ケイチャン
【2022年129冊目】
今回ご紹介する一冊は、
珠川こおり 著
『マーブル』です。
もくじ
【感想】「多様性なんていうけれど、私の周りはフツーでいて欲しい」
大学2年生の茂果(もか)ちゃんは
そこそこ楽しいのだが、まだ何か物足りない
そんな気持ちで日々を過ごしていました
可愛い弟がいて
大好きな彼氏がいる
それなのになんでなんだろう?
そんななか弟の穂垂(ほたる)が
BLを描いていることを知り衝撃を受ける
ボーイズラブ!男x男の漫画を書いているなんて
穂垂は男好きのゲイなのッ!どうしよう?
彼氏の朗(ろう)クンに相談し茂果は決意する
穂垂を女子と恋愛出来るフツーの男の子にしよう
だってそれが幸せになることだから・・
かくして茂果による穂垂の正常化計画が始まるのであった
たとえば身内にLGBTQの方がいらっしゃると
どんな気持ちなのでしょうか
世は多様性でダイバーシティでいいじゃん!
わが身に迫ってなお、そんなふうに思えるでしょうか?
穂垂のためを思い
朗クンの妹の明(メイ)ちゃんとのダブルデートする
よしよしw若く元気で肉感的な明ちゃんとなら
女の子の素晴らしさに気が付くだろう・・
しかし穂垂は明に恋愛的な感情を抱かないようす
ああ、やはり弟は男の子がいいのだろうか
絶望的な気持ちになる茂果
そんな時穂垂は夏コミに参加することになる
穂垂が熱中する世界ってどんなのだろう?
そう思った茂果は売り子として一緒に夏コミに
参戦することにする
そこで見たのは・・
ツインテールが可愛らしい
お気に入りキャラの女装コスプレで
『好き』を全力で楽しむ穂垂の満面の笑みでした
圧倒的な敗北感で
自分の価値観が砕け散るのを知る茂果
ああ穂垂は自分に忠実に生きている
もうそれでいいじゃないか
そして茂果は以前と同じ気持ちで
穂垂に微笑みかけることが出来たのでした
価値観の違いを受け入れる
難しさと大切さを描いた本作
あなたは自分の大切な人が
自分と違う夢を描いても
それを応援できますか?
作品紹介(出版社より)
一番近い異性(ひと)で、遠い存在(かぞく)。
本当の幸せって何だろう。『檸檬先生』で小説現代長編新人賞史上最年少デビュー!
十九歳の作家が描く、切なくて、温かい姉弟小説。東京で大学生活を謳歌していた茂果は、友人の由紀からあるアニメを布教される。
柔らかな表情、手描き感のあるタッチ、自然な体重表現、甘い雰囲気の色使い、繊細な塗り。紹介された絵師のイラストは、弟の穂垂が描いたものだった。
Twitterの裏アカウントでBL作品を創作し、普段から異性との恋愛話をしない穂垂に対して、茂果は同性愛者なのではないかと考え、やがて過干渉してしまう。境界の曖昧さ、線引きの難しさを、姉弟の視点から見つめ直す。小説現代長編新人賞受賞後第一作。
作品データ
タイトル:『マーブル』
著者:珠川こおり
出版社:講談社
発売日:2022/7/27
作家紹介
珠川 こおり(たまがわ・こおり)
2002年東京都生まれ。小学校二年生から物語の創作を始める。
高校受験で多忙となり一時執筆をやめるも、高校入学を機に執筆を再開する。
2020年『檸檬先生』で第15回小説現代長編新人賞を受賞。
珠川 こおりの作品紹介
『檸檬先生』 2021/05/26
『マーブル』 2022/07/27