【感想】『オイサメサン』神津凛子|亡者の霊よりも恐ろしいのは、なに?

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オイサメサン|神津凛子

ケイチャン

ケイチャン

【2023年142冊目】

今回ご紹介する一冊は、

神津凛子 
オイサメサンです。

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【感想】亡者の霊よりも恐ろしいのは、なに?

ホラーサスペンス

このチカラをどうにかして欲しい!
いたるところで見える、霊たち
とくに、あの、
赤いドレスを着た、爪のない女が、
恐ろしいんだ!!
ゾクゾクと怖い、霊視バトル系小説です

なぜ、私に憑くの?

小学生時代に赤いドレスの霊に
追いかけられた、鈴(すず)ちゃん
もう極大のトラウマです
しかもそれ以来、霊が見えちゃうんです

霊が見えちゃって
日常生活もままならない鈴ちゃん
これを付けなさい・・
そんな時、祖母がくれたのが
オイサメサンから頂いた
金の指輪でした

いっぽう産まれて間もなく
父親を失った、要(よう)くん
傷心の母親につけ入り
金を巻き上げたあげく
出奔させたのが
オイサメサンでした

いったいオイサメサンとは
何者なのか?

「亡者の霊よりも恐ろしいのは、なに?」

鈴ちゃんに憑く、もう1つの霊
それが幼い頃に亡くなった
親友の七海(ななみ)ちゃんです
たしかにその存在を感じ
壊れたラジオで交信してくるのだが
何を言っているのか、わからない・・

七海は私を恨んでいるのかなあ?

そして鈴と要が出会った時
亡者の霊より恐ろしいモノに気が付く
茶色い瘴気をまっとった存在
それは生きている人の生霊でした

物語の前半は鈴のバイト仲間
姫ちゃんが殺害された事件の
犯人を追い、生霊を祓う
サスペンス&バトル系の方向へ

水と油のような、鈴と要が
お互いを理解し、協力し合い
バディとなる過程が描かれます
除霊能力発動!って、カンジww

さらに中盤からは
いよいよ本筋に突入する
赤いドレスの女とは?
七海の霊が伝えたいことは?
オイサメサンとは何者なのか?

後半はミステリー要素の回収が
いそいそと行われて
霧が晴れるように
全容が明らかになってゆく

ホラー、サスペンス、ミステリーに
霊能力のバトルと
美味しい要素を詰め合わせた
欲張りなエンタメ作品でした

ちょっと憧れる特殊能力
でも、こんなに恐ろしい
赤いドレスの女が見えると知っても
あなたはチカラが欲しいって
そう思いますか?

作品紹介(出版社より)

小学生の夏休みに霊が「視える」ようになった鈴。
初めて視たのは、赤い服を着た爪のない不気味な女の霊。怖い、怖い、怖いーー。
怯える鈴を救ったのは、祖母がくれた「オイサメサン」の指輪だった。
だが9年後のある日、バイト先のファミレスで「祓える」男に出会う。
彼はオイサメサンは詐欺師だと吐き捨てた。
オイサメサンは、詐欺師なんかじゃない。
しかし、赤い女は9年経った今でも鈴のことを追いかけていた。
鈴はある殺人事件に巻き込まれ、予想もしない運命に呑まれていく。

映画『スイート・マイホーム』で話題!
注目のホラー作家、躍進!

作品データ

タイトル:『オイサメサン』
著者:神津凛子
出版社:講談社
発売日 : 2023/9/6

作家紹介

神津 凛子(かみづ・りんこ)

1979年長野県生まれ。歯科衛生専門学校卒業。
第13回小説現代長編新人賞を受賞し、2019年「スイート・マイホーム」でデビュー。
長野県在住。

神津 凛子の作品紹介

『スイート・マイホーム』2019/01/06
『ママ』  2020/01/08
『サイレント 黙認』2021/07/14
オイサメサン』2023/9/6

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