海外文学

『アイアース』ソポクレース あらすじと感想|生き恥かいても、死に恥さらすな

ケイチャン(サカキ ケイ)
ソポクレース『アイアース』

【2026年62冊目】

今回ご紹介する一冊は、

ソポクレース 著

『アイアース』です。

この小説はこんな人にオススメ

古代ギリシアの英雄譚に興味がある人

あらすじと感想

ギリシャ悲劇

英雄たるものは自らの失態をどう始末すべきか?
トロイア戦争の英雄アイアースの誇り高き最後を描く叙事詩です

日本の武士なら切腹ってことだね

舞台はトロイア戦争中のギリシャ方の陣営、明け方にアイアースはたくさんの家畜を連れて、
自分の陣屋に戻ってきます・・いったいどうしたことなのか?

羊を切り裂き、牛を鞭で打つアイアース、
なんと彼は女神アテナの神力(呪い?)によって狂乱の精神状態になり、
僚友の武将たちを皆殺しにしようとして(アテナの策略により)間違って、
家畜を殺してしまったのだ

俺は何をしでかしたのだ!?

正気を取り戻して愕然とするアイアース、自らの誇りは地に落ちてしまった
部下たちや奥さんは懸命にとりなすが、アイアースは自らの身を剣の上に投げ出すのだ

「生き恥かいても、死に恥さらすな」

終盤は自殺したアイアースの遺体囲み、
僚友を殺そうとした者の埋葬を許さないギリシャ側の司令官たち
総大将の兄アガムメノーン、スパルタ王の弟メネラーオスとの丁々発止のやりとりが繰り広げられます

兄は偉大だった!

そう言うのはアイアースの弟テウクロスです
停泊中のギリシャ船団を守りぬき、アキレウスの遺体を巡る戦いで勇戦し、トロイアの戦士ヘクトルと互角に戦った、と

裏切者は許さない!

こう言うのがアガムメノーンとメネラーオスの兄弟だ
仲間を殺そうとする者は、死んでも許されない。遺体を見せしめとして放置し、全軍の規律を高めるのだ、と

死をもって罪をあがなった者をどうするか?難しい問題ですね

この一触即発の場面に登場するのが知将オデュッセウスです
アイアースのライバル的存在で、嫌い合っていた仲なのだが、
彼はアイアースは立派だった、誇りを守る勇者だった、と擁護するんです

妻や子に見守られ、アイアースが弔われる
コロス(合唱隊)の『運命を予知できるものはいない』との歌で終幕となります

この後の訳者解説でこの劇が演じられたアテネではアイアースはヒーローで、
スパルタは敵国だったことが書かれます

時代背景を反映した劇として、当時は大ヒットしたことでしょう
日本で言ったら、源義経の最後的な感じでしょうかね←だいぶ違うか!笑

ギリシャの英雄の最後を描く、罪と死の叙事詩

誇りに関する当時の思いを知る、現代にも通じる古典でした

作品紹介(出版社より)

勇猛果敢,廉直の人として愛されたトロイアー戦争の英雄アイアース.アキレウスの遺品をめぐりオデュッセウスと争い敗れた結果,狂気に陥り――.古代ギリシア三大悲劇詩人の一人ソポクレースの,現存する最古の作品とされる.

ソポクレース『アイアース』

作品データ

タイトル:『アイアース』
著者:ソポクレース
出版社:岩波書店
発売日:2026/5/19

作家紹介

ソポクレース


前496頃‐前406年。古代ギリシア三大悲劇詩人の一人。
アテナイ近郊の騎士階級の家に生れ、恵まれた幼少年期を過ごす。
容姿端麗で役者を志したが、声が弱く断念。
劇作家に転じ、27歳で競演に初参加、優勝して以来、90歳まで執筆を続けた。
123篇のうち7作が残っている。

ソポクレースの作品紹介

『アンティゴネー』
『オイディプース王』
アイアース

ABOUT ME
ケイチャン
ケイチャン
サラリーマン読書家
年間150冊以上の本(主に小説)を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。ミステリー・サスペンス・イヤミス・恋愛小説を中心に、本の感想とおすすめをご紹介しています。「読む本に迷ったとき」の参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を!」一緒に読書を楽しみましょう!!
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