【感想】『最果ての泥徒』高丘哲次|私は信念のために死ぬ

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最果ての泥徒|高丘哲次

ケイチャン

ケイチャン

【2024年5冊目】

今回ご紹介する一冊は、

高丘哲次 著

『最果ての泥徒(ゴーレム)』です。

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【感想】「私は信念のために死ぬ」

架空歴史ファンタジー

父を殺したのは、誰なの?
泥徒(ゴーレム)を作る名家に生まれ
正義と使命に殉じた女性マヤと
そのゴーレムの冒険の物語です

泥徒大戦(ゴーレムウォー)が始まってしまう!

この世界とはちょっと違う
泥徒(ゴーレム)が馬や牛と同じように
使役される世界が舞台となります
馬車でなく泥徒車みたいな

時は第一次世界大戦の前夜
場所はロシア、ドイツ、オーストリアに囲まれた
旧ポーランド領にある架空都市
レンカフ自由都市が舞台となります
大国に囲まれた小国家ですね

さて主人公のマヤちゃんは
お父さんを尊敬しています
泥徒(ゴーレム)研究一筋のお父さん
異国の弟子を従え、立派な工房を営む
・・私もお父さんのように、なりたい!

まだ幼いのに1体の泥徒(ゴーレム)を
作り上げるマヤ
・・どうよ?私がお父さんの後を継ぐのよ!

ところが父はマヤを後継者に指名しなかった
弟子のひとりに全てを譲ると言うのだ

がっかりするマヤに追い打ちを掛けるように
父は殺されてしまい
弟子たちは行方をくらますのだ
いったい誰が何のために
父を殺したのだろう?

父の死の真相を探るべく
マヤはアメリカ、日本へ赴き
さらに日露戦争の激戦地へと
冒険の旅に出るのでした

そしてたどり着いた真相は
マヤにとってあまりにも辛い
ひとりのマッドサイエンティストの
狂気の悪夢だったのだ

「私は信念のために死ぬ」

泥徒(ゴーレム)という
ダークな雰囲気を持つ
ガジェットがスパイスとなる本作
泥徒(ゴーレム)って何なの?
と考えながら読み進めることになります

史実を下書きにしているので
すらすらと世界観に入っていけました
戦車の代わりに泥徒戦車が開発されて
戦争はどんどん凄惨なものへとなってゆく

僕はB級映画ファンなのですが
『武器人間』や
『ムカデ人間』を
彷彿とさせるような
トンデモ泥徒兵器が登場して
悲惨なのにちょっと笑えました

人倫を越えた巨大な悪と
付和雷同する考えのない大衆と
対決するマヤの姿が
痛々しくも神々しいのです

なんでもかんでも
兵器にしたり
欲望の糧としちゃうのは
人間の性なのでしょうか?

その中で理想と使命に殉じた
女性マヤの物語は神話のよう
哀しくも美しい
ファンタジーでした

作品紹介(出版社より)

20世紀初頭、泥徒(ゴーレム)が産業として躍進する世界。欧州の小国で、泥徒創造主の名門家に育ったマヤは、若くして自らの泥徒スタルィを創りあげる。……しかしそれは、その後待ち受ける永き旅路の、ささいな幕開けに過ぎなかった。ある日、工房で父の亡骸が見つかり、そのうえ、一族に伝わる秘宝にして泥徒を〈完全なる被造物〉に至らしめるための手がかりである「原初の礎版」が、何者かに奪われたのだ。行方を眩ました三人の愛弟子を追走するマヤとスタルィ。やがて、世界を二分する戦火に身を投じることとなり――。

作品データ

タイトル:『最果ての泥徒』
著者:高丘哲次
出版社:新潮社
発売日:2023/9/29

作家紹介

高丘哲次(たかおか・てつじ)

北海道函館市生まれ。
国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院博士前期課程比較文化研究科修了。
2019年『約束の果て 黒と紫の国』で日本ファンタジーノベル大賞2019を受賞。

高丘哲次の作品紹介

『約束の果て 黒と紫の国』2022/11/28
最果ての泥徒』2023/9/29

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