【感想】『シャーロック・ホームズの凱旋』森見 登美彦|物語は魔力を持っている

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シャーロック・ホームズの凱旋|森見登美彦

ケイチャン

ケイチャン

【2024年54冊目】

今回ご紹介する一冊は、

森見 登美彦 著

『シャーロック・ホームズの凱旋』です。

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【感想】 「物語は魔力を持っている」

ファンタジー探偵物語

ホームズ&ワトソンが住まうのは
ヴィクトリア朝京都!?
物語の無限の可能性を感じる
圧巻のストーリー展開です

森見ワールドに世界が呑まれる!

シャーロック・ホームズのパロディかなぁ
と、ちょっと舐めて読み進めた僕ですが
天才・森見登美彦に完全にヤラレました
・・凄まじい物語でした!!

スランプに落ち、グータラするホームズ

物語の前半は著作『四畳半シリーズ』を思わせる
グータラとコミカルなストーリーが続きます
全身脱力してクスクスと笑いながら読めます

極度のスランプから探偵業を半ば放り出す
ホームズにワトソンが再起を促す様子が
ダラダラと続きます

しかし中盤で物語のキーとなる存在
『東の東の間』が登場すると
にわかに緊張した雰囲気となる

世界を守るために冒険する、ワトソン

物語の後半は著作『熱帯』を連想する
大冒険活劇となります
昼と夜がひっくり返るような
怒涛の展開に1字1句を逃さぬよう
緊張して読むことになる

いったい何が現実で
どれが物語なのだろうか?

「物語は魔力を持っている」

*注意)以下には物語の核心となるネタバレがあります

ヴィクトリア朝京都はワトソンが
作り出した物語であった
現実世界のロンドンで真実を告げられるが
妻メアリの言葉をたよりにして
ヴィクトリア朝京都を現実世界とするのでした

もう何が現実で物語かわからない
幻想的なストーリー展開に
翻弄されっぱなしでした
物語の熱量がハンパない

前半と後半の落差も素晴らしく
テムズ川の滝を落下していくよう
もう物語のなすがままでした
僕はただ身を任せるだけです

荒唐無稽なストーリーを
無茶苦茶と思わせず
見事にまとめる手腕は
もう唯一無二ですね

シャーロック・ホームズのパロディに
自書のセルフパロディも組み込んだような
冒険的な本書
傑作でした

物語って素晴らしいですね

作品紹介(出版社より)

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?—–この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。いつの間にか迷いこんだその舞台裏において、私たちはかつて経験したことのない「非探偵小説的な冒険」を強いられることになったわけだが、世の人々がその冒険について知ることはなかった。スランプに陥ってからというもの、シャーロック・ホームズは世間的には死んだも同然であり、それはこの私、ジョン・H・ワトソンにしても同様だったからである。シャーロック・ホームズの沈黙は、ジョン・H・ワトソンの沈黙でもあった。
謎が謎を呼ぶ痛快無比な森見劇場、ついに開幕!

作品データ

タイトル:『シャーロック・ホームズの凱旋』
著者:森見 登美彦
出版社:中央公論新社
発売日:2024/1/22

作家紹介

森見 登美彦(もりみ・とみひこ)

1979年 奈良県生れ。京都大学農学部大学院修士課程修了。
2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。
2007年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。
2010年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。
ほかの著書に『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『新釈 走れメロス 他四篇』『有頂天家族』『美女と竹林』『恋文の技術』『宵山万華鏡』『四畳半王国見聞録』『聖なる怠け者の冒険』『有頂天家族 二代目の帰朝』『夜行』『太陽と乙女』『熱帯』がある。

森見 登美彦 の作品紹介

『太陽の塔』2006/6/1
『四畳半神話大系』2008/03/25
『きつねのはなし』2009/06/29
『夜は短し歩けよ乙女』2008/12/25
『有頂天家族』2010/08/02
『新釈 走れメロス 他四篇』2015/08/25
『恋文の技術』2009/3/5
『美女と竹林』2010/12/9
『宵山万華鏡』2012/6/26
『ペンギン・ハイウェイ』2012/11/
『四畳半王国見聞録』2013/6/26
『聖なる怠け者の冒険』2013/5/21
『有頂天家族 二代目の帰朝』2015/02/26
『夜行』2016/10/25
『太陽と乙女』2017/11/22
『熱帯』2018/11/16
『四畳半タイムマシンブルース』2022/06/10
シャーロック・ホームズの凱旋』2024/1/22

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