【本の感想】『死んだら無になる』西村亨|私に説教するの、止めてもらえませんか?

【2025年133冊目】
今回ご紹介する一冊は、
西村亨 著
『死んだら無になる』です。
【感想】「私に説教するの、止めてもらえませんか?」
この世は私にとって
馴染まない・・
生きることが苦手な者の
悟りに至る物語です
地獄なんてきっと、無い
鮭のムニエルが食べたい・・
唐突な欲求で始まる物語ですが
希望どおりに鮭のムニエルを食した
ところで、虚無が訪れます
もう今日やることなくなっちゃった・・
40代独身フリーターの私は
ちょっと難しい性格のようす
些細なことにこだわり過ぎたり
他人を気にし過ぎたりで
生きるのが下手なんだ
そんな私が望むことは
悟りを得ること・・
一念発起した10日間の瞑想合宿で
私はどう変わるのだろうか?
さて物語の前半は
生きることが下手な私の
面白くない日々が綴られます
うんうん、これは確かに
・・おもんない人生だわww
そんな私が自分を変えるために
『10日間瞑想合宿』に参加します
これで自分は変わるんだと
わくわくと出かけた先で出会うのが
ひとりの女性と老人です
結局、たかが10日間の瞑想修行
ごときで悟りに至るはずもなく
失意の私に残されたカードが
この女性と老人でしたが
結果、2枚ともジョーカーだったという

そりゃそーだよねえ・・的な
救いのないエンディングに、僕は
くすくすと笑ってしまいました
人生は甘くない
簡単な救済など
あるはずもなく
日々、生きるために
右往左往するのが
人生ってやつなんでしょうか?

会う人みんなにマウントされムカつく説教をされる主人公が
哀れであり自分に思えてしまう
真面目で滑稽な物語でした

あなたも『瞑想』してみます?笑
作品紹介(出版社より)
悟るか死ぬか、それが問題だ
恋愛に絶望し、仕事にも倦み、家族はいよいよ疎ましく、せめてものセルフケアも世間が邪魔をする――救いを求めて赴いた怪しげな座禅道場で柳田が見たものは!?
第39回太宰治賞受賞『自分以外全員他人』、「本の雑誌年間ベストテン」第3位『孤独への道は愛で敷き詰められている』に続く<柳田譲>サーガ三作目!
報われぬ中年男性の魂の彷徨を描く恋愛に絶望し、仕事にも倦み、家族はいよいよ疎ましく、ささやかなセルフケアも世間が容赦なく水を差してくる――。すべての苦しみから逃れて「無」になることを求め赴いた怪しげな座禅道場で柳田譲が見たものは!?
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生きれば生きるほど、自分は人生に不向きであることを思い知った。人が当たり前にできることが、どうやら自分にはどうしてもできないらしい。四十を目前に控えた今、そのことにようやくはっきりと気付いた私は、これを機にいろいろなことを諦めることにした。やりがいのある仕事も、夢中になれる趣味も、誰かと一緒に生きることも。そうして小さな喜びで満足できるよう幸せのハードルを下げることでなんとか生きのびようとしていた。(本文より)
作品データ
タイトル:『死んだら無になる』
著者:西村亨
出版社:筑摩書房
発売日:2025/10/16
作家紹介
西村亨(にしむら・りょう)
1977年鹿児島県生まれ。東京都在住。鹿児島県立鹿児島水産高等学校卒業。
2023年「自分以外全員他人」で第39回太宰治賞受賞。同年、南日本文化賞奨励賞を受賞。2024年『孤独への道は愛で敷き詰められている』が「本の雑誌年間ベストテン」の第3位に選ばれる。
西村亨の作品紹介
『自分以外全員他人』 2023/12/1
『孤独への道は愛で敷き詰められている』2024/9/2
『死んだら無になる』2025/10/16


