【本の感想】『源家物語』真保裕一|兄弟げんかは、始末に負えない

【2025年103冊目】
今回ご紹介する一冊は、
真保裕一 著
『源家物語』です。
【感想】「兄弟げんかは、始末に負えない」
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・
この有名な語り出しの平家物語に繋がる
平氏台頭以前の、源氏の盛衰を描く
武士誕生の物語です
時は平安時代中期
源氏の棟梁として誕生する
源義家(よしいえ)の母の嘆きから
物語はスタートします
戦が商売という、穢れた身分
優雅に暮らす、皇族や貴族たちを
武力を持って支える、日陰の存在です
父、源頼義(よりよし)と
係争の地、奥州へ向かう義家
蝦夷(えみし)の血を継ぐ、安倍氏
虎視眈々と勢力拡大を狙う、清原氏
一族の命運を賭けた戦いの日々は
いったい、いつまで続くのだろうか
貴族の尻拭いをする
汚れ役として活躍する、武士たち

都で雅に生活しながら地方を搾取する貴族たちのほうが
よっぽど汚れていますよね!
さて武士の争いと言うものは
だいたいが利権争いです
それも身内の争いが多く
煎じ詰めると
兄弟げんかなのです
戦場で手柄を立てる、兄
朝廷で出世する、弟

・・さて、どっちが偉いの?
と、素直に仲良くなれないのが悲しい

仲良くしなきゃダメでしょ!
とママの気持ちで𠮟りたくなりました
奥州の戦いで勝利した義家だが
朝廷の政争でじょじょに負け
一族はだんだん没落してゆく
しかし、新たな希望があるんだ
義家の子孫が平家物語の平清盛に
繋がること示唆して物語は終わる
また義家の系譜は連綿と続き
鎌倉幕府の源頼朝や
室町幕府の足利尊氏も
義家の子孫なのです
武士の始祖たちを描く本作

一生懸命と争う相手が元をただせば身内とはまさに諸行無常ですね

世界平和のためにまず家族から仲良くしませんか?
作品紹介(出版社より)
この男、「天下第一の武勇の士」か、
「積悪の罪人」か――。
大胆な推理を加え、新たな源平時代を描き出す歴史巨篇!平家物語の中に「源家」という呼称が出てくるのはあまり知られていない。
源氏にもかつて、平清盛一族と並び称されるほど栄華を誇った家門があった。
「多くの罪なき者を殺す」と世に怖れられた、八幡太郎こと源義家の一族である。義家は父・頼義とともに奥州の厳しい戦いを乗り越え東国を平定、武者としての名声と武功を高めていく。
その力を怖れた朝廷は、義家一門を陥れるための謀略を進める。
義家に反発する弟の賀茂二郎義綱と結び義家を罠にかけ、一族の血で血を洗う暗闘により
源家は悲劇の結末を迎える。
だが義家の三男・義忠は、源家の栄光を取り戻すべく平正盛の娘を妻に迎え、
嫡男の烏帽子親を務めていた。その嫡男こそ、平清盛の養父となる忠盛だった。
実は義家の母も平家の娘だった。義家の父・頼義は一門を興隆させるため
平家の力を借りていたのだ……。
作品データ
タイトル:『源家物語』
著者:真保裕一
出版社:徳間書店
発売日:2025/7/2
作家紹介
真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年生れ。アニメーションディレクターを経て1991年『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。『取引』『震源』と続く通称〈小役人〉シリーズで着実に読者を獲得する。
1995年『ホワイトアウト』が人気を決定づけ、翌1996年吉川英治文学新人賞を受賞。
1997年『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。
『ボーダーライン』『発火点』『誘拐の果実』『繋がれた明日』『真夜中の神話』『最愛』『追伸』など次々に話題作を発表している。
真保裕一の作品紹介
『連鎖』(1991/09/01)
『取引』(1992/10/01)
『震源』(1993/10/01)
『ホワイトアウト』(1995/09/01)
『奪取』(1996/08/01)
『ボーダーライン』(1999/09/01)
『発火点』(2002/07/01)
『誘拐の果実』(2002/11/01)
『繋がれた明日』(2003/05/17)
『真夜中の神話』(2004/09/14)
『最愛』(2007/01/19)
『追伸』(2007/09/01)
『英雄』(2022/09/07)
『百鬼大乱』2023/8/23
『源家物語』2025/7/2
・・・など多数

