【本の感想】『ヒポクラテスの悲嘆』中山七里|引きこもりは病気なんです

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ヒポクラテスの悲嘆 |中山七里

ケイチャン

ケイチャン

【2024年86冊目】

今回ご紹介する一冊は、

中山七里

ヒポクラテスの悲嘆です。

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【感想】「引きこもりは病気なんです」

法医学ミステリー

令和の今に
ミイラ化の遺体が続出!?
死者の声なき叫びを聞く
検死台から見る、社会問題の物語です

人は嘘をつくが
死者は真実しか語らない

天才解剖医、光崎教授の活躍を描く
ヒポクラテスシリーズの5作目です
とは言っても実際に物語を進めるのは
助手の女医である真琴(まこと)さんと
古手川(こてがわ)刑事の2人です

ケイチャン

ケイチャン

さて今回のお客さまはどんな死者なのか?

ミイラ化した遺体が発見される
死因はなんと、餓死
自殺と思われるのだが
違和感を持つのが古手川刑事です

引きこもりである被害者が
飲まず食わずで自殺なんて
出来るのだろうか?

ケイチャン

ケイチャン

僕なんか1食抜いただけで
腹減った死んじゃうう~と
大騒ぎすることでしょう笑
餓死する根性なんて
到底ありません

この違和感を無視することはできない

毎度のよ~に、相方の(?)真琴助教を巻き込んで
光崎教授の待つ浦和医大・法医学教室へ遺体を運ぶ
もはや神技というべき光崎教授の解剖術で
いったいどんな真実が暴かれるのだろうか?

「引きこもりは病気なんです」

本作のテーマは、引きこもりです
8050問題(80歳の親が50歳の子を扶養する)で
クローズアップされつつある
引きこもりの子と、高齢の親の関係です

50歳の子はいわゆる就職氷河期の世代であり
正社員になれず、非正規雇用からの
社会生活ドロップアウト
まさに悲劇の世代です

実は僕もこの世代に当たりまして
幸いなことに地元の愛知県に優良企業が多く
就職先に恵まれていたから良かったものの
違う場所に産まれていたら・・どうだったのだろう?

プーくん

プーくん

紙一重であったと思います

物語は8050問題に絡みつつ
老老介護に言及し
引きこもりから、無敵の人になった
無差別殺人へと発展します

それは弱い者が
さらに弱い者を
苛むという悲劇

ケイチャン

ケイチャン

哀しみのロンドのようでした

被害者も悲しいが
加害者も悲しい
令和は救済のない時代であったと
後世に伝わるのかもしれませんね

ケイチャン

ケイチャン

あなたなら引きこもり方に
どんな言葉を
かけますか?

作品紹介(出版社より)

ミイラ化した死体は何を語る?

引きこもりを抱えた家族を襲う悲劇。
彼らは被害者か、それとも――。
光崎教授が抉り出す、深い闇とは?

死体は嘘を吐かない――傑作法医学ミステリー第5弾!

■あらすじ
浦和医大法医学教室に餓死した遺体が運び込まれた。亡くなったのは40歳の独身女性で、死後3週間が経っていた。まだ4月だというのに埼玉で見つかった4体目のミイラ化死体だ。埼玉県警の古手川によると、女性は大学受験に失敗して以来20年以上引きこもっていたという。同居していた70代の両親は先行きを案じ、何とか更生させようと民間の自立支援団体を頼ったが、娘は激昂し食事も摂らなかったらしい。彼女はなぜ餓死を選んだのか? それとも親が嘘を? だが、解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけると――。

作品データ

タイトル:『ヒポクラテスの悲嘆』
著者:中山七里
出版社:祥伝社
発売日:2024/3/6

作家紹介

中山 七里 (なかやま・しちり)

1961年、岐阜県生れ。
『さよならドビュッシー』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2010年にデビュー。
音楽を題材とした「岬洋介」シリーズほか、「御子柴礼司」シリーズ、「刑事犬養隼人」シリーズなど、著書多数。

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中山七里の作品

『さよならドビュッシー』(2010年1月)
『おやすみラフマニノフ』(2010年10月)
『連続殺人鬼カエル男』(2011年2月)
『魔女は甦る』(2011年5月)
『さよならドビュッシー前奏曲– 要介護探偵の事件簿』(2011年10月)
『贖罪の奏鳴曲– 御子柴礼司』(2011年12月)
『静おばあちゃんにおまかせ』(2012年7月)
『ヒートアップ』(2012年9月)
『スタート!』(2012年11月)
『いつまでもショパン』(2013年1月)
『切り裂きジャックの告白– 刑事犬養隼人』(2013年4月)
『七色の毒– 刑事犬養隼人』(2013年7月)
『追憶の夜想曲– 御子柴礼司』(2013年11月)
『アポロンの嘲笑』(2014年9月)
『テミスの剣』(2014年10月)
『月光のスティグマ』(2014年12月)
『嗤う淑女』(2015年2月)
『ヒポクラテスの誓い』(2015年5月)
『総理にされた男』(2015年8月)
『闘う君の唄を』(2015年10月)
『ハーメルンの誘拐魔– 刑事犬養隼人』(2016年1月)
『恩讐の鎮魂曲– 御子柴礼司』(2016年3月)
『どこかでベートーヴェン』(2016年5月)
『作家刑事毒島』(2016年8月)
『ヒポクラテスの憂鬱』(2016年9月)
『セイレーンの懺悔』(2016年11月)
『翼がなくても』(2017年1月)
『秋山善吉工務店』(2017年3月)
『ドクター・デスの遺産– 刑事犬養隼人』(2017年5月)
『ネメシスの使者』(2017年7月)
『ワルツを踊ろう』(2017年9月)
『逃亡刑事』(2017年12月)
『護られなかった者たちへ– 宮城県警シリーズ』(2018年1月)
『悪徳の輪舞曲– 御子柴礼司』(2018年3月)
『連続殺人鬼カエル男ふたたび』(2018年5月)
『能面検事』(2018年7月)
『TAS特別師弟捜査員』(2018年9月)
『静おばあちゃんと要介護探偵』(2018年11月)
『ふたたび嗤う淑女』(2019年1月)
『もういちどベートーヴェン』(2019年3月)
『笑え、シャイロック』(2019年5月)
『死にゆく者の祈り』(2019年9月)
『人面瘡探偵』(2019年11月)
『騒がしい楽園』(2020年1月)
『帝都地下迷宮』(2020年2月)
『夜がどれほど暗くても』(2020年3月)
『合唱 岬洋介の帰還』(2020年4月)
『カインの傲慢– 刑事犬養隼人』(2020年5月)
『ヒポクラテスの試練』(2020年6月)
『毒島刑事最後の事件』(2020年7月)
『テロリストの家』(2020年8月)
『隣はシリアルキラー』(2020年9月)
『銀齢探偵社静おばあちゃんと要介護探偵2』(2020年10月)
『復讐の協奏曲– 御子柴礼司』(2020年11月)
『境界線– 宮城県警シリーズ』(2020年12月)
『ラスプーチンの庭』(2021年1月)
『ヒポクラテスの悔恨』(2021年5月)
『能面検事の奮迅』(2021年7月)
『嗤う淑女 二人』(2021年9月)
『おわかれはモーツァルト』(2021年12月)
鑑定人 氏家京太郎』(2022年1月)
『人面島』(2022年3月)
作家刑事 毒島の嘲笑』(2022年7月)
越境刑事』(2022年9月)
特殊清掃人』( 2022年11月)
祝祭のハングマン』(2023年1月)
殺戮の狂詩曲』 (2023年3月)
能面検事の死闘』(2023年5月)
『いまこそガーシュウィン』(2023年9月)
『こちら空港警察』(2023年11月)
『絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課』(2023年11月)
『彷徨う者たち– 宮城県警シリーズ』(2024年1月)
有罪、とAIは告げた』(2024年2月)
『ヒポクラテスの悲嘆』(2024年3月)
『鬼の哭く里』(2024年5月)
『ドクター・デスの再臨』(2024年5月)
ヒポクラテスの悲嘆』2024/3/6

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