ケイチャン
【2023年109冊目】
今回ご紹介する一冊は、
貴志祐介 著
『梅雨物語』です。
もくじ
【感想】「めくるめく悪夢を、見たいかい?」
罪を犯した者に
安寧は訪れない
執拗に責め苛まれて
破滅する姿を描く
止まない雨の物語です
3つの中編が納められています
それぞれ異なる特色をもつ
3編ですが
共通するのが
暴かれる罪、です
いったい彼らは
どんな罪を犯したのでしょうか?
『皐月闇』(さつきやみ)
俳句ミステリー
じょじょに違和感が増してゆく仕立てが
素晴らしい
何度、責め苛まれても
終わらない断罪のロンドが
怖くって、素敵ww
『ぼくとう奇譚』
僕は子供の頃
さんざんカブトムシ採りしたので
遊郭・都留波美楼(つるばみろう)が
何なのかすぐにピンときました
おどろおぞましい悪夢のような物語で
僕も黒蝶の夢に、さまよい込みそうだ
『くさびら』
きのこホラー
幻想的なシーンから始まる
にょきにょき生えるキノコが
キモおぞましい!
が、ちょっと可愛らしいww
見事なミスリードで
え?そっちかよー!
と、叫んでしまいました
怖いもの
おぞましいもの
見たいですよね笑
現代の雨月物語のような本作
しとしと降る長い雨のような
しつこく後を引く、怖さを
あなたもお楽しみください
作品紹介(出版社より)
貴志祐介が描くホラーミステリの極北 。あなたの罪が、あなたを殺す。
命を絶った青年が残したという一冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は教え子の依頼で一つ一つの句を解釈していくのだが、やがて、そこに隠された恐るべき秘密が浮かび上がっていく。(「皐月闇」)
巨大な遊廓で、奇妙な花魁たちと遊ぶ夢を見る男、木下美武。高名な修験者によれば、その夢に隠された謎を解かなければ命が危ないという。そして、夢の中の遊廓の様子もだんだんとおどろおどろしくなっていき……。(「ぼくとう奇譚」)
朝、起床した杉平進也が目にしたのは、広い庭を埋め尽くす色とりどりの見知らぬキノコだった。輪を描き群生するキノコは、刈り取っても次の日には再生し、杉平家を埋め尽くしていく。キノコの生え方にある規則性を見いだした杉平は、この事態に何者かの意図を感じ取るのだが……。(「くさびら」)
想像を絶する恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する三編を収録した、貴志祐介真骨頂の中編集。
作品データ
タイトル:『梅雨物語』
著者:貴志祐介
出版社:KADOKAWA
発売日:2023/7/14
作家紹介
貴志祐介(きし・ゆうすけ)
1959年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒業。
1996年、日本ホラー小説大賞長編賞佳作を受賞した「ISOLA」が『十三番目の人格ISOLA』と改題後、刊行される。
1997年『黒い家』で第4回日本ホラー小説大賞を受賞。
2005年『硝子のハンマー』で第58回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。
2008年『新世界より』で日本SF大賞。
2010年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。
他の著書に『クリムゾンの迷宮』、『青の炎』、『鍵のかかった部屋』、『雀蜂』などがある。
貴志祐介の作品
『黒い家』 1997/06/01
『天使の囀り』 1998/07/01
『青の炎』 1999/10/01
『ISOLA-十三番目の人格-』 1999/12/22
『クリムゾンの迷宮』 2003/02/01
『硝子のハンマー』 2004/04/21
『新世界より 上・下』 2008/01/24
『狐火の家』 2008/03/01
『悪の教典 上・下』 2010/07/29
『ダークゾーン』 2011/02/11
『鍵のかかった部屋』 2011/07/26
『悪の教典』 2011/11/14
『ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか』 2013/08/29
『極悪鳥になる夢を見る 貴志祐介エッセイ集』 2013/09/20
『エンタテインメントの作り方』 2015/08/26
『ミステリークロック』 2017/10/20
『罪人の選択』 2020/03/27
『我々は、みな孤独であ』る 2020/09/15
『天使の囀り』 (1) 2020/12/07
『天使の囀り』 (2) 2021/06/18
『秋雨物語』 2022/11/29
『梅雨物語』 2023/07/14