【感想】『人間標本』湊かなえ|突き抜けた狂気は、愛に至る

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人間標本|湊かなえ

ケイチャン

ケイチャン

【2024年48冊目】
今回ご紹介する一冊は、

湊かなえ 著

人間標本です。

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【感想】「突き抜けた狂気は、愛に至る」

イヤミス

究極の芸術、それが・・
美しき男子の標本
狂気の果てに明らかになる
真の愛を描く物語です

愛する息子を守るには、
殺すしかない・・

ページをめくってまず目にするのが
額に入れられた少年の姿
美しく装飾を施された
芸術作品です

そして続くのが
狂気の制作過程です
制作者(殺人者)榊博士の
手記形式で恐ろしい内容が
淡々と綴られていく

美しい少年たちを
蝶に見立てて
標本化してゆく様子に
感情の閾値が振りきれそうです
・・なんだ?これは!
あまりにも妖しく美しい・・

しかしその後に続く
榊博士の息子、至(イタル)くんの
研究発表の内容で
物語は反転する

一体なにが真実で
彼らは何を
隠そうとしているのだろうか?

「突き抜けた狂気は、愛に至る」

2転3転する真実に
愕然とさせられるのが
湊かなえ作品の魅力ですが
本作も、ものスゴイです!

『人間標本』というトンデモない
タイトルも、ものスゴイが
期待を上回る狂った内容に
僕は震えました

湊かなえ・・恐ろしい

物語の構成も逸品で
読者をさり気なく
ミスリードして
罠にかけてくる

もう僕らはドスンと
罠にかかるしかない

罠にかかるのは
榊博士も同じです
見事に罠にハマった
彼の苦悩と後悔に
イヤ~な気持ちが最高点となる

さすがイヤミスの女王、湊かなえ

恐るべき狂気の作品でした

作品紹介(出版社より)

蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。

作品データ

タイトル:『人間標本』
著者:湊かなえ
出版社:KADOKAWA
発売日:2023/12/13

作家紹介

湊 かなえ(みなと・かなえ)

1973年広島県生まれ。
2007年「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。同書は、2009年本屋大賞を受賞。
2012年「望郷、海の星」(『望郷』収録)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
2016年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。
2018年『贖罪』がエドガー賞ベスト・ペーパーバック・オリジナル部門にノミネートされた。
その他の著書に、『Nのために』『母性』『高校入試』『絶唱』『リバース』『未来』『ブロードキャスト』『落日』『カケラ』『ドキュメント』『残照の頂』などがある。 

湊 かなえの作品紹介

『告白』(2008年8月)
『少女』(2009年1月)
『贖罪』(2009年6月)
『Nのために』(2010年1月)
『夜行観覧車』(2010年6月)
『往復書簡』(2010年9月)
『花の鎖』(2011年3月)
『境遇』(2011年10月)
『サファイア』(2012年4月)
『白ゆき姫殺人事件』(2012年7月)
『母性』(2012年10月)
『望郷』(2013年1月)
『高校入試』(2013年6月)
『豆の上で眠る』(2014年3月)
『山女日記』(2014年7月)
『物語のおわり』(2014年10月)
『絶唱』(2015年1月)
『リバース絶唱』(2015年5月)
『ユートピア』(2015年11月)
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(2016年5月)
『未来』(2018年5月)
『ブロードキャスト』(2018年8月)
『落日』(2019年9月)
『カケラ』(2020年5月)
『ドキュメント』(2021年3月)
『残照の頂 続・山女日記』(2021年11月)
『告白』(2023年3月)
人間標本』(2023年12月)

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