ケイチャン
【2022年106冊目】
今回ご紹介する一冊は、
垣谷美雨 著
『あきらめません!』です。
もくじ
【感想】あなたの田舎(地方都市)は大丈夫!?
こんな地方に誰がした!?
旧来の価値観が崩れ
IT革命が進行中というのに
いまだ昭和の男村精神を引きずる地方都市
こんなの受け入れない!
と、声を上げる女性たちの物語です
定年退職後、夫の田舎に帰る
東京から山陰地方へ移住するところからスタートします
憧れと不安が相半ばの田舎生活ですが
そうそうに飽きてしまう
のんびりするのも才能がいるってことですね
主人公の霧島郁子(きりしま いくこ)さんは
のどかな田園ライフを満喫することに
残念ながら向いていませんでした
東京の企業で経理ひと筋35年
合理的かつ理論的な思考で
つねに向上心があります
経理の常とて、わけわからんことやってる奴には
ひと言注意しなければいけなかったことでしょう
他人に意見することに躊躇ない性格です
そんな郁子を見出した人がいた
それが市議会議員の市川ミサオでした
ミサオばあちゃんが語る地方政治の現状とは
男尊女卑の村社会の延長でした
若い女性議員をヤジるじじい共(男性議員)に
強烈な反発心を覚える郁子さん
それを焚きつけるミサオさん
わたしの跡目をあなたが継いでちょうだい、と
市会議員に立候補するよう説得します
最初はしぶる郁子さんでしたが
次第に自分の気持ちに気が付いてくる
のんびり老後など、私の性ではない
私はあきらめない人間なんだ!
深刻な問題をちょっとコミカルに描いていて
とても身近に感じられます
最初は自分に自信がなく嫌と言えない女性達が
じょじょに立ち上がってゆく様子に気持ちが上がる
そして麦のように踏まれれば踏まれるほどに
強かに育ってゆく
そんな女性達の物語です
実際の政治でも、何かきっかけがあれば
大きく変わっていくのかも知れませんね
僕も議員定数のクオータ制(女性の割合をあらかじめ決めておくこと)
には賛成です
あなたの街の市議会は
おじいちゃん達の老人会に
なってはいませんか?
作品紹介(出版社より)
結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑――時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに……!? この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう!
作品データ
タイトル:『あきらめません!』
著者:垣谷美雨
出版社:講談社
発売日:2022/5/25
作家紹介
垣谷 美雨(かきや・みう)
1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『女たちの避難所』『夫の墓には入りません』『姑の遺品整理は、迷惑です』『うちの子が結婚しないので』などがある。
垣谷 美雨の作品紹介
優しい悪魔(2008/6/20)
竜巻ガール(2009/6/11)
夫の彼女(2011/4/22)
禁煙小説2011/12/15)
エール!(2013/4/5)
夫のカノジョ(2013/10/1)
あなたの人生、片づけます(2013/11/6)
結婚相手は抽選で(2014/6/12)
if: サヨナラが言えない理由(2014/11/11)
避難所(2014/12/22)
七十歳死亡法案、可決(2015/2/10)
ニュータウンは黄昏れて(2015/6/26)
子育てはもう卒業します(2016/7/13)
あなたの人生、片づけます(2016/11/10)
後悔病棟 (2017/4/6)
女たちの避難所(2017/6/28)
老後の資金がありません(2018/3/23)
夫の墓には入りません(2019/1/22)
農ガール、農ライフ(2019/5/15)
うちの子が結婚しないので(2019/9/27)
あなたのゼイ肉、落とします(2019/11/14)
うちの父が運転をやめません(2020/2/21)
リセット(2020/4/16)
定年オヤジ改造計画(2020/9/11)
希望病棟(2020/11/6)
四十歳、未婚出産(2021/2/4)
代理母、はじめました(2021/2/20)
もう別れてもいいですか(2022/1/7)
姑の遺品整理は、迷惑です(2022/4/14)
あきらめません!(2022/5/25)