ケイチャン
【2022年22冊目】
今回ご紹介する一冊は、
誉田哲也 著
『フェイクフィクション』です。
もくじ
【感想】「復讐するは我にあり」
首のない遺体
それは復讐の物語の案内人なのか?
幾人もの思惑が絡むその中心に潜むのは
神のベールのもとに欲望を隠したカルト教団だった!
主要人物数人の視点から
さながら群像劇のように展開し
物語の奥行を深めるのが得意な誉田哲也ですが
本作は3人の立場も性格も違う男が登場します
1人めは刑事の鵜飼(うかい)
50歳手前の独身、死体発見の一方を受けて
最初に現場へ向かいますが、どこか様子が変
次第に彼こそがこの事態を動かす黒子であることが明かされる
その正体は復讐者
恋人の仇を打つために、人生最大の賭けに挑む
何故こんな手間を掛けるのか?
それは警察内部にカルト教団『サダイの家』の
協力者がいるからである
この事件を潰されてはならない、コントロールするのだ!
2人めは元格闘家の潤平(じゅんぺい)
プロ戦11連勝と快進撃するも12戦目で失神KO
そこでスパッと格闘家を廃業し、食品会社で働く毎日
単純で思い切り良くバカだが素直な好青年です
そんな彼の会社へ入社してきたのは
19歳の美しい女性の美祈(みのり)もう一目惚れなんです!
しかし、彼女には影がある・・何故だ!?
それは彼女が『サダイの家』の信者であるから
その憂いは彼女の役目が性奴隷であるから
3人めはヤクザの唐津(からつ)
宗教団体『サダイの家』を守る用心棒
教祖の人柄に惚れ、その娘に恋し
教団の盾となり矛となり守護しています
しかし教団の腐敗と守るべき娘が壊れてゆく姿に
疑問覚えていきます
これは俺が間違っているのでは?
そして彼はケジメをつけて、本当の敵を討つ
この3人を軸にして復讐の物語は進みます
情け容赦ないストーリー展開ですが
ニヒルな中にもどこかコミカルなところがあり
残酷さがマイルドに中和されるのが
誉田作品の魅力ではないでしょうか?
そして迎えるのは
最終決戦の討ち入り!
想像以上のカタストロフィに
あなたも震えるはずです
作品紹介(出版社より)
首なし死体がすべての始まりだった。
警察組織vs悪魔と呼ばれる男vsカルト教団vs元キックボクサー。
囚われた“彼女”の奪還。愛する人を失った者たちの復讐劇――。
疑いなき信仰心に警鐘を鳴らすセンセーショナルな最新長編。東京・五日市署管内の路上で、男性の首なし死体が発見された。刑事の鵜飼は現場へ急行し、地取り捜査を開始する。死体を司法解剖した結果、死因は頸椎断裂。「斬首」によって殺害されていたことが判明した。一方、プロのキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内にある製餡所で従業員として働いていた。ある日、同じ職場に入ってきた有川美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知ってしまい……。
作品データ
タイトル:『フェイクフィクション』
著者:誉田哲也
出版社:集英社
発売日:2021/11/5
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作家紹介
誉田哲也(ほんだ・てつや)
1969年東京生まれ。
2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。
2003年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。
警察小説として『ストロベリーナイト』をはじめとする〈姫川玲子シリーズ〉、〈ジウ・サーガ〉、青春小説として『武士道シックスティーン』をはじめとする〈武士道シリーズ〉など、幅広いジャンルで話題作を発表し続けている。他の著書に『あなたが愛した記憶』『背中の蜘蛛』『もう、聞こえない』など多数。
誉田哲也の作品紹介
『妖の華』(2003/1)
『アクセス』(2004/1/16)
『吉原暗黒譚』(2004/4)
『春を嫌いになった理由』(2005/1/1)
『疾風ガール』(2005/9/29)
『新装版-ジウI-警視庁特殊犯捜査係』(2005/12)
『ストロベリーナイト』(2006/2/22)
『新装版-ジウII-警視庁特殊急襲部隊』(2006/3)
『新装版-ジウIII-新世界秩序』(2006/8)
『月光』(2006/11/1)
『ソウルケイジ』(2007/3/20)
『武士道シックスティーン』(2007/7/26)
『国境事変』(2007/11/1)
『シンメトリー』(2008/2/21)
『武士道セブンティーン』(2008/7/14)
『ヒトリシズカ』(2008/10/1)
『ガール・ミーツ・ガール』(2009/4)
『武士道エイティーン』(2009/7)
『ハング』(2009/9)
『インビジブルレイン』(2009/11/19)
『主よ、永遠の休息を』(2010/3/20)
『歌舞伎町セブン』(2010/11/1)
『感染遊戯』(2011/3/19)
『レイジ』(2011/7/13)
『ドルチェ』(2011/10)
『あなたの本』(2012/2)
『あなたが愛した記憶』(2012/6/5)
『幸せの条件』(2012/8)
『ブルーマーダー』(2012/11/1)
『ドンナ ビアンカ』(2013/2/1)
『増山超能力師事務所』(2013/7/16)
『Qrosの女』(2013/12/12)
『ケモノの城』(2014/4/18)
『黒い羽』(2014/8/7)
『歌舞伎町ダムド』(2014/9/24)
『インデックス』(2014/11/14)
『武士道ジェネレーション』(2015/7)
『プラージュ』(2015/9/17)
『硝子の太陽N – ノワール』(2016/5/11)
『硝子の太陽R-ルージュ』(2016/5/11)
『増山超能力師大戦争』(2017/6/16)
『ノーマンズランド』(2017/11)
『あの夏、二人のルカ』(2018/4/27)
『ボーダレス』(2018/8)
『歌舞伎町ゲノム』(2019/1/18)
『背中の蜘蛛』(2019/10/16)
『妖の掟』(2020/5/14)
『もう、聞こえない』(2020/8/26)
『オムニバス』(2021/2/23)
『フェイクフィクション』(2021/11/5)
『アクトレス』(2022/1/18)