【感想】『君のクイズ』小川哲|Qクイズとは何か?Aこの世の全てである

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君のクイズ|小川哲

ケイチャン

ケイチャン

【2023年52冊目】
今回ご紹介する一冊は、
小川哲
『君のクイズ』です。

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【感想】「Qクイズとは何か?Aこの世の全てである」

エンタメ・ミステリー

あの出来事は何だったんだ?
クイズ対戦番組での
決勝戦の謎を追う
クイズ&ミステリーです

不可解な敗北

クイズ番組の決勝戦で
対戦相手が1文字も聞くことなく
正解してしまった・・
そんな事はあり得ない!

到底あり得ない事態に
動揺する出演者たち
しかし番組からは何の説明もなく
世間から忘れられようと
していました

ならば僕が謎を解くんだ・・

物語は敗北した主人公の三島が
決勝戦での一問一答を
詳細に振り返り
検証を重ねる過程を辿ります

それは図らずも三島の
これまでの人生を振り返る
過程でもありました

「Qクイズとは何か?Aこの世の全てである」

クイズ道とでも呼ぶべき
クイズに人生を捧げてきた
三島の姿に惹かれます
好感がもてる主人公ですね

そして正体不明の怪物のような
天才、本庄絆
彼はいったいどういう人なのか?
それを探る物語でもあります

クイズの中に様々な
雑学が披露されて
語られる、うんちくも
また楽しい

しかし何と言っても
ドキドキハラハラするのは
クイズバトルとも言うべき
対戦の様子でしょう
心理戦が展開されるところが
少年漫画のバトルシーンを彷彿させ
ググっと、のめり込めます

さてラストシーンで
本庄絆の本当の目的が明かされます
それを聞いた三島クンだが
ブレなくクイズを愛し続けることを
選びとります

それはこれまでの自分を
まるごと肯定するもの

最後のページの彼の姿に
正解音のピンポーン♪が
鳴ったようでした

作品紹介(出版社より)

「本屋大賞2023」ノミネート!

『地図と拳』にて第168回直木賞を受賞した小川哲さんの、
新たな魅力あふれる極上のエンターテインメント作品であり、もう一つの代表作です!

『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』。一作ごとに現代小説の到達点を更新し続ける著者の才気がほとばしる、唯一無二の<クイズ小説>が誕生しました。雑誌掲載時から共同通信や図書新聞の文芸時評等に取り上げられ、またSNSでも盛り上がりを見せる、話題沸騰の一冊です!

ストーリー:生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。
読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される! 
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!

作品データ

タイトル:『君のクイズ』
著者:小川哲
出版社:集英社
発売日:2022/6/24

作家紹介

小川哲(おがわ・さとし)

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。
2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。2017年『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。
2019年『嘘と正典』で第162回直木三十五賞候補となる。

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小川哲 の作品

『ユートロニカのこちら側』 2015/11/20
『ゲームの王国 上・下 』 2017/08/24
『嘘と正典』  2019/09/19
地図と拳』  2022/06/24
君のクイズ』  2022/10/07

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