【本の感想】『しをかくうま』九段理江|もう馬しか詩えない

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しをかくうま|九段理江

ケイチャン

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【2024年52冊目】
今回ご紹介する一冊は、

九段理江 著

『しをかくうま』です。

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【感想】「もう馬しか詩えない」

純文学

わたしは馬を愛している
ヒトとウマの歴史をめぐり
今と過去と未来を見据える
壮大な物語です

これはもはや、神話だ!

あなたは馬は好きですか?
僕は競馬もウマ娘も関心がなく
馬に乗ってみたいとも思わないんですが
興味ないものには
みんなそんなもんですよね

しかし年がら年中
馬のことを考えている者もいる

それが太古の人類、ヒと
現代のニュースキャスター、わたしです
物語は今と過去そして未来が
渾然一体となって進みます

それは現代の人類を型取り
今ある姿へと進化した過程
馬がいたから人がこのように在り
馬に乗ったから人はここに居るんだ

・・ふ~ん、そうなんだ・・

「もう馬しか詩えない」

・・難解な物語でした
ヒってなんだ?
馬ってなんだ??
未だ混乱の極みにあります

轡(くつわ)もなく
鐙(あぶみ)もない
裸馬に乗って、落馬しないよう
必死にしがみつくように読みました

しかし抜群に面白い

謎の一族である
根安堂太陽子(ねあんどう たいようこ)
とのぶっ飛んだ会話は
恐怖すら覚えました

なんなんだ?この本は・・

馬という概念を通して
人の幸せを探る本書
暴れ馬が疾走するような
強烈な印象が残りました

僕はあっさりと落馬しましたが
それすらも楽しい読書体験です

あなたはゴールまで
乗馬出来ましたか?

作品紹介(出版社より)

第45回野間文芸新人賞受賞作。


疾走する想像力で注目を集める新芥川賞作家が描く、馬と人類の壮大な歴史をめぐる物語。
太古の時代。「乗れ!」という声に導かれて人が初めて馬に乗った日から、驚異の物語は始まる。この出逢いによって人は限りなく遠くまで移動できるようになった――人間を“今のような人間”にしたのは馬なのだ。
そこから人馬一体の歴史は現代まで脈々と続き、しかしいつしか人は己だけが賢い動物であるとの妄想に囚われてしまった。
現代で競馬実況を生業とする、馬を愛する「わたし」は、人類と馬との関係を取り戻すため、そして愛する牝馬<しをかくうま>号に近づくため、両者に起こったあらゆる歴史を学ぼうと「これまで存在したすべての牡馬」たる男を訪ねるのだった――。

作品データ

タイトル:『しをかくうま』
著者:九段理江
出版社:文藝春秋
発売日:2024/3/12

作家紹介

九段理江(くだん・りえ)

1990年、埼玉生れ。
2021年「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞しデビュー。
2021年「Schoolgirl」で第166回芥川龍之介賞、第35回三島由紀夫賞候補、2023年3月、同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞。
2021年11月「しをかくうま」で第45回野間文芸新人賞を受賞。
2021年12月「東京都同情塔」が第170回芥川龍之介賞候補となる。

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九段理江の作品紹介

『悪い音楽』
『Schoolgirl』 2022/1/17
『しをかくうま』2024/3/12
東京都同情塔』2024/1/17
しをかくうま』2024/3/12

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