【感想】『財布は踊る』原田ひ香|一発逆転の儲け話、そんなの有るはずないでしょ!

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財布は踊る|原田ひ香

ケイチャン

ケイチャン

【2022年171冊目】

今回ご紹介する一冊は、

原田ひ香 著

『財布は踊る』です。

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【感想】「一発逆転の儲け話、そんなの有るはずないでしょ!」

あとちょっともう少しだけ
でもホントはいっぱい・・
お金が欲しいッ!
お金にまつわるドタバタ群像劇です

あなたは投資していますか?

株式投資から信用取引
投資信託からFX
そして仮想通貨まで・・
いろんな資産運用がありますね

僕も少額ながら株式取引していますが
背すじが凍った忘れられない思い出があります
順調に株価が上がっていたある時
夕食しながらテレビを観ていました

その時緊急速報が入りました
ニューヨークの高層ビルに飛行機が
突っ込む映像を見て脳みそがフリーズする
9.11の飛行機テロです

現地の惨劇に衝撃を受けるとともに
『株が下がる・・』と冷静に考えた覚えがあります
翌日これまでの利益が吹っ飛ぶ
損切りを泣く泣くしました

何が起こるかわからないから
株は怖い

さて群像劇の本書では
まず倹約家の主婦が主人公として登場します
涙ぐましい倹約生活の成果として
ハワイ旅行に行くみずほちゃん
夢のような楽しい旅行で
長年欲しいと思い続けていた
ルイヴィトンの長財布を購入します
嬉しい、大切にしよう・・

しかし夢からさめた現実は厳しい
長年放置していた夫のクレジットカードの
使用状況が時限爆弾のように炸裂します
それがリボ払いです

コツコツと積みあがった
リボ払い残金は200万円以上!
借金清算の為にルイヴィトンの長財布を
みずほは泣く泣く手放すことに
ああ、いったいどうしてこうなったの涙

そしてみずほの財布は
次の若者の手に渡る・・
巡りゆく財布の行方はどこへ?

「一発逆転の儲け話、そんなの有るはずないでしょ!」

第二話の主人公の文夫(ふみお)くんは
自分だけは賢いと思っている
みずほちゃんとは真逆のタイプです
濡れ手に粟の楽して大儲けを狙い
結果悪い方へと転がり落ちてしまう

彼に抜けているのは
第3者からの俯瞰した視点なのでしょう
本当に儲け話があるのなら
誰にも黙って自分だけでするはず
すなわち回ってきた儲け話は
罠なのです

どん底にまで落ちた
みずほちゃんと文夫くん
彼らが這い上がる方法
それは地道にコツコツと
働くことでしかなかった

どこにでもいるフツーの
登場人物達が懸命に生きる
等身大の僕らの物語です
リボ払い
商材販売
レバレッジ取引
奨学金
などなど簡単に手が出せるが
大火傷する危険性のある話も
興味深いです

今よりちょっと贅沢したいために
思わぬ罠にハマってしまう
それは仕方ないことなのか?
僕は現状を大切にして
今に満足する心が必要だと思いました

もっともっとと上を見ていると
足元の石ころに躓いてしまう
ややうつむきながら前を向き
確実に一歩一歩進もう

作品紹介(出版社より)

毎月2万円の貯金
節約に節約を重ねてでも、欲しいものがあった――。

会社の同僚と平凡な結婚をし、ひとり息子にも恵まれ、専業主婦として穏やかに暮らす葉月みづほ。彼女はある夢を実現するために、夫から渡される月5万円の生活費を切り詰め、人知れず毎月2万円を貯金していた。2年以上の努力が実った喜びも束の間、夫のクレジットカードの請求額がなぜか異常に少ないことに気づき……。

作品データ

タイトル:『財布は踊る』
著者:原田ひ香
出版社:新潮社
発売日:2022/7/27

作家紹介

原田ひ香(はらだ・ひか)

1970年神奈川県生れ。
2005年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。
2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞。
著書に『三千円の使いかた』『そのマンション、終の住処でいいですか?』『古本食堂』『一橋桐子の犯罪日記』『ランチ酒』『事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング』『人生オークション』『母親ウエスタン』『彼女の家計簿』『ミチルさん、今日も上機嫌』『三人屋』『ラジオ・ガガガ』などがある。

原田ひ香の作品紹介

『はじまらないティータイム』(2008年1月)
『東京ロンダリング』(2011年7月)
『人生オークション』(2011年10月)
『母親ウエスタン』(2012年9月)
『アイビー・ハウス』(2013年3月)
『彼女の家計簿』(2014年1月)
『ミチルさん、今日も上機嫌』(2014年5月)
『三人屋』(2015年6月)
『ギリギリ』(2015年9月)
『復讐屋成海慶介の事件簿』(2015年11月)
『彼女たちが眠る家』(2016年6月)
『事故物件、いかがですか?』(2016年9月)
『ラジオ・ガガガ』(2017年5月)
『ランチ酒』(2017年11月)
『三千円の使いかた』(2018年4月)
『DRY』(2019年1月)
『そのマンション、終の住処でいいですか?』(2019年4月)
『ランチ酒 おかわり日和』(2019年7月)
『まずはこれ食べて』(2019年12月)
『口福のレシピ』(2020年8月)
『一橋桐子(76)の犯罪日記』(2020年11月)
『サンドの女 三人屋』(2021年2月)
『ランチ酒 今日もまんぷく』(2021年6月)
『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』(2021年9月)
『古本食堂』(2022年3月)
財布は踊る』(2022年7月)
『老人ホテル』(2022年10月)


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