直木賞受賞

【本の感想】『藍を継ぐ海』伊予原新|弱き人間の祈り

伊予原新『藍を継ぐ海』とナポリタン
ケイチャン(サカキ ケイ)

【2025年30冊目】

今回ご紹介する一冊は、

伊予原新 著

『藍を継ぐ海』です。

【感想】「弱き人間の祈り」

第172回直木賞受賞作

この未知なる完璧な世界で
不完全な人々が生きる姿を描く
5つの短編を収めた
自然科学系小説です

世界は気づきに満ちている

普通に生きているだけでは
なかなか気が付きにくい

自然科学の事象 みなさんは興味がありますか?

人間だって、ただの生物

そんな世界に生きる僕らに
新しい知見を与えてくれるような
5つの物語です

①夢化けの島

地質学者の女性と、陶芸家の物語
人の思いと歴史に
悠久の営み感じました

②狼犬ダイアリー

人と犬、そして狼の物語
『負け犬』という名前の犬は
いないだろう

③祈りの破片

建物のかけらに込められた
願いの物語
出来ることを、するという
ひたむきさに心打たれます

④星隕つ駅逓

隕石騒動記
流れ星に込められた
父娘愛に、うるるときます

⑤藍を継ぐ海

ウミガメ小説
動物は人の心を映す
鏡のようでした

「弱き人間の祈り」

登場人物の方々が皆
弱く欠点を持った
ふつーの人々で
共感しやすいです

みんな何かが欠けていて
それを埋めようと
がんばっている姿に
素直に応援したくなる

悪い人がいない物語

エンタメ作品にありがちのステレオタイプな悪人が出てこず
安心して読めました
みんな基本、いい人

みんな何かを求めて頑張っている
それを見守るように世界は優しさに満ちている
それに気が付かせてくれました

科学的なロマンあるテーマも
楽しく読める

あなたは今日、目にした世界に何を見ましたか?

作品紹介(出版社より)

第172回直木賞受賞!

数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺に―ー。
徳島の海辺の小さな町で、なんとかウミガメの卵を孵化させ、自分ひとりの力で育てようとする、祖父と二人暮らしの中学生の女の子。年老いた父親のために隕石を拾った場所を偽ろうとする北海道の身重の女性。山口の見島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男。長崎の空き家で、膨大な量の謎の岩石やガラス製品を発見した若手公務員。都会から逃れ移住した奈良の山奥で、ニホンオオカミに「出会った」ウェブデザイナーの女性ーー。
人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。『宙わたる教室』『月まで三キロ』『八月の銀の雪』の著者による、心揺さぶられる全五篇。

作品データ

タイトル:『藍を継ぐ海』
著者:伊予原新
出版社:新潮社
発売日:2024/9/26

作家紹介

伊与原 新(いよはら・しん)

1972年大阪府生まれ。
神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。
2010年『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞。
2019年『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。
他著に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』『宙わたる教室』『ルカの方舟』『博物館のファントム』『ブルーネス』など多数。

伊与原 新の作品紹介

『お台場アイランドベイビー』2010/9/25
『プチ・プロフェスール』2011/9/10
『ルカの方舟』2015/10/15
『磁極反転』2014/8/22
『ブルーネス』2016/8/26
『コンタミ 科学汚染』2018/3/21
『オオルリ流星群』2022/2/18
『宙わたる教室』2023/10/20
藍を継ぐ海』2024/9/26

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ケイチャン
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サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください!オススメの本は?この本気になるけど面白い?…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします!一緒に読書を楽しみましょう!!
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