【感想】『ギフテッド』藤野恵美|母親は受験戦争の総司令官である

183 views
ギフテッド|藤野恵美

ケイチャン

ケイチャン

【2023年7冊目】
今回ご紹介する一冊は、
藤野恵美 著
『ギフテッド』です。

PR

【感想】母親は受験戦争の総司令官である

天から才能を与えられた者は
厄介者なのだろうか?

天才児を受け入れることの
難しさを描く現代小説です

小中学校は国によって運営される
工場のようなものですから
国家の役に立つように
子供たちを加工するのは当然です

将来会社や工場で働きやすいように
知能と知性を施して
性格の角をとり丸くして
出荷するわけですね

でも子供は工業製品であるわけない!

飛びぬけた才能を持つ
『浮きこぼれ』
出る杭は打たれ
さらに出過ぎた杭は
抜かれてしまうのが
現在の教育体制の限界なのです

物語は東大卒ながら会社員として
挫折してしまった姉が
妹の子供の中学受験を通して
受験と教育格差について語っていきます

「母親は受験戦争の総司令官である」

僕にはちょうど高校受験である
中3の息子がおりまして
とても興味深く読めました
娘の受験を心配する妹の母心が
痛い程に共感できました

受験戦争はもはや総力戦なのであります

父親の僕が兵站を担い
母親の妻が戦略を指揮し
子供を準備万端で戦場に送る
一家総動員の戦争なのだ

しかしそこに絶対に必要なのが
子供の意志です
やる気のない武将が
戦場で勝てるはずもない

物語は『浮きこぼれ』の天才児の姉と
発達障害の疑いがある『落ちこぼれ』の弟を
対比させながらも
本当の幸せって何?
と問いかけつつ
避けられない現代の競争社会について
描かれていきます

そして感じたのが
親も子供に採点されている
ということです
子供のテストの点数を見るように

子供からも
親としてどれだけのことをしているのか
本当に僕の心配をしているのか
それは体面だけではないのか
僕のことをちゃんと見ているのか
パパっ僕もあなたを見ているのだよ!
と言われているようでした

受験を通して見る現代社会
難しく正解のない問題を
正面から見据える物語でした
また希望の持てるラストシーンが
まとまりの良い読後感となっています

強くおススメしたい作品です

作品紹介

賢い子どもに生まれたって、強く生きられるわけじゃない。賢い子どもを産んだって、簡単には育てられない。高い知能を持つことは、神様からのギフト? それとも試練? 国内トップの大学を卒業し一流企業に就職したものの退職、現在はフリーランスの翻訳者として慎ましく暮らす凛子。姪の莉緒は、読書と昆虫が大好きで論理的思考が得意だが、融通が利かずコミュニケーションに難がある、危うい小学生だ。 莉緒の中学受験に伴走することになった凛子は、周囲の期待にうまく応えられなった自分の半生を振り返る――。

作品データ

タイトル:『ギフテッド』
著者:藤野恵美
出版社:光文社
発売日:2022/11/24

作家紹介

藤野恵美(ふじの・めぐみ)

1978年生まれ。大阪府出身。大阪芸術大学文芸学科卒業。
『ねこまた妖怪伝』で第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞しデビュー。
『七時間目の怪談授業』『世界で一番のねこ』『お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿』などの児童書をはじめ、一般書ではコージーミステリ短編集『ハルさん』が話題となり、2017年にテレビドラマ化。
他に、『ぼくの嘘』『初恋料理教室』『ショコラティエ』『淀川八景』など、様々なジャンルで活躍している。

藤野恵美の作品

『ねこまた妖怪伝』(2004/04/05)
『ヒント?』 (2005/01/01)
『ゲームの魔法』 ( 2005/12/01)
『妖怪サーカス団がやってくる!  』(2006/04/01)
『小説 金色のコルダ 君のためにできること』 (2006/06/30)
『ねこまた妖怪伝』( 2007/08/03)
『キツネの姫と竜神さま―妖怪サーカス団』(2007/11/01)
『金色のコルダ 君のためにできること』(2007/12/27)
『怪盗ファントム&ダークネスEXーGP』シリーズ
『金色のコルダ 君の音色が好きだから』(2008/04/18)
『世界で一番のねこ』(2008/09/01)
『金色のコルダ2 君と僕のポリフォニー』(2008/09/18
『まめ太と風の神送り』(2010/04/01)
『わたしの恋人』(2010/12/11)
『ひとりって、こわい! 』(2012/07/20)
『ぼくの嘘』(2012/10/31)
『ハルさん』(2013/03/21)
『初恋料理教室』(2014/06/02)
『わたしの恋人』(2014/07/25)
『ぼくの嘘』(2015/01/24)
『猫入りチョコレート事件』(2015/07/03)
『老子収集狂事件』(2015/11/05)
『ふたりの文化祭』( 2016/03/30)
『初恋料理教室』(2016/10/05)
『おなじ世界のどこかで』(2018/04/25)
『淀川八景』 (2019/04/22)
『きみの傷跡』 (2021/03/19)
『ショコラティエ』(2021/04/13)
ギフテッド』 (2022/11/24)
『淀川八景』 (2022/12/06)

PR
カテゴリー:
関連記事