ケイチャン
【2024年17冊目】
今回ご紹介する一冊は、
佐川光晴 著
『あけくれの少女』です。
もくじ
【感想】「まっとうに生きる美しさ」
わたしの人生は
わたしが決める!
家族とバブル経済崩壊によって
運命が狂わされたひとりの少女の
サバイバルの物語です
家族といられることは、幸せなこと
時代は昭和時代なかば
舞台は瀬戸内の尾道市
ひとりの少女が苦悩するシーンから
物語はスタートします
わたしは養女として貰われてしまうの?
子供のいない本家の叔父へ
養子に出されるのではないか?
家族と離れ離れになる不安に
真記(まき)ちゃんの子供心は揺れます
しかしオヤジがやってくれた
一発逆転の大儲けで
本家の叔父に借金を叩き返す!
やったね!!
これで養子に行かなくていいし
東京の大学にも行けちゃうんじゃないの?
晴れて東京の大学生となった真記ちゃんだが
時代はバブル経済崩壊の前夜です
得意先倒産のあおりを喰らって
真記のオヤジは破産してしまう
かくして真記ちゃんは
大学中退を余儀なくされ
奨学金が借金として残るありさま
家族は散り散りバラバラとなってしまう
夜逃げ同然で東京を去る真記ちゃん
彼女はこの先どうやって生活するのか?
そしてバラバラとなった家族と
再会する日は来るのだろうか
幼少期から意志が強く
びしっと背すじが伸びるような
主人公、真記ちゃんの生きざまが
美しい
一筋縄ではいかぬ父と母だが
やはり家族・・
会えなくとも繋がっている気持ちが
涙を誘います
友と恋人
自分に正直の生きる真記に
惹かれてゆく友と恋人との交流に
読んでる僕も嬉しくなりました
まっとうに生きる
そんな真記の姿勢に
周りの人々が自然に協力し
助けるようすが
思わず微笑んでしまう
真記ちゃんに関わる人たちも
家族関係に悩まされる方が多い
仲良く家族をやっていくことって
・・難しいんだ
ひとりの少女が
独力で生き抜こうとし
度重なる不幸にも負けず
幸せを掴む
美しいストーリーでした
本書を読む僕の背すじも
きっとピーンと
伸びていたことでしょう笑
作品紹介(出版社より)
「どこで、どうやって生きていくのか、うちは自分で決めたい」12歳の少女・真記は上京を目指すも、80年代後半の狂騒に翻弄され……親世代にも子世代にも読んでほしい、宝石のような20年間を描いた佐川光晴の最新長編小説。
広島は尾道の少女・真記は、1970年生まれ。子供のいない伯父夫婦からかわいがられ、養女になるかもと心配事は絶えない。中学では英語部の朗読劇が大成功をおさめ、英語を一生の仕事にしていこうと決意する。念願の学生生活は、80年代後半のバブル経済のただなかで、順調そうにみえたのだが……。
当時の時代背景や男女の考え方を、時に繊細に、時にユーモラスに描出する。真記と同時代を生きた人にも、そしていま同世代の人にも読んでほしい青春小説。
作品データ
タイトル:『あけくれの少女』
著者:佐川光晴
出版社:集英社
発売日:2023/12/15
作家紹介
佐川 光晴 (さがわ・みつはる)
1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。
2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞を受賞しデビュー。
2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。
2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞受賞。
2019年『駒音高く』で第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞。
このほかの著作に受賞『牛を屠る』『大きくなる日』『鉄道少年』『日の出』『昭和40年男~オリンポスの家族~』『満天の花』『猫にならって』などがある。
佐川 光晴 の作品紹介
『生活の設計』2001/2/1
『縮んだ愛』2002/7/1
『おれのおばさん』2010/6/4
『牛を屠る』2014/7/9
『大きくなる日』2017/9/20
『鉄道少年』2017/6/9
『日の出』2018/6/1
『昭和40年男~オリンポスの家族~』2019/9/30
『駒音高く』2021/2/5
『満天の花』2021/5/7
『猫にならって』2023/1/30
『あけくれの少女』2023/12/15
…他多数