【感想】『李王家の縁談』林真理子|結婚とは人柄でなく、家柄!

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李王家の縁談|林真理子

ケイチャン

ケイチャン

今回ご紹介する一冊は、

林真理子 著

『李王家の縁談』です。

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【感想】「結婚とは人柄でなく、家柄!」

宮廷歴史小説

娘が皇太子妃の選に漏れた・・

皇族の梨本宮(なしもとのみや)
伊都子(いつこ)妃は悩んだ
我が娘にふさわしい結婚相手
それは誰なのか・・

一般庶民は論外
華族で妥協するか・・
皇族以上がふさわしいのだが・・

悩む伊都子が思いついたもの
それが表題にある
朝鮮王家李氏の王太子との結婚です

「結婚とは人柄でなく、家柄!」

腐っても鯛
滅びても王家
朝鮮王家のとの婚姻は
しかし、国家間の政略結婚でもあります
様々な試練を乗り越えて
娘を嫁がせた伊都子

だが、結婚の先には
出産があり
更に先には孫の結婚がある
女親の悩みは尽きない

高貴な地位に生まれた者の
結婚問題テーマに
明治~昭和初期の
戦乱と混乱、そして敗戦までの
特別に生まれついた人々の
華やかでいて
実は危うい立場にいた
皇族の日々を描く物語です

主人公の伊都子
元鍋島藩主の姫に生まれ
皇族妃となる彼女が持つ
私たちは特別であるという
自然な選民の感覚

また戦勝が続くうちに
自然と日本は素晴らしい
日本人は特別だ
朝鮮や中国は日本に従うべきだ
と思うようになる感覚

当時の皇族の心情が
よく理解できます

しかし、李家の嫁いだ娘は
しだいに朝鮮人の感覚に
共感していきます

日本に屈服し
日本人に下にみられる
朝鮮人

皇族の母と
朝鮮王の夫と
2人の間で揺れる心情が
夫の方へ傾いていく
娘の描写が見事です

空襲に屋敷を焼かれ
皇族の身分を剥奪され
絢爛たる生活から
生活に窮する市民となった
年老いた伊都子が思う現代とは?

あなたが結婚の条件とするのは
なんですか?

作品紹介(出版社より)

いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしい――
梨本宮伊都子妃は、娘・方子女王の結婚相手探しに奔走していた。なかなか身分の釣り合う婿が見つからないのだ……。
方子女王が皇太子妃になる道が潰えた今、方子がみじめな思いをしないように、一刻も早く、良縁を見つけてやらなければならない。

聡明で率直、そして行動力に溢れた伊都子妃は、誰も思いつかなかった方法で、娘の方子女王を〈皇太子妃〉にする道を見つけ出すが……。そのために乗り越えなければならない課題は、伊都子妃の想像を越えるものだった。

高貴なる人々が避けては通れない縁談を軸に繰り広げられる、ご成婚宮廷絵巻が幕を開けます。

作品データ

タイトル:『李王家の縁談』
著者:林真理子
出版社:文藝春秋
発売日:2021/11/22

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作家紹介

林真理子 (はやし・まりこ)

1954年山梨県に生まれ。
日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。
1982年エッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」がベストセラーとなる。
1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞。
1995年「白蓮れんれん」で第8回柴田錬三郎賞。
1998年「み んなの秘密」で第32回吉川英治文学賞を受賞。

林真理子の作品

『 ルンルンを買っておうちに帰ろう 』(1982年11月)
『 最終便に間に合えば 』(1985年11月)
『 白蓮れんれん 』(1998年10月)
『 み んなの秘密 』(1997年12月)
『 花探し 』(2002年7月)
『 私はスカーレット 』 1~4(2019年10月~)
『 本を読む女 』(1990年5月)
『 六条御息所 源氏がたり 林真理子の源氏物語シリーズ 』 上・下 (2016年9月)
『 美女入門PART2 美女入門シリーズ 』(2000年7月)
『 西郷どん! 』 前編・後編 (2020年12月)
『 最高のオバハン 』(中島ハルコの恋愛相談室)(2017年10月)
『 本朝金瓶梅 西国漫遊篇 』(2013年10月)
『 小説8050 』(2021年4月)
『 胡桃の家 』(1986年8月)
『 ミカドの淑女 』 (1990年9月)
『 聖家族のランチ 』(2002年11月)
『 アスクレピオスの愛人 』(2012年9月)
『 ファニーフェイスの死 』(1987年4月)
『 星影のステラ 』(1985年2月)
『 RURIKO 』(2008年5月)
『 美女に幸あり 美女入門シリーズ 』(2005年3月)
『 フェイバリット・ワン 』(2014年3月)
『 みずうみの妻たち 』(2018年9月)
『 ペット・ショップ・ストーリー 』 (2019年6月)
『 女の七つの大罪 』(2020年3月)
『 夢みるころを過ぎても 』 (1983年1月)
『 マリコを止めるな! 』(2019年3月)
『 李王家の縁談 』 (2021年11月)

…他多数

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