ケイチャン
【2024年102冊目】
今回ご紹介する一冊は、
佐藤正午 著
『冬に子供が生まれる』です。
もくじ
【感想】「深い霧を歩む人生」
僕の人生は狂わされていたのか？
UFOを見た子供は呪われたのか？
数奇な運命に翻弄される
無力な人を描く物語です
ケイチャン
あなたは子供の頃に不思議な
体験をしたことがありますか？
僕はちょっとあるようなんですが
大人になって記憶を改ざんしたのか
もう曖昧になっています
さてあやふやな記憶で子供時代の
あだ名を取り違えられるのが
２人の丸太君です
ギターが上手だったマルセイ君と
高校野球で活躍したマルユウ君
ケイチャン
・・あれれ、どっちが誰だっけ？
そんな丸太君に奇妙なメールが届く
『冬に彼女がおまえの子供を産む』
意味深長で無視できない不可解さ
身に覚えのない丸太君でしたが
何故か記憶の奥でざわつくものがある
そしてUFOを見た子供たちの
その後遺症とでもいうべき
抜け殻のような生きざまが
描かれてゆくのです
ケイチャン
とにかく読みにくい！
早々にギブアップしそうになるも
なんとかいくつかのパズルピースが
集まるまで読み進めるのだが
このピースがあやふやで信用できないんだ
UFOを見た２人の丸太君と
そのお友達の佐渡君を中心として
マルセイは何故死んだのか？
彼女は誰の子を産むのか？
この２つのテーマを追ってゆく
そんな彼らを断罪し
興味本位の視線で晒し
無責任に批判するのが
常識に囚われた人（親）たちです
ケイチャン
彼らと会話が出来ないんだ・・
自分の常識を絶対視する人（親）たちと
なんだかわけわかんない丸太君たちには
深いディスコミュニケーションがあり
分かり合えません
ケイチャン
これが辛いんだ
物語はまるで深い霧の中をさまようように進み
なんだかわけがわかんないうちに決定的なことが
起こり、起こってしまい、もう戻れなくなる・・
ケイチャン
・・まるで僕らの人生そのものですね笑
誰も僕たちの人生を説明してくれない
そんな気持ちにさせる不思議な物語でした
ケイチャン
僕たちはなんだかわかんないまま生き
そして死んでゆくのでしょうね
・・まあ、いいじゃん
今を楽しみましょう♪
作品紹介（出版社より）
著者七年ぶりの新作長編！直木賞受賞第一作
その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。
現実に起こりうるはずのない言い掛かりのような予言で、彼にはまったく身におぼえがなかった。送信者名は不明、０９０から始まる電話番号だけが表示されている。
彼が目にしたのはこんな一文だった。
今年の冬、彼女はおまえの子供を産む
これは未来の予言。
起こりうるはずのない未来の予言。
だがこれは、まったく身におぼえのない予言とは言い切れないかもしれない。
これまで三十八年の人生の、どの時代かの場面に、「彼女」と呼ぶにふさわしい人物がいるのかもしれない。
そもそも、だれが何の目的でこの予言めいたメッセージを送ってきたのか。
丸田君は、過去の記憶の断片がむこうから迫ってくるのを感じていた──。
三十年前にかわした密かな約束、
二十年前に山道で起きた事故、
不可解な最期を遂げた旧友……
平凡な人生なんていったいどこにあるんだろう。
『月の満ち欠け』から七年、かつてない感情に心が打ち震える新たな代表作が誕生。読む者の人生までもさらけ出される、究極の直木賞受賞第一作！
作品データ
タイトル：『冬に子供が生まれる』
著者：佐藤正午
出版社：小学館
発売日：2024/1/30
作家紹介
佐藤 正午（さとう・しょうご）
1955年生まれ、長崎県出身。
1983年、デビュー作『永遠の1／2』で『第7回 すばる文学賞』を受賞。
2014年『鳩の撃退法』で『第6回 山田風太郎賞』受賞。
2017年7月、『月の満ち欠け』で『第157回 芥川賞・直木賞（平成29年度上半期）』の直木三十五賞を受賞。
佐藤正午の作品紹介
『永遠の1/2』2016/10/
『鳩の撃退法（上・下）』2018/1/4
『月の満ち欠け』2017/4/6
『冬に子供が生まれる』2024/1/30