
ケイチャン
【2025年29冊目】
今回ご紹介する一冊は、
犬怪寅日子 著
『羊式型人間模擬機』です。
もくじ
【感想】「真昼の午睡に見る、甘美な悪夢」
男性が死ぬとき、羊となる
遺族はこの肉を食べるのだ
不思議な一族に使える『わたくし』を描く
異形の幻想SFです
おじいちゃんが『御羊(おひつじ)』と
なるところから物語はスタートします
・・さあ、さあ、ここから大忙し!
『わたくし』は儀式の用意に追われます
御羊が出るのは久しぶりのこと
でもそれは祝祭のように見えて
怖いもの
一族は御羊を屠り食べなくてはいけないのだ
羊となった近親者を
屠り、捌き、食べるのが
一族の掟
彼らはそれをどう思っているのか?
そして『わたくし』は
この祭司役を
いつまですればいいんだろうか?
代々の一族に使える
メイドさんのような『わたくし』
物語は御羊となった祖父を
間もなく食べる人々の
それぞれを描いてゆく
少女漫画に登場する
美しいキャラクターのような
一族の人々たち
浮世離れしたようすです
怖い設定のはずなのですが
韻を踏んでリフレインするような
文章がとても変わっていて独特です

ケイチャン
物語の恐ろしさが中和されるよう
少女幻想・・
とでも言うべき不思議な物語

ケイチャン
真っ昼間のお昼寝中に見た
美しい悪夢のようでした
作品紹介(出版社より)
第12回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作
男性が死の間際に「御羊」に変身する一族に仕える「わたくし」は、その肉を捌き血族に食べさせることを生業としている。ついに大旦那が御羊になったある日、「わたくし」は儀式の準備を進めるが、一族の者たちは「御羊」に対して複雑な思いを抱いていた。かれらはなぜ、何代にもわたり血族の肉を食みつづけるのか。人間は/機械は、何のために存在するのか――第12回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞した異色の幻想SF。
作品データ
タイトル:『羊式型人間模擬機』
著者:犬怪寅日子
出版社:早川書房
発売日:2025/1/22
作家紹介
犬怪寅日子(いぬかい・とらひこ)
神奈川県小田原市出身。現役の書店員。ジュンク堂書店 藤沢店で働く。
『ガールズ・アット・ジ・エッジ』原作担当。本作で第12回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し、デビュー。
犬怪寅日子の作品紹介
『ガールズ・アット・ジ・エッジ』2024/3/29
『羊式型人間模擬機』2025/1/22