【感想】『をんごく』北沢陶|現世の金に死後まで囚われる、商売人

117 views
をんごく|北沢陶

ケイチャン

ケイチャン

【2023年159冊目】

今回ご紹介する一冊は、

北沢陶

『をんごく』です。

PR

【感想】「現世の金に死後まで囚われる、商売人」

大正ホラー

第43回横溝正史ミステリー&ホラー大賞

亡き妻に
もう一度会いたい・・
でもその代償が、私の死というのなら
いったいどうしたらいいのだろうか?
めくるめく純愛ホラーです

死んでもいいから、合いたい人がいる

大正時代末期の大阪が舞台
亡き妻が忘れられなく
巫女に降霊を依頼するところから
物語はスタートします

しかし巫女が言うんだ
この霊はおかしい
あの世に旅立っていない
まだ現世に要る、と

その言葉どおり
亡き妻、倭子(しずこ)の気配を感じ
家の中では異変が起こるのだ
・・倭子はまだここに居るのか?

倭子を追う、壮一郎は
やがて一族の秘密を知ることとなる
商売繫盛
そこ言葉は呪い
死者すら利用する家業のツケを
今、支払う時が来たんだ

「現世の金に死後まで囚われる、商売人」

独特な文体が
異様な雰囲気をもたらす本作
美しく、おぞましく
優雅で、あやかしい
ホラーの様式美を醸し出しています

商家の坊ちゃんこと壮一郎の
亡き妻、倭子に対する
複雑な愛の想いが
千々に乱れ語られていきます

死んでいてもいいから
そばにいて欲しい
いやいや
安らかに成仏して欲しい
と想いが定まらない

うんうん、そうだよね
もう一度会えるなら
たとえ自分が死んでも
いいって気になっちゃうかもね

さて物語の中盤辺りから
壮一郎のバディとなるのが
死霊を喰う化け物、エリマキです
最初はツンツンと怖いエリマキが
壮一郎の人柄と愛情にほだされて
死すらいとわない協力者となります

そして最終決戦で対峙する
先祖代々の死霊たち
『をんごく』を列になって
歌い踊り連なる様子は
まさに恐怖!

強烈にイメージを喚起する
をんごくダンス
おぞましくも、どこか滑稽で
背すじがゾワゾワする
ホラーの醍醐味です!

異様なクライマックスシーンが
長くトラウマとなるようでした
怖いものが読みたい
あなたにピッタリな一冊です

僕も死後
あの『をんごく』の列に
加わってみたいな笑

作品紹介(出版社より)

第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作!

嫁さんは、死んでもまだこの世にうろついているんだよ――

大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。
未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。
巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。
倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない存在「エリマキ」と出会う。
エリマキは死を自覚していない霊を喰って生きていると言い、
倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。
壮一郎とエリマキは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面する――。

家に、死んだはずの妻がいる。
この世に留めるのは、未練か、呪いか。


選考委員満場一致、大絶賛!
第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作!

作品データ

タイトル:『をんごく』
著者:北沢陶
出版社:KADOKAWA
発売日:2023/11/6

作家紹介

北沢 陶(きたざわ・とう)

大阪府出身。イギリス・ニューカッスル大学大学院英文学・英語研究科修士課程修了。
2023年、「をんごく」で第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈大賞〉〈読者賞〉〈カクヨム賞〉をトリプル受賞し、デビュー。

北沢 陶の作品紹介

をんごく』2023/11/6

PR
カテゴリー:
関連記事