて本作のタイトルにある
不村家に憑く憑き物
それは・・あわこさま
健常者を憎み
一族にある代償を求め
しかし巨大なチカラを与える
恐ろしく
真におぞましい
謎の存在・・
物語は不村家6代という
長い時間の
一族と関係者による
群像劇となってます
冒頭に語られる不村家の描写で
ググッとストーリーに引き込まれます
それは使用人がみな
異形の人々というところ
まさに人外サーカス
毛むくじゃらの弥々ねえ
壺彦
ああ、名前だけでもう
ゾクゾクしませんか?
何故異形の人々ばかり
使用人とするのか?
それは、あわこさまのため
もし普通の人ならどうなるか?
それは・・
恐ろしく
おぞましいことが
起こるのです
登場する人々の
この呪われた家にたいする
態度は様々です
運命を受け入れるもの
運命を拒むもの
しがみつくもの
逃げるもの
それは光と闇の
グラデーションのよう
様々に生きる人々が織りなす
複雑なタペストリーのごとく
鮮やかに描かれます
ただ怖いホラーに終わらない
深みある読後感があります
あなたの家に
憑き物はいませんか?
作品紹介(出版社より)
一族に受け継がれる怪異の血脈。それは、忌むべき業か、或いは神が与えし恩寵か。血と畏れが織りなす、類稀なる因果律を見よ。自らを水憑きと称する不村家。その繁栄の影には「一族に仇なすものを赦さない」とされる怪異・あわこさまが蠢いていた。異形の奉公人たち、狗神遣いの少女、生首で生き存える双子の姉妹――。昭和、平成、そして現代を貫く一族の悲劇は、やがて思いもよらぬ結末を迎え……。唯一無二の筆致で描く、戦慄のホラーミステリ。
作品データ
タイトル:『不村家奇譚』
著者:彩藤アザミ
出版社:新潮社
発売日:2021/11/30
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作家紹介
彩藤アザミ (さいどう・あざみ)
1989年岩手県生れ。
2014年『サナキの森』で新潮ミステリー大賞を受賞しデビュー。
彩藤アザミの作品紹介
『 サナキの森 』(2015年1月)
『 樹液少女 』(2016年1月)
『 昭和少女探偵團 』(2018年12月)
『 謎が解けたら、ごきげんよう 』(2019年9月)
『 なたの後ろにいるだれか 眠れぬ夜の八つの物語 』(2021年7月)
『 不村家奇譚 』( 2022年11月)