『大好きな人、死んでくれてありがとう』まさきとしか あらすじと感想|ホントの彼を知るのは、私だけ・・


【2026年67冊目】
今回ご紹介する一冊は、
まさきとしか 著
『大好きな人、死んでくれてありがとう』です。
あらすじと感想
解散した男性アイドルグループのメンバーが殺された
彼の死を、嘆くもの・喜ぶもの…そして利用するものたちを描く群像劇です
アイドルは死んでからも、消費し尽くされる
現役時代はあまりパッとしなかった男性アイドルグループ・ファンキーカラーズ
その中でも後列で(2軍に相当か?)人気も下から数えた方が早いのが南田蒼太でした
そんな彼が殺された
解散して7年がたち誰もが忘れかけていたのだが、蒼太の無残な殺害状況と、不気味な殺人現場も相まって、ファンキーカラーズ(略してファンカラ)に再びスポットライトが当たるのだ
彼を知る誰もが口を合わせて『いい人』と言うのだが、誰が何のために殺したのか?そしてホントの蒼太は、どういう人だったのだろうか?
語り手が次々とを変わる群像劇の本作
最初は関係が遠い者から、次第に近い者へとバトンタッチされて、蒼太という人間がどうであったのか、明かされてゆく構図になっています
最後の語り手は、誰なのか?
整った容貌を持つのに、どこか存在感の薄い蒼太さん。彼の本性はどうなのかが、本作のテーマとなっています
顔のないモンスター!
そして各章の語り手たちの本性がどうなのかも、本作のもうひとつのテーマとなっている
自分の都合の良い世界しか見ない語り手たちは、実は思い込みが激しいモンスターなのだ!
思い込みと我欲によって、次々と破滅してゆく語り手たち
それは人をアイドルとして消費し尽くして、不幸すら楽しむ

現代の僕ら大衆を痛烈に批判する、鏡のように感じました
僕らもモンスターなのか?

人を呪わば穴二つ
破滅の連鎖を描くイヤミスを越えた、ウツ(鬱)ミスでした

あなたはアイドルを人間として見ていますか?
作品データ
タイトル:『大好きな人、死んでくれてありがとう』
著者:まさきとしか
出版社:新潮社
発売日:2026/2/28
作家紹介
まさきとしか
1965年東京都生まれ。北海道・札幌育ち。札幌市に在住。
1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作。
2007年『散る咲く巡る』で第41回北海道新聞文学賞を受賞。
2013年母親の子どもに対する歪んだ愛情を描いたミステリー『完璧な母親』が刊行され話題になる。
他の著書に『夜の空の星の』『熊金家のひとり娘』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ゆりかごに聞く』『屑の結晶』などがある。
まさきとしかの作品紹介
『夜の空の星の』(2008年5月)
『熊金家のひとり娘』(2011年4月)
『完璧な母親』(2013年10月)
『途上なやつら』(2014年6月)
『ある女の証明(きわこのこと)』(2015年8月)
『いちばん悲しい』(2017年1月)
『玉瀬家、休業中。』(2018年8月)
『ゆりかごに聞く』(2019年4月)
『屑の結晶』(2019年9月)
『大人になれない』(2019年12月)
『あの日、君は何をした』(2020年7月)
『祝福の子供』(2021年6月)
『彼女が最後に見たものは』(2021年12月)
『レッドクローバー』(2022年8月)
『大好きな人、死んでくれてありがとう』2026/2/28

