ケイチャン
【2024年123冊目】
今回ご紹介する一冊は、
古内一絵 著
『東京ハイダウェイ』です。
もくじ
【感想】「心の中にある狭い水槽」
コロナ禍の働き方改革を経て
再び忙しく回り出す毎日
東京で働く人たちを描く
連作短編集です
ケイチャン
会社や学校は社会の縮図であり
どうしても他人と交わらねばならない
ハラスメントをしたり受けたりするのは
どうしようもないことなんでしょうか？
見晴らし良い都心の高層ビルに入居する
大手イ―コマース企業のオフィスから
物語はスタートします
通販サイトは活況で活気に満ちている
ケイチャン
でも僕の心は浮き上がらない
心につっかえ棒が刺さったように
黙々と働く桐人（きりと）くんが
最初の物語の主人公です
真面目が取り柄で
手抜きが出来ない性格です
ケイチャン
・・そんな真面目にヤラれたら
こっちが困るんですけど！
心無い言いがかりのような
同期の男のひと言にキレる桐人くん
その時導かれるように付いていった
同僚の女の子が向かった先は
プラネタリウムでした
ひとり静かに安らぐ
同僚の璃子（りこ）ちゃんを見て
落ち着いてゆく桐人くんの心
いつしか
彼もプラネタリウム通うようになり
そして
自分と向き合うようになるのでした
大手イ―コマース企業からスタートし
物語は関係者を繋いで主人公を変えて
ハラスメントを受ける人たちの
姿を描いてゆく
ケイチャン
辛い・・
圧の強いおじさんや
リーダー気どりの同僚など
老若男女を問わず
マウントを取ってくる人は
きっと無くならないでしょう
ケイチャン
でも現実世界は広大で
狭いのは自分の視野なのか？
物語はぐるりと廻って
傷ついた魚のような
璃子ちゃんの過去と
現在が語られます
惑う星の地球を囲むように
ひそやかに輝く星座たち
自分を心に掛けてくれる人に
気が付く、璃子ちゃん
ケイチャン
曙光間近の空のように
明るい未来が覗くような
エンディングに
優しく癒されるようでした
ケイチャン
心の再生を描く物語
あなたが隠れ家に
招待したい人は
どなたですか？
作品紹介（出版社より）
ようこそ、心休まる「隠れ家」へ。
東京・虎ノ門の企業に勤める桐人は、念願のマーケティング部に配属されるも、同期の直也と仕事への向き合い方で対立し、息苦しい日々を送っていた。
直也に「真面目な働き方」を馬鹿にされた日の昼休み、普段は無口な同僚の璃子が軽快に歩いているのを見かけた桐人は、彼女の後ろ姿を追いかける。
たどり着いた先には、美しい星空が描かれたポスターがあり――「星空のキャッチボール」桐人と直也の上司にあたるマネージャー職として、中途で採用された恵理子。
しかし、人事のトラブルに翻弄され続けた彼女は、ある日会社へ向かう途中の乗換駅で列車を降りることをやめ、出社せずにそのまま終着駅へと向かう。
駅を降りて当てもなく歩くこと数分、見知らぬとんがり屋根の建物を見つけ、ガラスの扉をくぐると――「森の箱舟」……ほか、ホッと一息つきたいあなたに届ける、都会に生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた、6つの癒しの物語。
作品データ
タイトル：『東京ハイダウェイ』
著者：古内一絵
出版社：集英社
発売日：2024/5/24
作家紹介
古内一絵（ふるうち・かずえ）
東京都生まれ。映画会社勤務を経て、「銀色のマーメイド」で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞、2011年にデビュー。
2017年に『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、同作で第6回JBBY賞（文学作品部門）を受賞。
他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、「風の向こうへ駆け抜けろ」シリーズ、『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』『山亭ミアキス』『百年の子』などがある。
古内一絵の作品紹介
『蒼のファンファーレ』2017/6/29
『銀色のマーメイド』2018/9/21
『鐘を鳴らす子供たち』2020/1/23
『百年の子』2023/8/4
『お誕生会クロニクル』2024/3/13
『東京ハイダウェイ』2024/5/24
『最高のウエディングケーキの作り方』2024/10/21
『マカン・マラン』シリーズ
『キネマトグラフィカ』シリーズ
『風の向こうへ駆け抜けろ』シリーズ
…他多数