
ケイチャン
【2025年15冊目】
今回ご紹介する一冊は、
佐藤究 著
『トライロバレット』です。
もくじ
【感想】「アメリカは壊れてしまった」
化石好きの高校生バーナム・クロネッカーは
突然、学年のジョックから攻撃を受け始めた
激しさを増す攻撃に対抗するためにバーナムは
三葉虫(トライロバイト)戦士となるのだ・・
無口で内気、友達のいないバーナムが
学年のジョック(アメリカのスクールカーストで
頂点に立つ男性)から、イジメを受け始める
・・なぜ?何でボクが標的にされるの??
そう言うのは同級生のタキオくんです
実は彼もジョックから毎日執拗にイジメを
受けていたんだ
・・あれはイジメじゃない、攻撃(アタック)なんだ!
そんな中でバーナムは大好きな三葉虫の
甲冑を身にまとう、異様な人物を幻視する
だがそれは自分自身
そして自分が言うんだ
トライロバレットになれ、と・・
もういっぽうで語られるストーリーが
退役軍人のフランクさんのお話
アフガニスタンでの戦争がトラウマとなり
毎夜、戦闘ヘリコプターが飛ぶ爆音を幻聴し
寝れません
次々と届くのは元部下たちの訃報です
せっかく地獄のカンダハールから生還したのに
心が死んでしまっているんだ
・・誰のせいだ?
スクールカースト
銃社会といった
アメリカの暗部が描かれます

ケイチャン
アメリカは恐ろしい国ですね

ケイチャン
コロンバイン高校銃乱射事件を連想しました
そんな中で三葉虫の甲冑を作成するバーナム
胸と背に2匹の大きな三葉虫をまとう・・
異形ですね!
アメコミに登場するダークヒーローのようです
クライマックスは高校での銃撃戦ですが
主人公を執拗にイジメるジョックと
それを見逃す高校の体制と生徒に対して
どう思うべきか難しいところでした

ケイチャン
現実に起こったコロンバイン高校銃乱射事件も
イジメが発端だと聞いています
浅はかなノリでしたバカな行為が
激烈な報復に繋がることもある
アメリカの苦悩をテーマにして
アメコミのダークヒーローを登場させた異形の作品

ケイチャン
現実と地続きの寝苦しい
熱夜のような物語でした
作品紹介(出版社より)
新たなアメコミ的ヒーローが出現? 超能力の代わりに使う武器とは? 乱歩賞・直木賞作家が挑む、書下ろしダークファンタジー小説!
バーナム・クロネッカーはアメリカ合衆国ユタ州のウィットロー高校に通う17歳の少年。彼は8歳のとき三葉虫に魅せられ、今ではその化石を熱心に集めつつ、静かな高校生活を送っている。そんなバーナムへのいやがらせが、ある日突然にはじまった。ロッカーの扉を接着され、頭にジャガイモをぶつけられる。体育会系の人気者コール・アボットのしわざだった。バーナムは、コールの行為を〈攻撃〉と呼ぶ謎めいた同級生、タキオ・グリーンと友人になる。そのときすでに、バーナムを驚愕の事件へといざなう運命の歯車は回りだしていた……。現代アメリカ社会の闇に光を当てながら、新しいヒーロー像を描きだす超絶エンターテインメント。
作品データ
タイトル:『トライロバレット』
著者:佐藤究
出版社:講談社
発売日:2024/12/13
作家紹介
佐藤究(さとう・きわむ)
77年福岡県生まれ。
2016年『QJKJQ』で江戸川乱歩賞を受賞。
『Ank: a mirroring ape』で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞を、『テスカトリポカ』で山本周五郎賞、直木賞を受賞。
佐藤究の作品紹介
『QJKJQ』 2016/08/09
『Ank: a mirroring ape』 2017/08/23
『テスカトリポカ』 2021/02/19
『爆発物処理班の遭遇したスピン』 2022/06/29
『幽玄F』 2023/10/19
『トライロバレット』2024/12/13