【感想】『永遠と横道世之介 下』吉田修一|この煌めきを忘れないでいて・・

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永遠と横道世之介 下|吉田修一

ケイチャン

ケイチャン

【2024年40冊目】

今回ご紹介する一冊は、

吉田修一 著

『永遠と横道世之介 上』です。

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【感想】「この煌めきを忘れないでいて・・」

青春小説(世之介は39才のおっちゃんだがww)

普通って、なんだ?
普通って、得難くって素晴らしい
特別なんだ・・
普通で特別な日常を描く物語です

世之介のようにリラックスして生きたい!

上巻で世之介が住む下宿『ドーミー吉祥寺の南』の
愉快な面々や仕事の仲間たちが紹介されます
下巻ではさらに登場人物たちが深掘りされて
朝の連続ドラマ的な展開が続きます

そしてヤキモキするのが
世之介と下宿の家主あけみちゃんとの関係
世之介の亡き恋人、二千花(にちか)ちゃんとの
思い出話が挿入される度に
『死んだ人には敵わない』との
あけみちゃんの言葉が淋しく響く

さらに世之介の後輩カメラマンの
女児誕生のエピソードが続く
難産の上に障害児であることが
示唆されて辛い展開が続きます

だが日常は途切れずに流れるのだ・・

『この煌めきを忘れないでいて・・』

シリーズ第1作目で世之介が40歳で
死ぬことが書かれていました
僕は不覚にも完全に忘れており
本作が主人公の死の1年前の話
ということに終盤で驚くことになりました

こんな楽しそうなのに・・死んでしまうとは

こうなると本作の見方も変わってくる

普通の日々は普通なんかじゃない
1日1日が特別で輝きを持っている
そんな、眠いまぶたが持ち上がり
目が覚めるような気持ちに変わりました

最終章で世之介の死後の
エピソードが綴られますが
それはみんなの中で世之介が
永遠となったお話でした

日常の輝きを掬い取るような本作
平凡な日々という喜びを
今一度確認するような体験でした
愉快な世之介は僕の中でも
永遠になったようです・・

作品紹介(出版社より)

なんでもない一日のような人だった。
だからこそ失って初めて、その愛おしさを知った

湘南のカフェ店員に一目惚れ、相手をふり向かせたくてサーフィンを始めた「ドーミー吉祥寺の南」の下宿人谷尻くん。その恋を応援する傍らで、最愛の人二千花と過ごした日々を幾度となく反芻する世之介だった。春から夏へ。相変わらずのんびりと季節が移ろうなか、後輩カメラマンのエバと咲子カップルが新しい命を授かり、世之介は「名付け親」に指名される。ところが咲子の容態が一転し……。やがて運命の日がやってくる。大切な人に、今すぐ「好き」と伝えたくなる、心ふるえる結末へ――。「横道世之介」シリーズ堂々完結!

作品データ

タイトル:『永遠と横道世之介 下』
著者:吉田修一
出版社:毎日新聞出版
発売日:2023/5/26

作家紹介

吉田修一(よしだ・しゅういち)

長崎県生まれ。
1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞し、デビュー。
2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を受賞。
2007年『悪人』で第34回大佛次郎賞と第61回毎日出版文化賞を受賞。

吉田修一の作品紹介

『最後の息子』(1999年7月)
『熱帯魚』(2001年1月)
『パレード』(2002年2月)
『パーク・ライフ』(2002年8月)
『日曜日たち』(2003年8月)
『東京湾景』(2003年10月)
『長崎乱楽坂』(2004年5月)
『ランドマーク』(2004年7月)
『春、バーニーズで』(2004年11月)
『7月24日通り』(2004年12月)
『ひなた』(2006年1月)
『女たちは二度遊ぶ』(2006年3月)
『初恋温泉』(2006年6月)
『うりずん』(2007年2月)
『悪人』(2007年4月)
『静かな爆弾』(2008年2月)
『さよなら渓谷』(2008年6月)
『元職員』(2008年11月)
『キャンセルされた街の案内』(2009年8月)
『横道世之介』(2009年9月)
『平成猿蟹合戦図』(2011年9月)
『太陽は動かない』(2012年4月)
『路(ルウ)』(2012年11月)
『愛に乱暴』(2013年5月)
『怒り』(2014年1月)
『森は知っている』(2015年4月)
『橋を渡る』(2016年3月)
『犯罪小説集』(2016年10月)
『ウォーターゲーム』(2018年5月)
『国宝』(2018年9月)
『続 横道世之介』(2019年2月)
『青春 コレクションI』(2019年9月)
『アンジュと頭獅王』(2019年9月)
『逃亡小説集』(2019年10月)
『恋愛 コレクションII』(2019年11月)
『犯罪 コレクションIII』(2020年1月)
『長崎 コレクションIV』(2020年3月)
『湖の女たち』(2020年10月)
『ブランド』(2021年7月)
『オリンピックにふれる』(2021年10月)
ミス・サンシャイン』(2022年1月)
『永遠と横道世之介 上』2023/5/26
永遠と横道世之介 下』2023/5/26

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