医療

『エピクロスの処方箋』夏川草介 あらすじと感想|正解のない問いに答える

夏川草介『エピクロスの処方箋』|ケイチャンブックス
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2026年23冊目】
今回ご紹介する一冊は、
夏川草介 著
『エピクロスの処方箋』です。

この小説はこんな人にオススメ

医療や人の死について深く考えている、「救い」の本質を知りたい

あらすじと感想

医療小説

何のために医師をしているのだろう?
神業的な技術を持ちながらも
町医者の身に甘んじる内科医を描く
医療を巡る真摯な物語です

人は皆いずれ必ず死ぬ運命・・

『スピノザの診察室』続編

2026年本屋大賞ノミネート

若くして病死した妹の子を引き取るために
忙しい大学病院を辞め、小さな病院に転職した
雄町哲朗(おまち てつろう)医師が主人公
輝かしいキャリアを捨ててまで
人の子を育てる意味があるのだろうか?

あるんです!

医療は万能ではない
高度な治療が幸せとは限らない
そもそもいつか必ず人は死ぬのに
延命処置って必要なのか?

それよりも大切なものがあるんだ

そんな雄町医師のもとに
大学病院の先輩から
高難度の手術の依頼が来る
遺恨ある古巣からの要請に
彼はどう応えるのだろうか?

「正解のない問いに答える」

雄町さんが働く原田病院
京都市内の地域病院とあって
患者は末期状態の高齢者が
多く厳しい治療の描写が続く

献身的な治療もむなしく
死を迎えるようすに心が痛むが
これが現実というもの
人はいずれ死ぬ運命なのだ

しかし不幸ではありません

心のこもった治療は
患者と家族の心を癒す
暖かい交流が
幸せな日々の記憶となる

さてもう一方の大学病院では
ある患者をめぐって悩んでいた
それはかつて雄町と対立した
教授の父親でした

物語は過去の遺恨を巡る
人間関係が描かれます
大組織の政治的展開は
白い巨塔以来の人気テーマ
複雑怪奇な人間模様に
ググっと引き込まれます

この問題を解決するために
雄町のとる行動が
清々しいのだ!
損得を超えて協力を得るシーンに
スカッと気持ちが盛り上がります

まるでヒーローみたい!

雄町を巡る人間模様も
本作の魅力のひとつで
それぞれの思いを持った
群像劇が展開します

その一人がヒロインである
若き女医の南さんです

彼女の視点で見る雄町の姿に悩みながら進む人間として
とても共感してしまいます

人生の正解って、なんだろう?

医療の現場から考える
人の幸せ

悩みながら進む登場人物たちに、親しみを覚えました

あなたは人生に正解を求めすぎてはいませんか?

作品紹介(出版社より)

「医療では、人は救えないんだよ」

現役医師が描く、人の命と幸福について。
2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作
『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!

「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」

思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

【あらすじ】
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だった――。

「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
※エピクロス…古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。

夏川草介『エピクロスの処方箋』|ケイチャンブックス

作品データ

タイトル:『スピノザの診察室』
著者:夏川草介
出版社:水鈴社
発売日:2025/9/29

作家紹介

夏川草介(なつかわ・そうすけ)

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。長野県にて地域医療に従事。
2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書で2010年本屋大賞第2位、映画化もされた。
他の著著に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『本を守ろうとする猫の話』がある。

夏川草介の作品紹介

『神様のカルテ』2009/8/27
『神様のカルテ2』2010/9/28
『神様のカルテ3』2012/8/8
本を守ろうとする猫の話』2017/1/31
『新章 神様のカルテ』2019/1/31
『勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~』2019/11/28
『始まりの木』2020/9/25
『臨床の砦』2021/4/23
『レッドゾーン』2022/8/30
スピノザの診察室』2023/10/27
君を守ろうとする猫の話』2024/2/28
スピノザの診察室』2025/9/29


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サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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