【感想】『チュベローズで待ってる AGE32』加藤シゲアキ|この僕の想いは、誰かの望みだったのか?

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チュベローズで待ってる AGE32|加藤シゲアキ

ケイチャン

ケイチャン

【2022年133冊目】
今回ご紹介する一冊は、
加藤シゲアキ 著
『チュベローズで待ってる AGE32』です。

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【感想】「この僕の想いは、誰かの望みだったのか?」

エンタメミステリー小説

前作から10年が過ぎて
新進気鋭のゲームクリエイターとして
大成功を納めた光太
しかしその活躍の裏には
謎を残して死んだ美津子の影があった

全てを失って守るべきものがなかった
前巻とは正反対に
会社で大成功を納めた光太は
今度は攻撃される側になります

それが光太が開発したドル箱ゲーム
『ゴーストタウン』への抗議文

いわれなき中傷被害で
開発がストップしかかる
そんな時光太と共に戦うのが
会社役員の八千草でした

「この僕の想いは、誰かの望みだったのか?」

本能的に悟る
美津子の死には八千草が関わっていると
そして明かされる、美津子の自死の真相に
仰天することになります

なんと美津子の自殺は
自分の復讐と
自分の夢の実現を
光太にさせるためでした

ここに驚愕のパラダイムシフトが起こる!

光太の新ゲーム制作の成功は
彼自身のものではなかったのです
全ての筋書きは生前の美津子が
彼に語り用意したものでした

光太は荒野で先頭に立ち進む
たくましい開拓者ではなく
美津子の敷いたレールからただ落ちないように
気を付けながら進んでいただけでした

さらに美津子の死は悲劇ではなかった

自分の復讐を遂げるだけの力量があり
自分の夢を叶えてくれると確信がもてる
そんな光太と出会い
しかも愛された

美津子の死は喜びの絶頂での
祝福だったのです

いやはや驚きの結末でした
当初は光也に貢ぐだけが役割の
モブ(その他大勢)かと思われた美津子が
実は全ての糸を引き
主人公をも操る存在だったのです

そして光太は気が付くのです
自分は本当に主体的に生きてきたのか?
誰かに夢を託されて
誰かのために生きていたのではないのか、と

自分の夢とは
自分の意識とは何かと
大きな命題を問いかける本作
オセロがパタパタと白から黒へと
いっせいにひっくり返るような
パラダイムシフトの気持ちよさもあり
極上のエンタメ作品に仕上がっています

あなたの望みは本当に
あなただけの望みですか?

作品紹介(出版社より)

気鋭のゲームクリエーターになった32歳の光太。自社のゲームが不祥事に見舞われるが、チュベローズ時代の仲間たちの助けを借りて、会社を罠に嵌めようと暗躍する組織の存在を突き止める。上司の八千草と事態の収拾のために奔走する一方、光太は美津子の甥であるユースケとともに、彼女をめぐる真相に向き合うことになる――。衝撃とカタルシスに溺れるジェットコースター・ミステリ、完結編。

作品データ

タイトル:『チュベローズで待ってる AGE32』
著者:加藤シゲアキ
出版社:新潮社
発売日:2022/6/27

作家紹介

加藤シゲアキ(かとう・しげあき)

1987(昭和62)年、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。
NEWSのメンバーとして活動しながら、2012(平成24)年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。
その後もアイドルと作家活動を両立させ、2021(令和3)年『オルタネート』で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞。同作は直木賞候補にもなり話題を呼んだ。
他の小説作品に『閃光スクランブル』『Burn.―バーン―』『傘をもたない蟻たちは』『チュベローズで待ってるAGE22・AGE32』、エッセイ集に『できることならスティードで』がある。

加藤シゲアキの作品紹介

『ピンクとグレー 』2012/01/28
『閃光スクランブル』 2013/02/26
『Burn.‐バーン‐』2014/03/21
『傘をもたない蟻たちは 』2015/06/01
『できることならスティードで』 2020/03/06
『オルタネート』 2020/11/19
『1と0と加藤シゲアキ』 2022/09/30
チュベローズで待ってる AGE22』2022/06/27
チュベローズで待ってる AGE32』2022/06/27

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