【感想】『ブルースRed』桜木紫乃|この熾火のような恋心が消えることはない

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ブルースRed|桜木紫乃

ケイチャン

ケイチャン

今回ご紹介する一冊は、

桜木紫乃 著

『ブルースRed』です。

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【感想】「この熾火のような恋心が消えることはない」

ノワール小説

釧路の裏社会を束ねる
冷酷で氷面のような美貌を誇る女
影山莉菜(かげやまりな)の物語

もう、冒頭からヤバい

代議士を接待するシーンから始まるストーリーは
イキナリ倒錯的で淫靡
それは冷酷な悪女を思わせる
莉菜を強烈に印象づける
緊迫した幕開けです

そう、桜木紫乃が描く物語に興奮しないわけがない
ページをめくるたびに、心が昂る

「この熾火のような恋心が消えることはない」

かつて街を支配した義父、ヒロト
ダークヒーローのような故人への愛情が語られ
義父と連れ子のただならぬ関係に
興味しんしんとなります

本作は上記の義父、ヒロトが主人公の小説
『ブルース』の続編です
漫画化もされています

それは地下で燃える石炭火災のよう
一度火がついたらグズグズといつまでも燃える
いくら地上から水をかけても熾火は消せない
地熱で草木は枯れ、荒野となり果てても
地中で石炭は赤々と燃え狂っている・・
これが莉菜の父への想いだ

この想いが向かう先は
亡き父の、秘められた息子
その夢は、彼を国会議員として
日の当たる舞台へ出すこと

まだ少年の彼に、父の姿を見出し
舌なめずりするかのような莉菜に
戦慄します

そして、莉菜が期待するように成長し
亡き義父ヒロトを彷彿させるような
たくましい男に彼がなった時
莉菜は想いは満願をかなえる
抱擁の愉悦に酔う莉菜
その脳裏に浮かんでいるのは
かつての男か
いまの男なのか

ここで終わらないのが桜木紫乃
一時の逢瀬を終えたあとからが
本作の真骨頂なのです

50代を過ぎ人生の黄昏を迎えた桜木紫乃
その彼女と彼女の母親が下した決断で
後半はがらりと様相をかえ転変します

それは贖罪の旅なのか
それとも死への巡礼か
流されているのではない
自らの意志で流転する莉菜の姿に
あなたの心も激しい潮の満ち引きのように
うねる

作品紹介(出版社より)

死に場所を求め、生きる女が、裏切りの果てに辿り着いた終焉の地とは。
ブルースに続く、『新たなダークヒロイン』の誕生!

釧路の街を、裏社会から牛耳る影山莉菜。
亡父・博人の血をひく青年を後継者として育て、官僚から代議士への道を歩ませようとしていた。
「男と違って、女のワルには、できないことがない」
亡き父の言葉を胸に、重い十字架を背負った女が、幾度もの裏切りの果てに――。

『ホテルローヤル』『家族じまい』を経てデビュー20年目の桜木 紫乃が放つ最高傑作!

作品データ

タイトル:『ブルースRed』
著者:桜木紫乃
出版社:文藝春秋
発売日:2021/9/24

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作家紹介

桜木紫乃 (さくらぎ・しの)

1965年北海道釧路市生れ。
2002年『 雪虫 』でオール讀物新人賞を受賞。
2007年『 雪虫 』を収録した単行本『氷平線』でデビュー。
2013年『ラブレス』で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木賞を受賞。
2020年『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞。

桜木紫乃の作品

『 硝子の葦 』(2010年8月)
『 ラブレス 』(2011年7月)
『 氷平線 』(2012年4月)
『 凍原~北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂 』(2012年6月)
『 誰もいない夜に咲く 』(2013年2月)
『 ワン・モア 』(2015年1月)
『 起終点駅 』(2015年3月)
『 ホテルローヤル 』(2015年6月)
『 無垢の領域 』(2016年2月)
『 蛇行する月 』(2016年6月)
『 星々たち 』(2016年10月)
『 風葬 』(2016年12月)
『 それを愛とは呼ばず 』(2017年10月)
『 ブルース 』(2017年11月)
『 霧 』(2018年11月)
『 裸の華 』(2019年3月)
『 緋の河 』(2019年6月)
『 氷の轍 』(2019年12月)
『 家族じまい 』(2020年6月)
『 砂上 』(2020年7月)
『 ブルース 上 』(2020年7月)
『 Seven Stories~星が流れた夜の車窓から 』(2020年11月)
『 ふたりぐらし 』(2021年2月)
『 俺と師匠とブルーボーイとストリッパー 』(2021年2月)
『 ブルースRed 』(2021年9月)
『 光まで5分 』(2021年12月)

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