【本の感想】『くますけと一緒に』新井素子｜無償の愛って・・怖いかも！？

【2025年136冊目】
今回ご紹介する一冊は、
新井素子　著
『くますけと一緒に』です。

【感想】「無償の愛って・・怖いかも！？」

邪魔な人が傷ついたのは、くますけのせい？
想像のイマジナリーフレンドなのか？
それとも実在の天使か悪魔なのか？
少女とぬいぐるみの絆の物語です

あなたはぬいぐるみと、お話できる？

大嫌いな子が事故にあって
パパとママが死んじゃったのは
たぶんくますけのせいなの・・
小学4年の成美（なるみ）ちゃんは
そう思っていました

だってくますけは
正しいことしか言わない
わたしにとって絶対の
味方なのだから

ぬいぐるみと会話する
成美ちゃんを
両親は変な娘だと嘆き
学校の同級生はイジメていました

変じゃないよ！

そう言って守ってくれるのは
母の友達だった裕子（ゆうこ）さん
その上、身寄りの無くなった
成美ちゃんを引き取ってくれたんだ

でもわたしはきっと嫌われるの

親でもないのに無償の愛を
注いでくれる裕子さん
じょじょに心を開く成美ちゃん
でも不安なの・・だって
くますけが殺しちゃうかも・・

主に成美ちゃんと裕子さんの
一人称で進むストーリー
2人それぞれの想いが
すれ違いそして重なり
少しずつ打ち解けてゆく

・・ホラーだよね？どうなってくの！

だんだん家族となってゆく２人だが
元家族だったパパとママが
亡霊なのか悪霊なのか
成美の前に再び現れます

あなたは酷い娘！呪われるがいい！！

親子関係の不和が
本作の背骨となっています
父と母と合わないのは
罪なのでしょうか？

さて終盤では、くますけに
裕子さんを殺させないため
成美ちゃんは家を出ることを
決意します

深夜の逃避行にクライマックスへの
期待が高まりますが意外に穏やかな
結果にホッとしつつも
やや物足りない気持ちになりますが

最後のくますけの言葉に、ゾゾっとしてしまうのだ

ひーー！
やっぱ、ヤってんのか？

内気な少女と
愛らしいぬいぐるみの
不穏な物語

隠された真実の暴露にゾワゾワが止まりませんでした

無償の愛とは
他人に対する
無慈悲な行為と
なるかも知れないですね

あなたは誰に無償の愛を注いでいますか？

作品紹介（出版社より）

悪い人は死んでしまえばいい。願うと同級生は事故にあい両親も死んだ。これは、くますけがやったの？　書店員発掘＆絶賛。今読むべきホラー傑作！

作品データ

タイトル：『くますけと一緒に』新装版
著者：新井素子
出版社：中央公論新社
発売日：2025/1/22

作家紹介

新井素子（あらい・もとこ）

1960年、東京都生れ。立教大学文学部卒業。
都立高校2年生のとき、「あたしの中の……」が第一回奇想天外SF新人賞佳作に入選、星新一氏の強い推薦で作家デビュー。
1981年「グリーン・レクイエム」、1982年「ネプチューン」で2年連続の星雲賞日本短編部門受賞。
1999年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞受賞。
『星へ行く船』『ひとめあなたに…』『結婚物語』『新婚物語』『あなたにここにいて欲しい』『緑幻想』『おしまいの日』『ハッピー・バースディ』『もいちどあなたにあいたいな』『絶対猫から動かない』、星新一作品のアンソロジー＆エッセイ『ほしのはじまり』など、著書多数。

新井素子の作品紹介

『星へ行く船』シリーズ

『あたしの中の……』1978/1/1
『ひとめあなたに…』1981/10/1
『あなたにここにいて欲しい』1984/7/1
『緑幻想』1990/2/1
『グリーン・レクイエム』1990/4/1
『くますけと一緒に』1991/10/1
『おしまいの日』1992/5/1
『チグリスとユーフラテス』1999/2/5
『ハッピー・バースディ』2002/9/26
『もいちどあなたにあいたいな』2010/1/1
『絶対猫から動かない』2020/3/28
『くますけと一緒に』新装版　2025/1/22

ケイチャン

サラリーマン読書家

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年間150冊以上の本（主に小説）を読む、名古屋で働くサラリーマン【ケイチャン】です。食べることが大好きな僕が撮影している「本のある日常風景」と共に、本の紹介と感想のブログをお楽しみください！オススメの本は？この本気になるけど面白い？…など、読む本に迷った方への参考になれば幸いです。好きな言葉は「花には水を、人には愛を！」【ケイチャンブックス】よろしくお願いします！一緒に読書を楽しみましょう！！